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ミステリーでもあり、RPGのような冒険小説でもあり、懐かしい痛みを感じる青春小説でもあった。私は物語中のような選択を迫られたらどうするだろう?と第四章を読みながら考えていた。
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うーん、宮部みゆきさんの本にしては何だか気持ちが入りにくい。
中学3年生の真と城田さん、その後出会う40過ぎの漫画家アシスタントのパクさんが、古城の絵の中に入り込んで様々な冒険をする…とまぁこんなSFチックな話なんだけど。
中3にしては2人ともまっさらすぎる精神を持っていて、だけど遣う言葉は広辞苑から引っ張ってきたみたいな小難しいもので、チグハグな印象だった。
パクさんも職業柄かもしれないが、あまりにも少年のような、子供っぽいキャラクターで、現実離れしている。
気持ちが入りにくいところで、主人公たちが感極まったり意味もわからず泣いたり怒ったりカッコつけたりするもんだから、こちらの気持ちがスン…と冷めてしまうような。
そんな話。
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反応しない。
気にしない。
たいしたことない。
ちがう。
気にして欲しい。
気づいて欲しい。
手を差し伸べて欲しい。
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期待をしすぎていたのかもしれません。
ありきたりというか…
心が軽くなる物語を欲している時期に読んだからあまり好きになれなかったのかもしれません…タイミングが合わなかったんですかね。
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久しぶりに読書続いてる。やっぱり、文庫は軽くて持ち運びしやすくて、どこでも読めるからいいなあ。ハードカバーばっかりだと段々と読まなくなっちゃうもんなあ。
英雄の書みたいなこてこてファンタジーかと思ったら、そうじゃなかった。私は現実といい感じにミックスしてるファンタジーが好きだから、こっちの方が好み。
思ってたよりも前向きな話で、思ってたよりも中学生が大人。真も城田さんもえらい。
どうでもいいけど、絵の世界から戻ってきて爆食いするシーン、つられてすごくお腹が空く!!ケーキ手づかみで食べたくなる。
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後味は決して悪くない、むしろ比較的きれいな終わり方だった。話の展開もテンポよく、飽きさせずに一気に読まされた。
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中学3年生の真が偶然見つけた「古城のデッサン」そのデッサンの世界に入ってしまい、そこから奥深いストーリーが進んで行く。
奥深いストーリーと書いたのは単なる冒険物語に終わらず、それぞれ登場人物の家庭環境が現代に見え隠れする様々な社会問題点をベースとしている事が、このファンタジーに深みを増していったと思う。
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面白かったしわくわくした
けど、閉じ込められた少女と閉じ込めた少女、そして泣かない少女たちの気持ちをもっと感じたかった、と思うのはワガママだろうか。
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面白かった。めちゃくちゃファンタジーどっぷりかと思ったら、そうでもなかった。
ラストが好き。物語の決着のつけ方も、真とタマちゃんの別れ方も。
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幻想的な表紙とそこから想像させられる内容に、序盤はとても引き込まれます。ミステリアスな絵の中の世界がどのような目的で作られ、存在しているのか。果たしてその世界は主人公にとって友好的なものか、敵対的なものか。そうした不安や期待が強烈に興味を惹きつけ、読むモチベーションを高めてくれます。
読み進めていくと絵の世界の謎とは別に、主人公の真や城田の現実世界での悩みや障壁がすこしずつ明らかになっていきます。主に人間関係にて、どちらかというとイケてない部類に入る主人公たちがイケてるグループを苦手としていたり、あるいは直接いじめられているといった事実が。
そのような描写は気分が良いものではないのですが、こうしたお話のセオリーとしては絵の謎を解き明かすことが直接、あるいは間接的に現実世界の問題解決につながり、大団円では嫌な人たちを爽快に駆逐する展開が待っているはずなので、それを期待して読み進めていました。
読み終えた結果としては「爽快に駆逐する」ものではなかったことや、絵の世界の謎が主人公に直接関係のあるものではなかったことなどから、今一つ煮え切らない感が残りました。確かに、真の今後の人生の分水嶺となる出来事だったかもしれませんが、必ずしも乗り越えなくても良かった(絵の世界に行かなくても良かった)事案だったと思うのです。
本作に限ったことではないのですが、お話の中心となる事件が主人公と関係がないものだったりすると、いざとなったら関わるのをやめるという逃げ道が付いてまわるので、やや緊張感が減退してしまうと思ってます。それが読み進めるモチベーションの減退につながるのですが、本作はそれに当てはまってしまっているかな、と。
裏を返せば、主人公たちが絵の謎を解決しなければならない強い理由があり、それを解決できなかったら命の危険があるような設定だったら、評価はほぼ確実に☆5になっていたかと思います。そういう観点でいえば、性別が同じだったり境遇的に救出対象である伊織に傾倒している城田の方を主人公に据えていた方が良かったように思います。
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2018/07/19了読。
少し前に購入してちょっとだけ寝かせた後、一気読み。
なぜか半分くらい読み進めてるのに序章だとばかり…思っていたら、気付けば後半、あっという間に読み終えてしまった。
読みながら何度も泣きそうになって顔が歪んだり、鼻をすすったり眼を瞬かせたりしていましたが、最後もうううって泣きそうになりつつも、やっぱり読後感は良くて、青春小説としても秀逸。
ファンタジー要素も強いけど、重きはそこじゃない。
母に勧めたいけど後半あたりのとこで話についていけなさそうなとこもあるし。
だけどこれは、ファンタジーではないと思う。
重い話です。
昨今ほんとうによくある話だとは思うけど、でも一概に一方だけを責められないのは、自分自身も母の一人だからかかも?とこの手のニュースを見るたび思う。
許される行為じゃないけどね。
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わたしはたぶん、変えないことを選ぶと思う。わたしは今のわたしもすきだ。中学1年生のときに初めて宮部みゆきさんの作品を読みました。手にしたのは「ブレイブ・ストーリー」で、分厚い上下巻だったけど、最後にたどり着くのが惜しいくらい夢中になった。
たしか主人公のワタルは、幻界で叶えられるたった一つの願いごとを、本来叶えるはずだったものとは違う叶え方をし、何も変わらない現界へと帰って行ったんだった。わたしはその結末がとてもすきで、何も変わらない現実と、確かに変わったワタルのその後を思った気がする。
この作品も、何も変えられなかった3人の人生と、ほんの少しのきっかけで変わった9歳の女の子の人生が、いつか重なればいいのにな。
個人的には文庫版の解説にとても共感してしまって、わたしも本がすきな子どもでよかったなって思います。
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久々の宮部作品。綺麗すぎないのがいいなぁ。綺麗なことしか描かないフィクションも嫌いじゃないけれど、このくらい現実味のあるフィクションのほうがわたしはすき。
世界はそんなに簡単には変わらないけれど、自分は少しだけ変えられる。タマがこの先もっと強くなっていつかパイナップルにフラッと現れてほしいな。
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一枚の精緻な城のスケッチの中に入る術を知った、中学生の男女とオジさんの三人組は、塔の中に閉じ込められた女の子を発見、救出を試みる。
設定は冒険譚風だが、テーマは、子供の生きづらさと救済だろう。
スケッチの中に入るまでの過程に多くページ数が割かれ、冒険部分よりも、絵の謎の解明が話の肝である。
何かとしんどい子供達の事情には、胸が塞がる思いだが、主人公の男子中学生は、家庭も自身も健康的で、話の其処此処に、人々の良心が散りばめられ、優しい読後感。
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今までの世界を変えるかもしれないボタンがあるとします。そのボタンを押せば、今までの人生はリセットされるかもしれないし、何も変わらないかもしれない。変わったとしても、それがいいふうに変わるかどうかも分からない。今よりお金持ちだったり、昔からの夢を叶えているかもしれないし、その逆もあり得る。
そのボタンの存在を自分だけが知っているなら、自分の一人の決断ですみます。しかし、そのボタンを他人も知っていたらどうなるか。そして、そのボタンを他人が押そうとしていたら……
何気ないきっかけから、精緻にデッサンされた古城の絵を手元に置くことになった小垣真。そして、真はその絵の世界に入り込むことができることを発見します。同学年の美術部の少女、城田珠美の力も借り、絵の中に入りこむことに成功した二人は、同じく絵の世界を探索していた大人(パクさん)とも出会います。
そして、絵の主題である古城に一人の幼い女の子の姿があります。三人はその女の子の正体を調べていくうちに、少女が親からの虐待から身を守るために、自ら絵に閉じ籠もったことを知ります。
そして、この少女を絵の世界から救い出すかどうかが、世界が変わる転換点となるのです。
序盤、真と珠美の意見は対立します。女の子を見つけた当初の主人公は、その子を救うよう主張するのですが、絵に入りこむと、相当の体力を消費するため(ひどい場合は内蔵がダメージを受けることも)珠美は慎重論を主張します。そんな珠美に業を煮やした真は、珠美を冷たいとなじり、さらに珠美の心の深いところを切り込むのです。
しかし終盤になって、二人の意見は逆転します。現状に満足している真は、絵の世界から少女を連れ出すことに反対し、逆に家族関係の不和や、クラスで無視される珠美は少女を外に連れ出そうとするのです。
それぞれの翻意を利己的と捉えるのは簡単ですが、自分に置き換えると、真の心情は痛いほど分かります。そして真が、珠美や同じく人生に後悔を抱え、珠美と意見を同じくするパクさんに対し、恐怖に近い感情を持ってしまうのも分かってしまいます。
だからこそ、珠美が真にこの話をした真意が明らかになる瞬間、抱いた感情は言葉では言い表せません。読者である僕の浅はかな理解を超えて、正義を正しく実行した彼女の姿は、とても輝いていたと思います。
どうしようもない現状も、人生を変えるのも簡単ではありません。それでも一つの行動、一人の存在、一つの気持ちが未来を変える可能性を持ち得る。そんなことを感じた読書でした。