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湊かなえが描く「女」は頭がいい。
価値観に忠実に、理路整然と論理的に自分を傷つける。けして賢くはないんだけど、傷つき方に筋が通っている。
鼻先町という片田舎でずっと暮らしてきた「女」と、
旦那の転勤で数年だけお邪魔している「女」。
そして鼻先町の魅力発信に使命感を燃やすよそ者の「女」。
それぞれがそれぞれをやっかみ、
どうにか自尊心を保ちながら距離感を模索する。
独身の若い女同士なら気が合わなければ自然と離れていくのだろう。
だけどそれぞれの子供たちが親しかったり、
コミュニティの役割を持ち合ってたりする「大人」の女同士だとそうはいかない。
本心を探りあいながら、下に見られないように虚勢を張り、だけど時には下手に出ながらうまく付き合おうとするんだ。
この物語には車椅子の女の子をめぐる「善意」と「偽善」の話や、数年前の殺人事件をめぐる町のごたごたが描かれているけれど、
やはりどこを切り取っても、頭が良くて賢くない女たちの話だと思う。
それは私のようで、ちょっぴり悲しくもなる。
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鼻崎町という小さな町の中で繰り広げられる話。
湊かなえさん独特の、女性の心理を表現してる。私はあんなに裏の裏まで読む女性って、めんどくさくないのかなと湊かなえさんの小説読むときは度々思う。
鼻崎町はいいところもあるようだけど、誇りを持ってそこで過ごしてるのか、はたまた出て行く人に対して羨ましい気持ちの人もいたり、どっちだと思った。
後半は話の展開がみるみる進んで行き、面白かった。
少女二人がなぜ誘拐されたのか、火災が起きたのか、最後の日記でわかり、スッキリした。
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この作品、『善意』を謳い文句にするのは違うと思う。
出てくる登場人物がみなそれぞれ自身を大事にしているだけ。
菜々子は食えないやつ、すみれは頭悪い、光稀は気の回しすぎな印象。どれもこれも少しクセあり。
プティ・アンジェラの口賢しいふたりもあまり信用ならない。
彩也子が一番怪しいけどね。
実は『親友』久美香をいじめてるのかと思ってたけど、違うのか…となって、でもイマイチそうとも言い切れなくて、久美香側からの主観が少し知りたいかも。
義母の失踪、金の出所、健吾の事件エピソードに関して言い回しや展開がわかりにくい箇所あり。
人物の愛憎がいつもの湊さん作品よりはライトで、善意云々が的外れな紹介ということもあり、少し期待ハズレだったかも。
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善意とか悪意とかでなくて
よく見てなかったり
よく考えてなかったりしてるだけってこと
本当によくあるから
どうしようもない。
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相変わらず登場人物の内面を表現する事や人間関係の表現はとても印象的で凄い。
1つの街の中で昔からの住人と新しい住人との関係性なども含めて物語は進んでいきゴール地点が見えないまま最後を迎える。
答えが出た時の達成感と同時にどこかもやもやした感情も残させるからまた違う作品も読みたくなる。
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いや〜な気分になりました
事故で歩けなくなった小学生を持つ親子
その子と友達になった子を持つ親子
陶芸家と画家の籍は入れていない夫婦
港町、鼻崎町を舞台とした3組の親子の物語
車椅子の子とその友達の美しい話を自身のホームページに載せ「クララの翼」を立ち上げた陶芸家、しかし車椅子の子は本当は歩けるんじゃないかと噂が立つ。
昔、鼻崎町で起こった殺人事件の犯人から子ども二人を誘拐したと身代金要求の脅迫状が届く。
色々な問題が出て表面上は仲の良かった3組は結局バラバラになる。
あなたにとって「ユートピア」とは?
十人十色で答えが出ると思う。
その通り3組の親子の「ユートピア」はそれぞれ違っていて求めている方向もまったく違う。
表面上は仲良くしていても結局自分の事しか考えていない結末になんかいや〜な気分になりました。
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健吾や子どもたち側の主観ももっと読みたかった。
親の人間関係にも敏感な聡い彼女が罪悪感や後悔が全くなく、反省の色すらみられない。子どもの純粋性だけで片付けて欲しくなかった。これが帯の「善意は悪意より恐ろしい」ってことなのかと思うとなんだか違う。
人物描写をこれほど上手に書く作品に初めて出会いました。芸人横澤夏子の女子あるある並に、日常にいそうなリアルなキャラクターです。特に3人の女性の心情描写は、鋭角で、どす黒い感情部分を持っていて、心臓の音や汗ばみ、怒りの熱量まで伝わります。
健吾の描写が足りなく感じます。異質性を出して対比になるぐらいのインパクトが欲しかったけど、正直良く分からない人のままでした。人殺しもするのに、口実なのか子ども達のために狂言誘拐までして。家燃やされて、「芝田」になっちゃって。ただ金が欲しかったのか、、。謎と膨らみじゃなくて、良く分からない人のままなのが勿体無い。
五年前の殺人事件がどう関係していかのか楽しみに読んでたけど、尻すぼみで、綺麗に作った感が否めないし、書かれていない部分をミステリアスに受け取ることもできなかった。
菜々子のあの終わり方も、あんな妄想を楽しみにウハウハする軽い楽天的な人じゃないのになーと。後半の文書が駆け足でさくさく終わっちゃったのが残念( ´・ω・` )
この本は、映像化したらつまらない。小説だからこそ面白い。読みやすくて、珍しく短い期間で読めました。女同士の戦いは、読んでいて刺激的でヒヤヒヤさせられました。
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工場城下町に住む地元出身の菜々子、夫の転勤でこの街にやってきた東京への執着の強い光希、脱サラして本来やりたかった陶芸をやるために引っ越してきたアートタウンに住むすみれ。出身は違えど、交通事故で歩けなくなった菜々子の娘と、それに付き添う光希の娘との友情から大人も結びつけられる。しかし街は五年前に殺人事件が起きて犯人はいまだ逃亡中と言う過去がある
出る杭は打たれる田舎、妬み、やっかみ、足の引っ張りあい、いちいちもっともだなと思う。悪意のない批判もネットで文字化されると相手を傷つけてしまうものだと再認識。結末はイヤミスとしてのイヤさは少ないけど、人の悪意でない悪意を描いたのはさすが。
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太平洋を望む人口約七千人の港町、鼻崎町に来た陶芸家のすみれ。商店街で仏具店を営む菜々子。夫の赴任を機にこの町へやってきた光稀。3おばの愚痴、妬み、やっかみ、女性のいやな部分がてんこ盛りで読んでいてとてもいやな気持になった。幼稚園の頃に交通事故に遭い、小学生になっても車椅子生活を送っている菜々子の娘の久美香と光稀の娘の彩也子の友情がほのぼのしているところが救いかなと思っていたらだんだん雲行きが怪しくなってきて落とされた。後味悪い。
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善意が人芸関係を良くも悪くも深めるということを改めて気づかされるというか知らされる。
書き方的には簡単ではなく読者がどう受け取るか様々だと思ったけど 3人の女性を通して感じ方だったり考え方だったり受け止め方だったりが違くて女の心理って怖いなと深く感じた。
実はわたしもこう思ってしまう と自分にも当てはまる部分が多くあり みんな偽善者ぶってるけど実際はやっぱりこのような場面でこういう風に思うのは普通なんだ と開き直る(?!)場面も個人的には多かった笑 自分がそこまで性格曲がりではなくて世間一般的に女はこういうもんなんだと逆に認めようと思ったというか、、、笑
こんなドロドロと女の心理戦で進む物語だけど 最後あっさりと子どもの語る純粋なあらすじで締められていて全体的には面白いバランスだった。
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ちょっと、間をあけて読んでしまうと、誰と誰が親子かわからなくなって苦労します。
途中から加速して一気に読める感じだけど、
最後の最後で、へっ!?ってなった。
悪者じゃなかったのね。と思うと同時に、
結局のところは。。。?と、少し、消化不良です。
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お久しぶりの湊かなえはやはり湊かなえだぁ〜!
安定の湊かなえ。
安心の湊かなえ。
いや安心ではないか。
でもいまいち帯にある“善意は悪意より恐ろしい。”ってのは実感できず。
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湊かなえの心理ミステリ
海を臨む田舎町を舞台に、元の住人と移住してきた芸術家たちとの交流と出来事を、いくつかの事件を通して描いています。
いかにも「湊かなえ」な展開で進んでいくのですが、クライマックスがちと拍子抜け・・・そして最後は狙いすぎ・・
少し「イヤミス」を意識し過ぎて空回りしてるように感じてしまうのは、私だけでしょうか??
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ミステリ
かかった時間140分くらい
鼻崎町、という港町と、そこにできた芸術村を取り巻く、3人の女性の物語。
それぞれの夫婦?関係や家族関係に、数年前に起きた殺人事件と、失踪したその容疑者が絡む。
湊かなえらしく、一人称による思いの吐露や見方のズレ、意外な真実、なんかを感じるが、個人的には「Nのために」とか「母性」とかの方が好きかなー。
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日本有数の食品加工会社で栄えた鼻崎町。
景色が良く、それも売りで芸術家たちもやってきた。
しかし、町には殺人事件が起こった過去があり、その犯人は捕まっていない。
そんな町に住む3人の女性。
車椅子の娘を持つこの地にある仏壇屋に嫁いだ菜々子、食品会社で働く旦那の転勤でこの地にやってきた光稀、陶芸家のすみれ。
彼女たちのそれぞれの立場になって書かれる内容、それはあまりにも自然で物語に引き込まれる。
しかし、最後にはモヤモヤが残る。
湊かなえ作品の醍醐味だろう。
2018.9.8