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頭の悪い僕にはちょっとアカデミックで骨が折れた、、けど
結論は納得する。
個人的に、既存企業にとっての"共食い"のうち、リソースとして有りがちなのは人材だと思う。
有望な人材を主流の事業に置くか、新規事業に置くか。
おそらく大半は前者にしてしまっていて、だからこそイノベーションが起きないんじゃないかなぁ。
だとすると、異動ももちろんそうなんだけど
採用からこれまでとぜんぜん違う人材を見極めて、増やしていく必要性に迫られる。
ところが社会的には少子高齢化、売り手市場。
なかなか思うような採用もできなくなっちゃいました…
っていう日本の状況を妄想してました。
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Yale大学の若き経済学者による、教育的な自伝である。
「イノベーターの経済学的解明」のタイトルにつられて購入した。私は前半の「イノベーター」の部分に着目していたが、本書における著者自身の力点は後半の「経済学的解明」に置いていたように思う。
著者が自身の博士論文を以て経済学の全体像を感覚で理解できるよう提示している。需要・供給・均衡・限界といった基礎的な概念から、差別化と競争、社会厚生、静学/動学、実証研究の形態の各トピックまで、幅広く紹介している。非常にスピーディーで熱のこもった筆致であるためか、サクサク読める。
経済学はしばしば、「モデルが現実的でない」との批判を受ける。しかし本書は、その批判が筋違いであることを示す。「モデルが現実的でない」と考えるのは、そもそもその理論の有用性を理解していないからだと断じる。そこに自身の問いが発さればこそ、その問いと背後の文脈に応じたモデルが活きてくる。イノベーターのジレンマをはじめとする諸々の社会的現象を、単純なモデルによって説明することの意味を、次のように説いている。
「世の物事や人の感じることを言葉で言い尽くすのは土台無理な話だが、それにも関わらず人は言葉やその他諸々の手段を使って、何かを表現し伝えようとする。方程式やギリシャ文字だけで経済活動(やそれを含む有象無象)を表現し切ることは難しい。難しいというか、そもそも現実世界の『枝葉』を削ぎ落して単純化するためにモデルという箱庭を作ったわけだから、数式自体には『現実』がほとんど登場しない。それにも関わらず、数式の行間を読み、背後の事物に想像力を働かせることは可能である。」(第10章)
既存企業にとっては、既存事業と新事業の共喰いを乗り越える必要がある旨を一連の実証分析から示唆した後、その背後に潜む現実に対して想像力を発揮させていく。その想像力の発揮はまさしく、洗練された問い/仮説と、モデルによる頑健な裏付けがあるからこそ、意味を成すものに思えた。
冒頭で掲げられた問いに対する結論は、凡庸なものであった。それでは長々とした論証は無意味だったのか?と筆者は問う。答えは当然、「否」。以下は引用である。
「『結論』や『解答』そのものに、大した価値や面白みはない。そうではなくて、
・そもそもの『問い』
・その煮詰め方、そして
・何を『根拠』に、いかなる『意味』において、その『答え』が言えるのか、
つまり『どんなことを、どんなふうに考えながらそこに到達したのか』という『道のり』こそが、一番おいしいところであり、大人に必要な『科学』というものだ。」
ここが著者の最も伝えたい主張であるに違いない。というのも本書は、「経済学を初心者に向けて紹介する本」以上に大きな意味を持っているのだ。そうではなくてむしろ、著者自身の研究を例にしながら、いかに知的好奇心を探求する営みが楽しく、(もしかすると)尊い行為であるかについて力説した書である。
そして上記の引用はまさしく「結論」に他ならない。そのためここだけを見てもあまり響かないかもしれない。しかし、著者の具体的な研究���その背後にある頭の使い方と意志を追体験することで、その結論は格段に説得力が増す。
自分の日々の営みに自信が持てなくなった時に、帰ってきたい一冊。
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・既存企業はたとえ有能で戦略的で合理的であったとしても、新旧技術や事業間の共喰いがある以上、イノベーションに本気になれない
・共喰いを容認し、推進する必要があるが、株主利益に反する可能性がある
・イノベーション促進政策には期待できないが、IT系産業は競争と技術革新のバランスがいい感じだった
経済学的とはどう言うことなのだろう。ゲーム理論や回帰分析を使うこと?
・なぜイノベーターのジレンマが起きるのか
→共喰い
・どうすればいいのか
→共喰いok、失敗ok
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20200715
クリステンセン氏の有名な『イノベーションのジレンマ』を経済学的視点で、定量的に解明した返歌。
自身も曲がりなりに経済学部出身で、需要や供給、動学的視点での研究は興味深かった。
今一度エッセンスを述べると、既存企業は、競争によって利益が落ちないよう(数量効果・価格効果)、①抜け駆けの誘引は高い(供給サイド)。また、②開発能力(投資=動学的観点)においても、既存アセットを行かせる事で新規企業よりも優位な点が多い。しかしながら、既存企業の既存事業がある事で、車内的な制約や株主からの制約を受け、③共食い(置換効果=需要サイド)に尻込みしてしまう問題がジレンマであった。これだけでもインサイトに富む命題である。一般的には、経営者の無能や政府の規制の欠陥と思われるが、優良であるがゆえに制約というジレンマに悩むという、常識を超えた示唆だったからだ。
その示唆に対して、伊神氏はもう一歩踏み込み、実証研究のプロセスとして①データ分析、②実験、③シミュレーションをやってみせた点が鮮やかである。結果を見るだけでも有益だが、そのステップ(構造化→進むための思考法)を追体験できたことは、より有益であった。全てを吸収しきれたわけではないが、進み方の考え方こそ心にとどめ、自分なりの思考様式ができるよう励みたい。
//MEMO//
クレイテンセン教授の名著であるイノベーションのジレンマの経済学的解明という。クリステンセン教授は、どちらかというとビジネスケーススタディから導き出した命題であったが、伊神氏は経済学的に証明するというのか。
ゲーム理論や、統計学など、理論で上記命題が証明できたら非常に面白い。そしてやはり、企業も自身も優良であり続けることは、停滞を意味するということを一層肝に銘じるであろう。
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イノベーションのジレンマの本。認識を深めるべく読書。本質的な構造を平易にわかりやすく紐解いてくれている良著。
メモ
・代替性がある場合、共食いの分だけメリットが減少する。
・抜け駆け、守備的m&a。くいとめによって、そうしない場合に失われる分だけ、そこに投じるコストの価値が生じる。既存事業が大きく支配的である方が、既存側の取得インセンティブが、新規側の継続インセンティブを上回る。
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本書はイェール大学で教鞭を執る日本人経済学者が、経営学の泰斗であるクリステンセンの研究を、経済学的見地から定量的、理論的に深掘りした、という本になります。クリステンセンの書いた『イノベーションのジレンマ』は世界中でベストセラーになった本ですが、この著者が指摘しているように、書かれている内容自体はかなり定性的で、他の経営学のフレームと比較しても科学性に乏しいというような批判はありました。
そのような背景のもと、著者は経済学の専門家として、クリステンセンの世界観をモデルに落とし込んだと言うことになります。内容は確かに経済学の知識がある方が望ましいですが、そうではなくとも理解できるように書かれていると思いました。また私自身経済学の論文を読むことはたまにあるのですが、この著者が述べているような構造になっていることをあらためて認識できました。その意味で非常に勉強になりました。
本書はクリステンセンのかなり抽象的な記述を具体的、科学的にしてくれているという点で有意義なのですが、インパクトというか一般の人々への訴求度合いについてはやはりクリステンセンの語り口の方が有効と言わざるを得ません。クリステンセンは最近では“How will you measure your life?”といった本も書かれていますが、文章力、表現力が非常に高い。ハーバードでは彼の授業はいまだに人気が高く、その理由は彼の語り口にあるといいます。普遍性、再現可能性という意味で経済学の役割は非常に高いですし、「数字に語らせる」ことは大事だと思うのですが、他の人間への訴求となると、最後は人間力が大事で、抽象的、個別的であったとしてもそういう語り口の方が人々の印象に残ってしまうのが、人間の難しさでもありおもしろさでもある、と本書を読んで感じました。