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修一郎さんは今まで楽しいと思ったことがあるんだろうか?
淡々と語られる言葉に流れを感じるけれど熱は感じにくい。
海の光を追っていってしまった妹……彼の海にはほんとうに光がないのだろうか。
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ある人から見れば光がない世界だけど、ある人から見ればそれが光であって、そうやって関係が紡がれていくのだろう。
#光のない海 #白石一文 #読書記録
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人の一生は様々な局面を経ながら結果としてある今をどう認識できるか?が幸福感と相似形に映るものだけれども、一般的には幸せとしか見えない人物にも本人にしかわからない人生がある事を著者はこの主人公で示してみせており、この人生観こそが著者のベースにあるのだと感じた。ひと頃、超常現象を作品のモチーフに取り入れた作品を上梓した頃は著作を手にしなかったがこの作品は以前の輝きを取り戻した様に感じる。
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いつもながら、白石作品の中に入り込んでしまった。
人は誰でも知らないまま生きてきたことを持っていると思う。もし、その時に知っていたら生き方は変わっていたのか?と考えてもどうしようもない。だからこそ、主人公は思わず湖に向かって歩いて行ってしまったのか…?
家族が家族として生活する意味や、不幸にして別れ別れになってしまった家族を思う気持ちなど、作品を通じて疑似体験した。
興味深かったのは、犯罪加害者の家族が描かれていたこと。自分ではなく家族が加害者になった時、人は何を考えどう生きるのか…つらく、苦しい気持ちの持って行き場はどこにあるのか?白石さんの思いが堀越夫妻の生き方に現れていて、感動した。
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【あらすじ】
建材会社社長の高梨、50歳。先代社長の娘と離婚し、現在は一人暮らし。彼を取り立てて社長に据えた先代の女社長とは、誰にも言えない秘密があった。「生」の意味を問いかける長編小説。(解説/下山 進)
【感想】
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ふいに訪れる孤独感。会社の社長としての責任。新しい人との出会いや、これまでもよく知っていたと思っていた人たちの知らなかった一面。そういうものから自分の内面を見る。生きている意味、これから生きて行く意味。人と人との関係のなかで感じる孤独と絶望にも似た静けさ。人生を振り返る時に見える景色の色は、その時浮かぶ感情は希望か諦めか。
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著者は、早稲田大学卒業、文芸春秋入社。藤沢周平などの編集者として活躍。父親は直木賞作家の白石一郎。幼い時から本に囲まれ、本を読みまくっていたようだ。小2でドストエフスキー『罪と罰』を呼んだという逸話も。2000年に『一瞬の光』でデビューし、2010年に『ほかならぬ人へ』で直木賞受賞。本作品は24作品目。文芸春秋は結婚直後のパニック障害と、九州にいた父親の癌で退職している。影響を受けた本はカミュの『異邦人』という。村上龍や司馬遼太郎の作品もほとんど読んでいる。村上というと春樹より個人的には、村上龍の作品という。父親は韓国の釜山生まれで著者の祖父は金持ちだったようだ。弟も双子(白石文郎)で作家。巻末解説で下山進は、「白石一文は、エリート編集者で文芸春秋時代は社長候補だった」と書いている。
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ある男性の半生記。中小企業の社長に収まっているけれど、それには彼の生涯の紆余曲折と人間関係が。何が幸福で何が不幸なのか、一般論ではない本人の気持ちはどうなのか。淡々と出来事が起きながら過去を回顧しながら考えさせられる。
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序盤は主人公の行動が異常?と思う部分があり、今後のストーリーに効いてくるのかな、と思って期待して読み進めた。とくに何もないままに話が流れていき、全体的に何もなかった。
なんだか、不思議な小説だった。
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机や椅子といった什器の類の入れ替えを行なっている 鬱々とした気分も軽くなっていった 水瓶ボトル 厳しい淘汰の波をもろに被る立場だから 胃に穴が空くほどの呻吟を持つ繰り返している 「ハチノスって分かりますか。牛の胃袋なんですが、その煮込みをトリッパって言うんです」白山通り 御崎町 海蛇の水入れ 昌平橋、万世橋、秋葉原駅前を経て道なりに神田川沿いを走れば、じきに浅草橋だった。昭和通り改札 電気街に立ち並んでいた各店舗は軒並み客足を奪われていったのだ どん底には底があること、峠には折り返しがあること、逆境とは一つの境地に過ぎないということを、私は心のどこかで察知していた気がする… 家計は逼迫し 蛍烏賊の沖漬け 今日は佐藤の黒にした 啖呵売たんかばい てんぷ天賦の才 名古屋はパチンコの本場だからね しゅんいち舜一 水道橋駅ホームの向こうに四十三階建ての特徴のあるビルが聳え立っている。設計は東京都庁と同じく丹下健三で、彼の晩年の作品だった。 景色の素晴らしさを加味するなら破格の値段だろう じょせい女婿 憤懣やるかたないといった表情 暗々裏あんあんり 神田須田町 私はしんかめ神亀を、堀越さんは獺祭を頼む。 きょそ挙措動作 どうにもならない事実は何一つ変わりようがないんですから 安易に肯くことも憚られる気がした いのちの支えという言葉に私は耳を留めた 先代の懐刀でもあったらしい 間遠あいどお 幾ら返杯へんぱいを受けても顔色一つ変わらなかった 外に出ると車寄せに黒塗りの大きな乗用車が横づけされていた 徳本美千代の墓は小石川の伝通院にある 都内屈指の名刹めいさつ 辣腕を振るって 湯島や上野で密会 太い幹には注連縄しめなわが張られ 暫し合唱瞑目 壱岐坂下 どくしゃく独酌に耽る 手取川の大吟醸 しばしば蒙が啓かれるような適切なアドバイスを貰っていた 天狗舞に切り替える この子を通して、いま自分の血と美千代の血とがしっかりと繋がった…。私はその事実に身の内が震えるほどの感動を味わっていたのだ。神をも畏れぬ、なんと淫靡で罰当たりな喜びだったであろうか。 欺いて 戸山の国際医療研究センター病院 一切合財が 山川草木に乏しい街場には故郷を偲ぶよすがなど何処にもない 昭和レトロを絵に描いたようなかつての繁華街は 砂子いさご 銀座街の入口に「天龍」の看板を見つけ 私達はその捻じ曲げられた物語に何とか辻褄を合わせようとチョーク片手に呻吟し、結局は、ろくに辻褄を合わせられぬまま、死という黒板消しによって書きかけの物語をあっという間に消されてしまう。 じつこん昵懇の坂崎悦子とも 至極まともな このコーヒーミルは石臼のように磨り潰すのではなく 私は、龍鳳斎の醸し出す雰囲気に、底の深い慈しみのようなものを感じた。 吟味してきた はしった奔った こちらの不寛容な態度のせいで その感懐は 巣鴨のぼだい菩提寺 江戸切子の職人 彼女の忌憚のない意見を是非聞いてみたかったのだ 高梨さんは顔の筋肉を節約し過ぎよ 専務の大庭に対する評価も蒙を啓かれるような心地がした 案外正鵠を射ているかもしれない よう杳として知れなかったのだ 神田川は両国橋が架けられている地点で隅田川と合流するのだ 支え合う伴侶 楽園の樹=パラダイス・ツリー 敵愾心 ゆうげ夕餉時を迎えて 白石一文信奉者が多いのも��べなるかな いずれは存在の有無さえ確認不能な黒々とした闇の中へと飲み込まれてしまうのだ 彼等の考えるのとはまったく別の方向に白石さんの豊かな鉱脈があったことを意味している 複雑な陰影を持って描かれたり しゅっしょく出色の出来 鳥瞰する視点によって描かれる
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白石一文先生の中で何か変化が起こったような、これまでとは少し違いがある作品だと感じる。
誰かを思ったり、誰かに思われたり、主人公と相対する二人称の誰かとの物語ではなく、主人公が40年余りに出会ったり関わったりして来た人々のなかなかに壮絶な人生を主人公を介して丹念に描いている。主人公が辿った父を母を妹をなくして来た生い立ちと恩人との関係だけでも結構お腹いっぱいになるくらいの話に出来そうなのに、実演販売員と祖母、社員寮の管理人夫婦、それに勤め先での吸収合併騒ぎなどそっちもこっちもドラマがあって、取り留めがなくなってしまいそうなところを主人公の人柄というか礼儀正しさと人情味がそれぞれのドラマを上手く絡めて受けて止め、苦しさに悶えて来た自身の人生の意味を見つめ直して答えを見つけたような…そんな物語だった。
なぜそうも人に優しく出来るのか?生い立ちや社会に出てからの複雑な歩みを見ると面倒見が良い性格だった…とは思えないほど、他者への心配りが出来る人物であるし、もっと歪んだ所が見えてもおかしくない気がしてならない。彼が人としての美しさを保ち続ける事が出来たのは、不適切な関係であったそんな彼女から受けて来た寵愛が彼を作って来たのかなって感じてしまう。不幸もいっぱいあったけど、幸せも手にしていた事に気づくのに時間がかかったんだろう。彼女を失った時、一緒に…ラストでの告解のような一文に、愛していたんだな…って感じました。
本作は割と最近の作品なので、この後の作品がどんな風に味付けされた物語なのか?これまでとは違う白石一文を早く味わってみたい。
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著者初読み。
映画化された他の作品の原作が読みたかったのだが、見当たらないので、「孤独」を描いた作品と言うことで、読んでみた。
50歳を過ぎた会社社長の孤独をテーマに描いていると、裏書にあったが、正直、主人公は全然孤独じゃないし、登場人物がみんな不幸自慢をしているような内容で、読んでいて、あまりいい感じはなかった。
多かれ少なかれ、人はそれぞれ孤独な部分を持っていると思うし、それを前面に出して、他人に理解を求めようとする登場人物が多過ぎる。
50歳にもなれば、誰も大切な人の一人か二人は亡くしている。それを自分だけが不幸みたいな感覚に陥り過ぎている主人公には、全然共感出来ない。
経営の話も少し出て来るが、全然経営者らしくないし、たった一度あっただけの女性に執着したり、こんな50歳の男性がいたら、ただただ不快。
これでラストで主人公の望むとおりになればいいが、少し希望を持たせるような終わり方なのも、最後まで何が伝えたいのか分からない作品だった。
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久しぶりに読んだ白石一文。
白石ワールドを堪能した。
ストーリーにリアリティはないが、引き込まれた。
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またとんでもない白石一文作品に出会ってしまった…
中堅建材会社社長の高梨修一郎の50年間を辿る。登場人物もりもり群像劇パターンで、とんでもエピソードもりもりパターン。
不倫はもはやデフォルトで、粉飾決算、猟奇殺人、失踪、焼身自殺、刃傷沙汰、性的虐待まで出てきて収集つかなくなると思いきや現実感は失わない。スピリチュアルな所は置いておいて。
それは現存する苦しみだから。
「孤独」を書いた作品だけど、とにかく愛がすごいなと思った。愛というか、縁?運命的なつながり。
肉親を皆失い、妻に裏切られ息子も失い、社長職も退き、生涯で唯一愛した人をも喪ったことに気づく。
人が抱え持つ絶対的な孤独は消して埋められない。だからこそ支え合うし、だとしてもひとりひとりはバラバラに過ぎない。
いわゆる男女の愛情だけじゃなくて、あらゆる事や物を通じた縁で、ゆるやかに繋がっていく。
あと白石作品によく出てくるバーのママ的な人出てきた。受付統括の島田富士子。
孤独な経営者のことを公私共に知り尽くしていて適切なアドバイスができる女性。突然バブル期経済小説みたいになるけど、言ってることはすき。
時系列や場面がくるくる入れ替わって少しずつ過去が紐解かれて繋がりあっていく。集中力を途切れさせない書き方は流石だなと思う。結構分厚いのにいつも一気読みしてしまう。
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ハラハラドキドキするミステリー小説ばかり読んでるから少し物足りないけど不思議な感覚で読んでた。
みんな孤独を抱えてるとかいろんなことが重なって不思議な経験するのとかは共感するというかすごく分かる