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『しをちゃんと僕』とは違った意味合い、もしくは、方向性の深さがある作品、それが『息子が可愛くて仕方がない魔族の母親』だ
『しをちゃんと僕』が死ねぬ辛さと、そんな異常な自分を受け入れてくれる友がいる、その嬉しさを読み手に説いてくれる一方で、『息子が可愛くて仕方がない魔族の母親』は子育ての苦楽と、他種族が共存できる世界を作っていく事の大変さと、それに見合った意味がテーマとして貫かれているように、私は思う
子育てって面があるからこそ、単なる異種族恋愛ものには出せない色が楽しめるのだ
私は、さほどピンと来ないのだが、子供を育てている、また、育てた経験がある人なら共感できる、“イベント”をしっかりと押さえている点も良い
子供が名前を呼んでくれる、ママ友が出来る、など人間の親子でも嬉しい出来事を描く一方で、行方が知れなくなったママ友と息子の初めての友達を探しに、およそ、安全とは言えないエリアに潜入するあたりが、この作品らしい
そんなストーリーの中にも、個性の意味や、長く続け過ぎて意味が薄れた争いや諍いの無為さを盛り込んであり、十五夜先生の言いたい事が、しっかりと伝わってくる
『ゴールデンカムイ』や『テラフォーマーズ』にも、決して負けないメッセージ性がある、と私はファンとして断言したい
つまり、週刊ヤングジャンプに読み切りを掲載してください、ってこと
今の週刊ヤングジャンプがつまらないって訳じゃないが、一部の作品以外が、ガツンッと来ないなぁ、と感じてしまうのも事実
ここらで、『となりのヤングジャンプ』で連載している漫画家の皆様に、本誌に読み切りを掲載してもらいたい
本誌に読み切りが載れば、その作品に興味を持つ本誌派もいるんじゃないだろうか
どんな内容を読みたいか、そこを聞かれると迷うが、お色気要素の強い内容だ、と嬉しい
まぁ、それはさておき、(5)が楽しみなのも事実
ゴスペルを育て、彼だけでなく、昔の自分とも向き合い、それを乗り越える事で、徐々に良い意味で丸くなりだしてきているローレムに、次はどんな変化、ママとしての成長が起こるのか、ゴスペルは次に何をして、家族の皆をハシャがせるのか
その辺りも胸が期待で膨らむが、この(4)のラストで登場した青肌の魔族姉ちゃんが起こす波、そして、今回の潜入の際、ローレム宅に用心棒として参じたジークさんと、ローレム・ゴスペル母娘との関係は実に気になる
ベタな予想が、次巻以降で的中するのか、それとも、外れるのか、どっちだろう
後出しだ、と言われるのも癪なので、私の予想を今の内に、ここで述べておくが、ジークさんはローレムの旦那、ゴスペルの父親ではなく、その男の兄弟なのかな、と思っている
どの回も好感が持てるけど、単純なインパクトで印象に残ったって意味でなら、ぶっちぎりは、第91話「殲滅の狂炎」だ
恐ろしい、としか表現のしようがない。炎とは原始にして根幹たる、最も、単純な破壊の形だな、と思う
私の小説にも、これくらい、インパクトを与えられるキャラを登場させ、活躍させたいものだ
この台詞を引用��選んだのは、ローレムの「強さ」が見えるので
“殲滅の狂炎”と恐れられていた頃も、確かに彼女は強かったんだろう
けれど、増えた「守りたい物」の為に、その力を正しく奮えるよう、頑張っている今の彼女の方が、魅力は大きい
このキャラが言うからこそ、言葉に宿る力の厚みも変化するってのも学べた