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沖縄の現在の長閑な風景とは違う、戦後の沖縄を舞台にした若い男女三人の駆け抜ける時代の熱と疾風の物語。
沖縄の基地問題はニュースでよく聞くが、戦後の沖縄の人々の苦悩や葛藤が主人公三人の生き様をとうして
読み手にも熱く伝わってくる。
沖縄の魂はどこまでも熱くエネルギッシュで真っ直ぐだ。
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これぞ小説、物語の真髄か。
描かれているのは、大戦後から返還に至るまで、沖縄の20年間。
凄惨な地上戦を経験し、以降も理不尽な蹂躙に耐え続けた沖縄を舞台に、実際にあった史実を縦軸にして、実在の人物も交えながら、凄まじきスケールで当時の熱気が紡がれている。
正直、単語レヴェルでノイズのように沖縄の方言=ウチナーグチのルビが頻繁に振られていることもあってか、冒頭は取っつき辛かった。
随時、括弧で閉じられている”語り部”の合いの手のような呟きも、イマイチ意図が分からなかった。
が、それもこれも読み進めていくうちにつれ、この作品になくてはならない、不可欠な要素であると思われてきたから不思議なものだ。
物語としてのプロットはもちろんのこと、選択され綴られた言葉の質も相当なもの。
これだけのヴォリュームなので、あるいは過剰な修辞や蛇足的な書き込みが散見されてもおかしくはないが、今作に限ってはそう感じたところはなく、その場その場でふさわしい日本語が過不足なく並べられており、まるで韻文のような美しいリズムさえ伝わってくる。
折しも、今まさに辺野古の埋め立てを巡って大きく揺れている沖縄。
至らぬ言葉でこれ以上細かく感想を述べることは控えるが、この小説を読んで心動かぬことがあればそれはもう人間として嘘なんじゃないか、そう言い切ってしまってもいい類の稀有な大傑作だと思う。
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返還前の沖縄を舞台にした、暑くて熱い疾走感あふれる闘いの物語。
沖縄の人々の生き抜く力に圧倒されながら、改めて沖縄の痛みに思いを致した。
史実とフィクションを融合しながら、幼馴染の三人を中心に物語は進む。
物資を奪還するため米軍基地に忍び込んだ後、行方が分からなくなった、彼らが慕い、憧れ、尊敬する”戦果アギャー”の英雄オンちゃん。
彼はどうなったのか、その行方に、読者も頁を捲らざるを得なくなる。
読み終えたあともしばらく、沖縄の熱い息吹に取り囲まれたいた。
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うーん、面白いかどうか、微妙な感じ。沖縄言葉が一杯でちょっと読みづらい感じでルビは無視。結局最後にわかったことが、ずっと探していた答えが出て一応完結。盛り上がりにちょっと欠けていた気がするな。
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今回の候補作では本作がベストでした。ものすごい熱量を持った作品です。いやはやこれは凄かった。
最近の作品だと東山彰良『流』の印象に近いですかね。版元も同じ講談社ですし。
舞台は戦後の沖縄。
敗戦から7年後の1952年、サンフランシスコ講和条約によって日本が主権を回復した年、言い換えると琉球が本土から分断された年からこの物語は始まります。
戦勝国であるアメリカ軍が蹂躙するかの地で、軍から物資を強奪する「戦果アギヤー」と呼ばれるワル、いや英雄が台頭します。
しかし冒頭、嘉手納空軍基地に侵入した「戦果アギヤー」のリーダー格、オンちゃんがいきなり行方不明になってしまいます。
本作は親友のグスク、弟のレイ、恋人のヤマコを主人公に、オンちゃんを探す長い旅を描いた物語です。
シンプルなタイトルと分厚い装丁からは、これが勝負作だ!といった感じの気合の入れようが伝わってきます。
実際、20年分の話が盛り込まれているので密度は高いんですけど、ドライブ感のある語り口が心地いい流れを作っており、どんどん読み進めることができます。
瀬長亀次郎をはじめとした実在の人物、ゴザ暴動などの実際あった事件を織り交ぜながら、ミステリの雰囲気も漂わせつつ、物語は加速度をつけてクライマックスへなだれ込んでいきます。
こういう書き方をすると沖縄の方が不快に思われるかもしれませんが、こんなにもダイナミックで波乱万丈な物語が生まれる下地があるにもかかわらず、近年沖縄を舞台にした小説はあんまり描かれていような気がします。
(自分が知らないだけかもしれませんが。)
本作をきっかけに、沖縄の光と影について描かれた作品がもっともっと生まれればいいなあ、と思いました。
歴史書では決して描かれない戦後沖縄の物語が、ここにあります。
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読み終えるまで約1年かかりました(笑)
長かった。。。
僕には直木賞作品は、まだ早過ぎた。
文章は、語り部が話すような口調で書かれており沖縄の方言が満載で、大変読みづらかった。
進捗の90%を超えてからサクサク進めたけど、それまでは中弛みで面白くはなかった。
意地で読みきりました。
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直木賞の候補となったのを機に読んでみる。
本土復帰前後の沖縄を描く大作。そして今の沖縄が抱える問題は、すでに以前から存在していたことを改めて気付かせてくれる。
ストーリーテリングは巧みで、描写も生き生きとしている。
消費税増税の前という微妙な時期の出版社と政権との向き合いを考えるとこの作品が直木賞は獲らないだろうと思うが、今の時代に書かれたことに意味がある一作だ。
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500ページ超の長編小説を一気に読了。
グングンと引き寄せる力は半端ない。
こたつの中で丸くなりながら読んでいたけど、
心も体もあの青く美しい沖縄の空の下に居るような
錯覚に落ちてしまうほど。
オンちゃんとグスクとレイとヤマコと4人の
息遣いを感じるように、
私も一緒に嘉手納基地をコザの街を疾走している。
転んでも立ち上がり、殴られても立ち上がり、
一緒に怒り、笑い、泣き、喜んでいる自分が
この物語の中にいた。
若い時に滞在した
石垣島・西表島・竹富島・波照間島で肌で感じた、
言葉に出来ないあの感覚を思い出す。
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米軍統治下の沖縄。
アメリカーとも、ヤマトとも、闘い続けた勇者たちのいる島。
熱量に巻き込まれて一気読み。でも僕はその時代の熱をすべて汲み取れたんだろうか。
分かったフリはもうやめたい、が、少しは分かった気もする。
何言ってんだ。
とりあえず、また読もう。ありがとう。
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なんと感想を持ったらいいのだろう。
沖縄に行った事ないし、正直あまり興味もなく恥ずかしながら「沖縄問題」に無知で遠い場所の出来事だった。
そんな私でも心がえぐられた。
本作に出てくる沖縄の事を知ろうしない本土の人間とは、わたしの事だった。
圧倒的な熱量が、本作を読んでいて押し寄せてきた。
グスクが、レイがヤマコが目の前で動いてるかのようで自分も戦後のあの沖縄の中にいるようだった。
今も沖縄には基地があるし、オスプレイの事故や米軍の許せない事件は変わらず起こり、沖縄と今も昔も変わってないのではと思うと愕然とする思いだ。
多くの人読んで欲しいと思った
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辛い出来事も多いのに、語り口がとにかく明るいので、ワクワクしながら楽しく読めた。沖縄のこと、おおよそ知っていたつもりでしたが、知らなかった大きな史実もあり、ショックを受けました。沖縄の皆さんごめんなさい、という気持ちになりました。歴史の本を読むよりも人々を人々の気持ちをなまなましく感じられるこの本、おすすめです。
540ページ。一気には読めず3週間ほどかかってしまった。でもそのぶん3週間ずっと、主人公たちと一緒に笑ったり泣いたりして、ともに生きたような気持ちになった。濃密な感情体験ができたので、この長さにも大きな意味があったと思う。
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戦後の沖縄から返還されるまでの3人の戦争孤児を中心にした物語。行間から理不尽な運命に「勘弁してくれ•••もう勘弁してくれ!」って云う島民たちの叫び声が感じる場面もあるが沖縄弁の文章が最後まで馴染めなかった。
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ウチナーンチュとして どう向かえばいいのか、何が出来るのか分からないまま生きてる自分が恥ずかしい。そんな気持ちにさせられた。
色々 複雑なことが多くてはっきりしない基地問題。穏やかに暮らしたい住民を 逆撫でするような事件・事故。この本を読んだ後 改めて色んなことを考えさせられます。
今、まさに たくさんの人に読んで欲しい。
私も読むことが出来て良かった。
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文句なしに面白かった。比較するのも変だが、今回の芥川賞のどの作品よりも面白い。単なるエンターテイメントに収まらず、それ以上に文学作品としての質の高さを感じた。
かつて基地から物資を盗んだ「英雄」の失踪とその謎を解き明かそうとするところから始まるので、全体にミステリー色が強いのかと思いきや、残された3人の主人公たちのそれぞれの壮絶な(と言っていいと思う)人生の経過も詳しく(むしろ、それぞれの人生ごとに小説になりそうなくらいに)描かれていた。その主人公たちの人生が壮絶と言える出来事にひっきりなしに見舞われるのも、そこが「基地の島」であるからで、自分自身本土に住んで真面目に想像もしてこなかったすさまじい沖縄の環境が、作者の創作であるとしてもリアリティを持って書かれている。女性への性犯罪やヤクザ同士の殺し合いなど、決して気楽に読める内容ではないもののオンパレードのはずなのにくどくならない。語り手は沖縄のおばあが語っているというふうな設定(多分)で、沖縄の言葉がルビ付きで多用されると、なぜか安心して読み進めることができるようないい意味での「軽さ」があった。
主人公の三人三様の青春物語としても高質であると同時に、「英雄」だった人物の行動の謎も最後には一つに繋がり、謎の答えも、伏線などもよく考えこまれたものであると得心させられた。
海の果てにあるという死者の国ニライカナイの、良いものも悪いものも運んでくるという考え方、果てしない苦難の歴史の中にあっても受け継がれていく英雄の魂というテーマも、重厚でかつ軽妙な物語とよく合っていた。
読書会で他の方が絶賛するのも納得の作品で確かに文句なく受賞する作品だと思った。
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3.9
戦果アギヤーとは、基地から物資を盗み出し貧困に苦しむ人々に与える本土返還前の沖縄の義賊。
コザ伝説の戦果アギヤー・オンちゃんとその仲間たちは、沖縄最大にして最重要拠点である嘉手納空軍基地への侵入を決行するが、いくつもの不可解なアクシデントにより発覚、圧倒的な包囲網の中脱出するが、グスクとレイ以外は消息を断つ。
以降、オンちゃんの安否情報を求め、基地の外で生還を祈っていたヤマコと共に、しらみつぶしに捜索するも一切情報は得られない。
収容された刑務所で、ボロボロになりながら牙を研いで行くレイ。
一方、塀の外で捜索していたグスクも手詰まりになり、刑務所内に活路を求め敢えて逮捕され収監される。
やがて、刑務所内に唯一の情報源・謝花ジョーを見つけるが、基地を出た後の消息を聞き出せないまま、病で息を引き取る。
月日が経ち、それぞれの人生を歩み始める三人。
グスクは警察官となり、秘密裡に軍関係者と繋がることでオンちゃんの行方を追う。
ヤマコは、 水商売をしながら教員の資格を取り、オンちゃんの建てた学校で教諭となる。
レイは出所後にヤクザの配下となり、しぶとく兄の消息を追う中で、その死を知る事に。
そして、報告の為にヤマコの元へ・・・
さらに時は過ぎ、沖縄は本土返還を巡る激動の渦に。だが、依然として残るオンちゃん生存の可能性。果たして真実は・・。
終戦から1972年・本土返還まで、沖縄に生きる人々が生きた激動の人生。
オンちゃんの持ち帰った予定外の戦果とはなんだったのか・・
◯オンちゃん・・20歳。伝説の戦果アギヤーにして、沖縄の英雄。基地襲撃で消息を絶つ。
◯グスク 19歳・・オンちゃんの幼馴染。いつもその背を追いかけ、2番手の座をレイと争う。
◯レイ 17歳・・オンちゃんの弟。グスクをライバル視
◯ヤマコ・・オンちゃんの恋人。
◯謝花ジョー・・基地襲撃の黒幕組織のメンバー。基地逃走後のオンちゃんを知る人物。
◯チバナ・・謝花を匿う娼婦。後にレイとも関係を持つ。
◯タイラ・・レイが刑務所内で知り合った武闘派のリーダー。出所後又吉と組んで米兵狩りをする。
◯国吉・・刑務所で知り合った雑居房の知恵袋。
レイに目をかけ、様々な教育を施す。一度裏切るが、出所後も何かと面倒を見る。
◯又吉世喜・・武道の達人で、コザと対抗する勢力のボス。レイに命を救われる。
◯アーヴィン・・米軍の背広組の高官。グスクにスパイ活動を持ちかける。
◯小松・・表向きはアーヴィンの通訳。実は・・
◯ウタ・・コザをうろつくハーフの子供。言葉が通じなかったが、ヤマコの熱心な教育でまともに成長。三人に恩義を感じ、常に気遣っている。
物語のキーマン。
◯キヨ・・ウタの施設での妹分。母親に引き取られるが・・・
◯瀬長亀次郎 ・・沖縄の星。闘争の旗頭であり稀代の革命家。