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高評価の前情報ばかり知っていたので、ちょっと期待しすぎてしまったのか、世界観になかなか入り込めなかった。
こんなに意味がよくわからない言葉を並べているのに、何か大事なことをしゃべっている気迫があるのはすごいなーと思った。
見たこともないのに思い出せそうなきみの泣き顔 躑躅の道に
冬の樹々が散らす枝枝、もうずっと花火より火だ あなたさえ火だ
ストローをきみは噛みつつ風吹けばたちまちに風の表情となる
これらはギリギリ言っていることがわかる上で響きも綺麗だと思えた。この方の短歌は、意味とかではなく音で読むのかもしれないけど、意味にも感動したい。
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期待の若手歌人の第二歌集。言葉の使い方が奔放で、魅力的だ。「狂うのはいつも水際 蜻蛉来てオフィーリア来て秋ははなやぐ」「あなたはわたしの墓なのだから うつくしい釦をとめてよく眠ってね」「そのひとを怒りはうつくしく見せる〈蜂起〉の奥の蜂の毛羽立ち」「手をあててきみの鼓動を聴いてからてのひらだけがずっとみずうみ」「紫陽花はさわると遠くなる花で(あなたもだろうか)それでも触れる」「蛇よりも鐘になりたし火に濡れてきみの最期の声さえ聞ける」「馬の背は光に濡れて 来た、壊した、焼いた、殺した、奪った、去った」「肉体の曇りに深く触れながらカミーユ・クローデル火のなかの虹」
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・雨沁みて重たいつばさ 感情は尖がもっとも滅びやすくて
・老けてゆくわたしの頬を見てほしい夏の鳥影揺らぐさなかに
・少しして声を好きだと気づきたりまっすぐな木にうなずくように
この辺が好きでした
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ああ斧のようにあなたを抱きたいよ 夕焼け、盲、ひかりを搔いて
遠景、とここを呼ぶたび罅割れる言葉の崖を這うかたつむり
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観念が物質感を持ち、逆に物体が抽象に昇華されて息をし始めるような印象をうけた。モチーフ同士の共有するイメージを掴んでそういった矛盾を違和感なく使いこなしてる感じが凄い
丁寧でキレイだった第一歌集に比べて、一首単位での横の広がりと、読者の連想を促すような深みが増してるように感じた。
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灯台のような裸、とおもったが春はそれさえ連れ去ってゆく
詩のように瞳はそこへ向かうのだ そこには誰もいなくていいのだ
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"対象との距離"を、淡白に客観視するのではなく、惜しむように、美化する。それがキレイなほどむしろ寂しいです
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貸していただいての一冊。
短歌という枠組みをとっぱらって、なんだ、この完璧な、奥行きを温度をもって、湿度も満たして再現させる言葉は、、、と驚愕した一冊。
こんなふうに言葉を研ぎ澄ませるまでに、何をしているのかしりたいような、知ったところできっと同じことはできないのだろうな、とも思う。
もっとこの方の句集が読みたい。