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テーマは面白い。よくこのテーマでここまでまとまってるなと思う。展開はやや唐突な感じもする。まぁコメディタッチだし、ちゃんと面白いけど。
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その顔を見た者は皆、”自分語り”が止まらなくなってしまう。その能力ゆえに、強制的に隠されたホンネを聞かされてしまう原之内菊子。
その時話すのは、その人がその時一番気にしていることだろう。
ひとりで抱えて悶々とする人には、「原之内菊子」が最高の薬だ。話すうちに、自分で解決策を見出しそう。
腹の内に溜めていた澱を吐き出し、きっと健康を取り戻すことができるだろう。
会社に一人、「原之内菊子」がいて欲しい。
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自分は人の話を聞くのが好きだし、人に話すのも好きだ。
つまり雑談というコミュニケーションが好きだ。新聞記者のインターンをしたのも、きっとそれが関わってると思う。
人に何か聞くときは大体にして好奇心と興味が理由なので、「自分はあなたの話を聞きたがってますよ!」と伝える為に相槌をうつのだけど、主人公の原之内 菊子に相槌は必要ない。ただ、「はあ、へえ」と言ってるだけで一方的に相手が話してくる特殊な体質だ。
作中に根っからの悪い人ってのは出てこなくて、みんなどこかにユーモラスが備わってる。
自分が練馬在住なので練馬のにんじん畑の話には笑ってしまった。作品中に優しさが溢れてるから安心して読み進んでしまった。
物語の終盤に今までは聞く専門だった菊子さんが延々と語るシーンがある。
彼女には語る相手が必要だった。
会話をキャッチボールだとか、ラリーみたいな例え話をたまに耳にするけど、そんな同一テンポのやりとりなんてそんなに存在しない。
片方が喋り倒す時だってあるし、聞いてばかり時もある。
でもどこかで聞き手と話し手がフェアにならないと、関係性や信頼が崩れてしまう。
作中メインの話し手「桐谷」が終盤、菊子さんについて全然聞こうとしていなかった事に気づいて探しに行くのだけれど、いざ菊子さんも再開するとチームメイトとして迎えていれてるに留まっていて、とても自然だった。
上京してからずっと探していた居場所を見つけた菊子さんを想っただけで泣いてしまった。大人になってから上京した自分と、きっと重ねてしまったんだと思う。
聞く・話す
あまりにも日常にありふれた2つのコミュニケーションについて、もう一度考える事が出来た物語です。