紙の本
初読み作家さん
2020/09/06 09:46
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投稿者:のぞみん - この投稿者のレビュー一覧を見る
時々読みたくなる気持ち悪い(外見も心理的にも)本。最初は何かのマネやん、と思ったが主人公の心の奥底を覗くにつれ面白くなった。人生にも子育てにも正解はないけどなんとなく考えた。反省はしないけど。これから追いかけたい作家さん。
紙の本
私は育て方に正解はないと思っている
2019/06/24 22:18
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投稿者:ふみちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
ネコは自由で羨ましい、どこにでも行けるから。鳥もどこにでも飛んでいける。魚は水中で優雅に息をしていられる、溺れることもない。犬は強くて逞しい。小動物は可愛らしい。植物は脳を持たないから悩まなくてよさそう。虫になりたい、何の感情もなく叩き潰してもらえるから。引きこもりの人間でなくても一度は誰もが思うことかもしれない。でも、実際に「異型性変異症候群」という難病になり変異してしまったら。育て方に正解も不正解もないと私は思う、私の子供がぐれなかった、ニートにならなかったといって私の育て方は正解だったなんて絶対にいえない。本文に明晰夢の話が登場する、この夢は私もよく見るのだが、夢の内容をコントールできるところまではいかない
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メフィスト賞受賞作。
社会的不適応者の若者が一夜にして虫になってしまう病気という設定はいいが、その後の展開が・・・
特にラスト、予想を全く超えないのが残念。
メフィスト賞は持ち込み原稿を審査するという特殊な賞で、出身者は一点突破の変な作家も多い。それだけに楽しい賞だが、今回はまあ普通。
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2018年77冊目。ある日突然、息子が異形の生き物に変貌したら…。社会的には死亡したものと見なされ、家族の協力も見込めない。様々な問題を内包しており、中々考えさせられる設定だった。 異色の設定のわりに、ストーリーラインはまあまあオーソドックスなところがあるので、異形ゆえの展開がもっとあると更に深みが出ると思う。
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異質なものへ愛情を抱けるか?
でもその本質は異質なものへ、ということではなく家族という愛憎に対しての向き合い方のひとつであるという気がした。
家族だからとか同じ人間なのだからといって完璧に意思の疎通がとれるわけじゃない。
人間としての在り方と他者との向き合い方について考えてしまった。
けどそれはそれとして人間が異形の生物へ変化する、そのストーリーがめっちゃ面白い!と一言で薦めてもアリなところがこの作品の良きところ。
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異形になった家族を、それまでと変わりなく人間として愛せるのか?そもそも、愛していたのか?
私たちは見える範囲の世界しか見ようとしないし、自分から見える世界こそが真実だと思ってしまいます。「わかっているつもり」「できているつもり」のことは、自覚しているよりずっと多いのではないかな、と思いました。荒唐無稽に思える設定ですが、登場人物の情動ややりとりはどこまでもリアルです。むしろ、この設定でなければ浮き彫りにならなかったであろう家族や社会の問題がふんだんに盛り込まれています。異形のいきものの描写が映像として目に浮かぶような文章です。また、言葉に対する執念や敬意が、登場人物のセリフから感じられました。これを書いた人は決して言葉を軽く扱わないという安心感があります。
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20180725 M リクエスト
今までにない設定の話。
気持ちわるいもの見たさに、先を読み進めた。
すべてが同じ症状ではなく、虫に変わったり、犬、観葉植物…様々。
大事なこともが、ある日こんなふうになったら…
最後は予想外でした。
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ある日突然自分の子供が人間ではない異形のものに代わってしまう。
すごく突飛な設定ですが、扱っているテーマは奥が深い親と子の関係性や人間性の承認といったものです。
最初のうちは、怖いもの見たさという感じで読んでいましたが、途中から自分と子供の関係や他人との関係に思いを馳せながら読んでいました。
章の終わりのストーリーが怖すぎ。
本を読んで、人間の性とは何だろうと考えさせられました。
子供を持つ親、特に子供との関係がうまくいっていないかもしれないと思っている人々に特にお勧めなのかもしれません。きっと思い当たる節は多いと思います。
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ある日突然、家族のお荷物的存在が異形の生物に変身してしまう。その時、家族は人として看続けられるのか、あるいは人としての死を受け入れて「処分」してしまうのか。
異形の表現も動物だったり虫だったりするのに、脚や口など一部分が人間のパーツだったりして文字ベースで想像しても気色悪い存在に仕立て上げられています。
さすがメフィスト賞、趣味が悪い。(誉め言葉)
親子(ただし子は異形の生物)のハートウオーミングストーリーとは新しいジャンルだと思いましたねー。
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虫は……むりだよ……
第57回メフィスト賞受賞作。タイトルと筋を読んだときから読みたかったもの。ミステリとかホラーじゃなくてサスペンス寄りかもしれない。設定とか飛ばして筋だけをみればぶっちゃけよくあるヒューマンドラマなんだよね。親子関係の。子どもが引きこもりニートになっちゃった親とその子どもの。子どもだけでなく、親もまた自分が至らなかったんだ、と考える過程とか、これまた正直にいわせてもらえればとてもありふれた筋だし、作品だな、と。
で、何がよかったかってと、その設定な。引きこもりニート、要するに家族から疎まれている対象、自分は要らないんだと思っている人間が異形に変化するっていう。異形っていっても虫だったり鳥だったり人面犬だったり植物だったり魚だったり化け物だったり。いろいろあるんだけどね。
そのおぞましさがすばらしい。そりゃそんなもんと面と向かって付き合おうとはしねぇよ。捨てるならまだいい、殺すよ。殺しちゃうよ。食うのはさすがにどうかと思うけどまあ、魚なら食えそうだな。
作中のさらっと書かれてる政府の対応がちょっと後手に回りすぎかなって気もするし、政府とか出してくるなら日本限定なのこれ、世界はどうなのって疑問は出てくるんだけど。
筋というか、根っこで語られている部分はありふれたものではあったんだけど、最後、人間に戻った息子が母を殺そうとするシーンはそうくるか、と思ったし、ラストのオチも秀逸でした。主人公、義母に連絡とって押し付けてやれよそれ、って思ったね。
結局どうしてその人間が異形になっちゃうのかはよく分からんままだけどな。親から子への感情でなるのかなって思ったんだけど、そうすると中年以降の異形化が増えてきた実情がうまくかみ合わないかなぁ。赤の他人からの感情でも異形化が進むのだとしたら、作中で語られてる比ではないほど罹患者がいるはずで、だったら「家族」からの感情かしらって思うんだけど、夫婦っていうても書類だけの話で赤の他人じゃん。どこを以て家族とするのかあいまいだなぁって。
まあでも生まれ変われて良かったな。
抜粋。
私たちの周りに溢れている正常な人々は、充実した人々は、一体どのようにして日々を生きているのだろうと思います。
異形化してしまった側の気持ちが連ねてあるパートが一番好きです。
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子供の姿が虫に変わってしまう。
荒唐無稽な設定なのに
子育てについて考えさせられ
勇気づけられました。
そう、覚悟。
親に必要なのはそれだ。
究極それさえあれば何も恐れる事は無い。
ラストの子供本人の心情には
なにか執念めいたものを感じた。
作者自身、ひきこもり経験者なのではと思うほど。
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メフィスト賞受賞作。ある日突然異形の姿へ変貌してしまう奇病「異形性変異症候群」に襲われた親子の姿を描いた物語。ある意味ホラーと言えなくないし、恐ろしいと思える面もあるけれど。これはとにかく切ない気がしました。親の立場も子の立場も、どちらもなんともいえない心地です。
主に引きこもりの人たちが発症したがゆえに、自業自得だのむしろ幸いだのと事態が重く受け止められないのが痛切。引きこもりの人たちにもそれぞれの事情があるはずなので、一概に悪と決めつけられるのもなんだかなあ。そして親を責めるのもまた何かが違うような気が。社会の病巣、と言ってしまうと簡単だけれど。あっさり他人事だと片付けられるのでしょうか。自分が全くそうならない保証なんてどこにあるの?
結局のところ「愛」で片づけちゃうのかなあと思ったら、それだけでもなくって。この病気の原因が何だったのか、などといろいろなことを考えさせられました。人間同士の確執だの世間への憎悪だのってのは誰にでも多かれ少なかれあるものだと思うのだけれど。もしこんなことが本当に起こったとしたら、発症せずにいられるのでしょうか。
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強烈なタイトルと我が子が気味の悪い虫に姿を変えるというあらすじに、どんな悲劇だよと眉をひそめてしまうが、意外なテンポの良さと軽快な台詞回しはどこかユーモラス。異形になった子どもを殺したり死なせてしまったりの苦しみ悲しみを纏う重さを感じつつもなかなかにおもしろく、一母親として後半は特に圧倒された。自分の子育てを問われているような怖さもあり、温かく背中を押されたような力も漲る傑作。再読の度に自分を親の原点に引き戻してくれるような気がする。
清美さんの言葉はしっかり胸に刻みたい。
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人間に向いてない、読み終わり。
突拍子もない設定だけれど一気に読み終えた。子を持つ親が、そして家族に何らかの思いを抱く子が読むと、子供のいないわたしとは違った感想を思いを抱くだろうと思った。作家さんの思いがダイレクトに伝わってくる。家族の難しさ、それでいて人付き合いのシンプルな思い。最後優一のした行動、思いが少し、わたしの思いと重なった。
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人間が異形のものに変身して,そのあと残された家族はどうするか何を思うかといった所に視点が置かれている.特に引きこもりなどの若年層に発症したことで,子育ての挫折や信頼関係のないことなどが延々と語られ,その関係性に光明が見えてきた時,事態は改善される.まあひとまず一件落着,というお話でした.