紙の本
知られざる超特権階級の世界支配の構図を解説した興味深い書です!
2018/05/14 08:57
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投稿者:ちこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は、表題だけでも「マネーカースト」と興味をそそられますが、中身はもっと興味深いです。世界のわずか1%の超特権階級の人々が、99%の我々一般人からお金を搾取し、世界を支配する、そんな驚くべき知られざる世界が丁寧に紹介されています。ドル、円、それに仮想通貨までを操る超特権階級とは、そして、彼らの策略とは。世界経済を考えるためには、読んで損はない書です。
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この本の著者・ベンジャミンフルフォード氏の最新本(2018.7現在)です。丁度結婚した頃から彼の本は読んでいますので、20年以上の付き合いとなります。年齢も私より三歳ほど上なので、物知りの先輩からのメッセージという感覚でずっと読ませてきています。
元ジャーナリストであること、体を張って自分で調査していること、今まで本で述べてきたことは私は理解できること、から、この本のタイトルだけでなく書いてある内容も衝撃的ですが、恐らく正しい内容なのだなと思っています。それを私が他の人を納得させることは難しいとは思いますが。
日本では現米国大統領トランプ氏の言動はあまり報道されていないようですが、この本では、なぜ彼が傍から見ると、理解できない様なコメントをしているかの解説がなされています。そして、どんな勢力が、ヒラリー氏ではなくトランプ氏を大統領に協力したかということまで。
また中国の将来動向について興味を持っていますが、彼は中国の発展、さらには米国から覇権交代をする可能性まであると予測しています。その準備として、昨年(2017)に、中国元建ての原油先物取引市場が開設されたという事実には驚きました。以前だったら、イラク・フセイン大統領が、難癖をつけられて攻撃された様に、滅ぼされていたのではないでしょうか。この数十年で米国の趨勢も変わってきたことが伺えます。これも、ヒラリーではなく、政治家ではなくビジネスマンのトランプ氏が大統領になったことが影響しているのでしょうか。
英国ポンドが、米国ドルに事実上変わったのは、いつだったのでしょうか。歴史の授業では第二次世界大戦後のブレトン・ウッズ体制が確立されてから、ということになっていますが、その下地ができたのはもう少し前だと思っています。私にとっては、それまで知らなかったこともあり、「元建ての原油先物取引市場開設、中国元での原油取引開始」が、それに相当するかも、と思いました。
以下は気になったポイントです。
・ロスチャイルド家が率いる投資会社(RITキャピタルパートナーズ)では、2017年前半までにドル建て米国資産の投資比率を62→37%へと引き下げている(p18)
・近年のアメリカ株式市場の株価は奇妙な動きをしている、株価が史上最高値なのに、機関投資家・個人投資家達が、兆ドル単位で売り越している(p23)
・米国の失業率が改善したのは、96万人もの人々が失業率統計の対象から外されただけのこと、アメリカの場合、失業者とは過去4週間以内に仕事を探していた者のみ(p29)
・アメリかではインフレ率を低く見せるために、高騰する住宅費・医療費・教育費な正確に反映させない、価格変動の大きい食料とエネルギー価格を除外した、コアインフレである(p30)
・金を取り巻く混乱した状況にあるので、金の価格は今の4倍:1オンス1300-5000ドル、最終的には8倍の1万ドルになると予測されている(p36)
・2017年9月、アメリカの重要な原油輸入先であるベネズエラ政府は、今後ドルでの原油支払いを受け付けない、代わりに人民元建ての原油決済を実施するとした(p38)
・2017年5月、アメリカの自治領であるプエルトリコが破産手続きをした、負債額は740億ドル、2013年のデトロイト市の4倍のレベル。デトロイトがアメリカ政府から独立した州の管轄下であったのに対して、プエルトリコは、事実上ワシントンDCの直接管轄におかれていて、元首はアメリカ大統領である。アメリカ政府には、すでにプエルトリコの破たん問題を解決する力が無い(p41)
・アメリカ予算が執行する直前には、中国の格付け機関「大公国際資信評価」がアメリカの信用格付けを「BBB+」に引き下げた、ペルー・コロンビア・トルクメニスタンと同格(p43)
・ハザールマフィア(ハザール系ユダヤ教の教祖である、サバタイによる継承者)が人間を支配するのに作り出したシステムは、宗教・貨幣・暴力である。貨幣は金融、暴力は戦争と結びつけることで力をつけてきた(p49)
・ロスチャイルド家の創始者・マイヤーの5人の息子たちは欧州中で事業を拡大していくが、父親の通貨発行権の願いを実現したのは、イギリスで展開していた、三男のネイサン・メイヤー・ロスチャイルドであった(p50)
・ナポレオン戦争の戦費調達のために、一時的にイングランド銀行の金はほぼ海外に流出していた、ネイサンはイングランド銀行の発行する銀行券を買占め、イギリス政府に金との交換を求めた、イギリスはイングランド銀行の破たんを回避するために、ロスチャイルド家と和解して、イングランド銀行の株式譲渡を行った、これによりイングランド銀行は民営化された、さらに出した条件が、イギリスと同格の行政機能が与えられた「シティ」の割譲。これにより国際金融資本が集まってきた、それに伴い、シティが発行するポンドが基軸通貨となった(p52)
・現在、トランプは北朝鮮の脅威を叫んでいるが、そもそも1998年に北朝鮮が人工衛星・光明星1号を打ち上げた時点で、ミサイルはアメリカを射程圏内に入れている(p75)
・1871年、コロンビア特別区基本法が可決、政府所在地であるワシントン市を特別区に統合した特別都市「ワシントンDC」が誕生する。ここにはアメリカとは異なる法制度が敷かれている。ロスチャイルドは、イギリスでは「シティ」アメリカでは「ワシントンDC」を誕生した。一国の政治中枢が独立した自治区に存在する、いびつな政府が作られた(p85)
・1913年にウィルソン大統領は、オーウェン・グラス法に署名、ここにアメリカを12地区に分割して、それぞれ連邦準備銀行をつくり、その上部に連邦準備制度理事会(FRB)を置く連邦準備制度が成立した(p88)
・1ドル札を持つということは(BillではなくNote=証書)1ドル分の価値があるものを手に入れたわけではなく、FRBに1ドル貸しただけ、つまり米国債という「借金札」と引き換えできる「借金札」である米国債を担保しているドルは、金利の返済分(ハザールマフィアの取り分)だけ目減りして価値が下がる(p90、92)
・購買力平価GDPで算出すると、アメリカ・欧州・ロシア・日本合計で全体の40%だが、AIIB加盟国のGDPは80%を超える、世界経済の中心はすでに欧米からアジアへとシフトしている(p104)
・中国は人民元建ての原油先物を2018年3月26日に上場する。ベネズエラ、イラン、ロシア等の産油国は応じる方向、サウジアラビアなどの湾岸協力会議(GCC)が加盟すれば、国際基軸通貨が「石油本位制米ドル」から「金本位制中国人民元」に置き換わるのも時間の問題であろう(p106)
・中国が仮想通貨の取引を禁止したと記事にあるが、正確には停止命令は、仮想通貨と人民元との交換であり、他の外貨との交換は認めている、中国が目指しているのは「公定デジタル通貨=デジタル人民元」である(p114)
・NATOの中でアメリカに次ぐ軍事力を持つトルコだが、2017年11月13日に、ロシアの地対空ミサイルS400を購入したことを発表した、これはアメリカとの同盟関係を断ち切る宣言と言える(p121)
・2018年2月には、ロシア副首相は、ロシアはSWIFTにアクセスしなくても生き残る準備はできていると発言した、ロシアは非公式に、もしロシアがSWIFTから撤退すれば、一斉に12か国以上が同調すると通告した(p125)
・アメリカがエルサレムをイスラエルの首都と認定した問題で、「認定の撤回をアメリカに求める決議案」は圧倒的多数で採決された、これには、アメリカ同盟国G7(日本も)、ロシア、中国を含む128か国、アメリカに支持したのは、イスラエル・グアテマラ・ホンジュラス・トーゴ・ミクロネシア・マーシャル諸島・パラオ・ナウルの9か国、カナダとメキシコは棄権(p132)
・イギリスを再びイギリス連邦に統合することをエリザベス女王は目論んでいるが、バチカンはキリスト教圏主導の世界政府の樹立を考えている、その礎が、2016年2月のローマ法王とロシア正教会総主教との会見、約1000年ぶりに行われたトップ会談(p139)
・2017年10月30日から11月10日までの間に、全米24地域で確認済でも、2万2500人におよぶ大物政治家・財界人(ホワイトハウスの職員も4割以上が解任・辞職)が逮捕起訴されている(p149、150)
・2017年10月、カリフォルニア州北部で史上最大ともいわれる森林火災が発生したが、これにより東京都23区を上回るエリアが焼失、10万人が住居を失った。このときレーザーのような光線が放射されている映像がアップされた(p172)
・1938年にアメリカが中国の大富豪から米国債を担保に借りた戦艦7隻分の金の返済期限は60年とされていた、その起源の1998年になっても返済しなかったので、子孫の訴えを受けて返還命令が下され、第一回目の受け渡し予定日が911テロの翌日であった。金の保管場所が世界貿易センタービル地下金庫、受け渡し場所は、北棟の101-105階にある、カンター・フィッツジェラルド証券、受け渡し責任者はブッシュ大統領であった(p191)
2018年7月8日作成