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「隠しません!」、「頼ります!」、「発信します!」が誰でも自然にできる世の中にすれば、日本はきっとハッピーな国になる。
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移動中の車内・機内にて読ませていただきました。
医療界隈にこれまで興味のない方々が読まれても理解ができるように随分とかみ砕いて丁寧に文章が綴られているような印象を受けました。
こういった本を一般の方々がもっと読まれると、様々な思い付きや個人の経験レベルに基づいた発言などで振り回されることがなくなるのでしょうね。
この本にも様々な統計データが登場しますが、それらの出典は文字では明らかにされているものの、最近の類書で多いURLが記載されているようなスタイルではなかったのがちょっと残念な印象です。(些末な指摘ですんません)
付箋は20枚付きました。
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失敗が起こりうる市場において、それでも医療の提供は各医療機関の自由、医療の需要も各国民の自由としていた、そんな状況でも、漠然と、質の悪い病院は淘汰されていき、各地で適切な医療の量になあっていくだろうと想定していたけれど、蓋を開けてみたら実際にはものすごい地域差が出て、全然そんなことなかった。やはり市場の失敗だということが、近年の内閣府の医療の見える化で露呈したわけです
リスクはゼロを目指すのではなく、上手にマネージメントするもの
病床の多寡と医療費(医療の供給量)が比例関係にあるのであれば、実は医師の疲弊を招いているのは、コンビニ受診という患者サイドの要因にもまして病床数という医療提供サイドの要因の方が多いかもしれまん
官僚的な上からの管理でもダメ、市場原理に任せてもダメで、「医療にかかわる職業的専門家(集団)が中心になり、学問的治験と職業的倫理に基づき管理運営されるべきであり、その最重要なのは、医師相互による批判点検を行うことが前提条件とのことです
県によって人口あたりの病床数が2倍以上もあるという状況は、質の悪い病院が淘汰されていない日本の現状を示唆しています。しかもそれが医療費に強く相関している。これは市場の失敗の好例というのではないでしょうか
宇沢弘文 社会的共通資本
このような制度的前提条件が満たされているときに、実際に保健医療サービスの供給のために、どれだけ希少資源が投下され、どれだけコストが掛かったかによって、医療費がきまってきて、その額が国民経済全体からみて望ましい国民医療費となるわけである。医療を経済にあわせるのではなく、経済を医療にあわせるのが、社会的共通資本としての医療を考えるときの基本的視点である。このような視点に立つとき、他の条件にして等しければ、国民医療費の割合が高ければ、高いほど望ましい結論が導き出されるのである
自分や家族に本当に必要な医療の量がわかって、初めて地域に必要な医療の量を知ることがでkる
我々はかけがえのない医療資源を使い果たしながら、どこまでも病院ばかりを求めてしまうのでしょうか
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コロナで医療資源の在り方について興味を持った。そしてこの著者がNHKのドキュメンタリーで病床数と入院日数の相関関係のグラフを示しながら「医療誘発需要」について語っていたことから著者自身に興味を持ち、著者指定で借りて読んだ。
いわゆる「医療費亡国論」の本。
著者は夕張が財政再建団体に転落後に夕張の病院で務めた際に、医療体制が大幅に削減されても死者数が全く増えなかったことから、現在が「医療過剰」の状態にあるのではないかと思い、その旨の論旨を展開している。経済学部も卒業していることから統計データをなるべく駆使しているのが良い。アカデミックなレベルではないが、十分入り口になり得る本。
ただ市場も政府もうまくいかないから医療職業者の医師会に任せろ、というのは危険な論旨に感じた。
コロナ禍で強く感じた「最大の圧力団体である医療界」というものの背景と論理をうかがい知ることもできるし、今後の国民的課題がやはり医療にあるのかな、ということも知れる。面白い本。
著者の「医療崩壊の勧め」という本も読んでみたくなる。
引用
P8
それまでの私は、純粋に「病人がいるから医療がある」と信じていました。しかしこのグラフを見れば、「病床がある分だけ病人が作られる」という、ある意味極論に達してしまいます。(中略)そのとき、「医師誘発需要」「医療市場の失敗」という言葉を初めて知りました。
P198
こうして現在の「国際的にみて異次元レベルの薄利多売の世界」が形成されていった、というのが本当のところなのではないでしょうか。経営を考えればどの病院も常に満床を目指すのは当然です。銀行も経営コンサルタントもみな口をそろえて「病床稼働率をあげろ」と言いますから(また、銀行や経営コンサルタントは昨今、病院が高齢者在宅や介護施設・在宅診療所を経営することを勧める傾向にありますが、これは病床稼働率を上げるための「入院予備軍」としての高齢者を確保する常套手段です)。
しかし、世界一の病床数の日本でみんなが満床を目指せば、当然、国の医療費も上がります。その対策として国は診療報酬をより低く設定せざるを得ないでしょう。(中略)世界一の病床を持っているのにも関わらず「いざ」という時に医療が機能しない。これらは、まさに「薄利多売」の世界観と「医療市場の失敗」を象徴するものなのかもしれません。