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新聞、TVをはじめとして、インターネットが生活に欠かせないものとなったいま、メディアの重要性が問われていると思う。扇動的なtwitter、ポピュリズムが動かす直感的な体制批判、格差が原動力となる隣の芝は青く見える的な不満。その中で、池上さんは頑張られていると思う。本来はメディアが担わなければいけない役割を池上さんが担っていると思う。
池上さんはもともと新聞記者になりたかったそうだ。ただ、時代のいたずらもあってNHKに入社。NHKでは記者やディレクター業をこなしながらニュースキャスターを担当するようになる。これが池上さんにとっての大きな越境の一つになる。週刊こどもニュースを担当することで、広く他局にも知られるようになったようだ。その後、NHKを退社してフリーランスになるが、このときの経験が、いろいろな人に声をかけてもらう縁になっているようだ。
池上さんの人生は越境の人生だったという。その池上さんが、「日本はいろいろな意味で越境のしにくい国だと思う」という。学生、社会人、そして定年後。それぞれのステージの生き方に「幅」がないように思うそうだ。多様性がないともいえるかもしれない。そのため、池上さんはリベラルアーツを大切にしようという。日本のリベラルアーツ教育は、何度か恣意的な波に洗われたという。このままではいけないという危機感も、池上さんの世界の様子を伝える姿勢の原動力になっているのだろう。
今の時代は、世界が複雑化し、物事の白黒が簡単には付けられなくなってきているだけに、人は複雑なことを考えたくなってきている時代だろう。世界紛争、貿易問題、格差社会、そして国家の覇権。複雑な課題群ばかりだ。だからこそ、自分の頭で考えて意見を持つことが大切になる。越境することで多様な視点を持つこと、そして越境することで自分を相対化すること。これが停滞を破る突破口となる。そんなメッセージが伝わってくる。
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<目次>
はじめに
第1章 「越境する人間」の時代
第2章 私はこうして越境してきた
第3章 リベラルアーツは越境を誘う
第4章 異境へ、未知の人へ
第5章 「越境」の醍醐味
第6章 越境のために質問力を磨く
終章 越境=左遷論
<内容>
専門分野のプロは多くいるが、ちょっと越境すると「私は専門外」となってしまう。しかし池上氏は、NHKの記者からキャスター、「こどもニュース」と必然的に越境してきたが、そのたびに自らに課題を課して、自らを磨いてきた結果、現在のような活躍に繋がっている。その過程の話と、「リベラルアーツ」=「越境者」の観点から、スペシャリストよりもゼネラリストをめざせ、と説く。役に立つフレーズが多くちりばめられている、役に立つ本である。
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池上さんの本だから、それなりに面白くは読めたけど、基本的に内容は既刊本で触れられている内容。
左遷=越境と解釈するのも、ポジティブ・シンキング思考としてはそうなんだろうけど、池上さんやその他色々な事を成した人ってのは、そういう状況にあっても、初めから左遷とすら考えないんじゃないかなぁ〜。
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テーマは「越境」。自らの半生やリベラル・アーツの重要性などを、脱線を交えつつ語っている。
ビジネスパーソン向けということだが、まさに色々な分野にも応用できる考え方が書かれている。ネットでも、自らの好きなジャンルに固執してそこに閉じこもり、ほとんど精神病の様相を呈しているアニメファンの人をよく見かける。好きな気持ちをバネに「越境」すれば、もっと楽しいことがいっぱいあるだろうに、何とももったいないと思う。
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この1冊だけで、幅広い話題にふれることができ、これもまた「知の越境」の1つかもしれないと思う。
印象に残ったエッセンスは以下。
・アウトプットを意識したインプット
・日本は1つのことをやり通すことがいいという思想があるが、それが選択肢を狭めている可能性がある
・すぐに役立つものは、すぐに役立たなくなる
・質問を抑え込むのは、本人の成長の機会ばかりでなく、周りの人も賢くなる機会を奪う
・人をだしに使う質問法
・越境の醍醐味(無知の知、未知を知り停滞を破る、共通点を見出す、多数の視点を持つ/自分を相対化)
特に越境の醍醐味に関して、分野の狭間に橋を架ける発想や、トヨタとメルセデスの話で信頼関係の重要性と売りたいものの周りを演出するという視点は、ぜひ取り入れていきたい。
直接的に「質問力を磨く」ハウツー本ではないが、質問力を磨くためのマインドは少しわかった気がする。また、何より今の自分のおかれた環境からすると、励まされたのでよかった。
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何か読んでいて自分が情けなくなった。
池上さんのようにストイックに知を追及する生き方が必ずしも絶対素晴らしいという訳ではなくて、気楽に生きたい人達には全く参考にならない本だと思う。
でも自分のように、目標があり少しでも自分の人生を変えたい人種には頭を鈍器で何十回も叩かれたくらい衝撃的だった。
池上さんのため息が出るような努力には遠く及ばないものの、少しでも近づきたいと強く強く思った一冊。
それとその池上さんでさえ足元にも及ばないと言わしめる人物が数人いることは素直に驚き。
上には上がいるとはいえレベル高すぎ。
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知の巨人、池上彰さんが越境を繰り返してきたことによって今があると語り自らの越境方法について語っている本書。
ターゲットがビジネスマン向けだからかいつもの池上さんの本より少し難解。
老若男女、様々な階層の人に向けて話ができるのが池上さんのすごいところ。
内容としては自発的、受動的かは関係なくそこで新たな知識を手にし、それらを組み合わせることによって一段階自分の教養力を上げることができるという話。
ホリエモンの語っている多動力とほとんど同じ話のように感じる。
一見すると対照的に見える2人が同じようなことを話しているのはとても興味深い。
きっとこれが真理なのだろう。
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池上さんが、自らのキャリアを振り返り、いろいろな分野で能動的に知識を身に着け、経験を積んできたことが役に立ったとアドバイスされている一冊。確かに、会社で意にそぐわない仕事をすることになっても、前向きに取り組んでいけば、あとで必ず何かの役に立つ。また、いろんな人とつきあったり、さまざまな分野の本も読むことは、自然と自分ができることの幅を広げてくれる。
池上さんがおっしゃる越境というのは、好奇心と勇気がベースに必要となるものと思いますが、それらは年をとってくると、徐々に失いがちなものでもありますね。人生100年といわれますが、いつまでも好奇心と勇気を持って、越境していきたいものです。
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池上さんの相変わらず読みやすい文章。
内容としては以前の本と似ていて「週刊こどもニュース」をやっていた時の経験から子供にもわかるように説明できるようになって初めて自分の知識になるということ。
学生時代のジャーナリスト下積み時代に触れてるのはこの本が最初じゃないかなと。
左遷について非常にポジティブに書かれているので会社などで今そういうポジションの方にもオススメです。
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池上さんが、いかに学んできたのか、自伝的な内容を中心とした本。
これはこれで読み応えがあって面白いのだけど、「質問力」は全体の1/6もないかな。質問の考え方について解説があるわけでもないので注意。
異分野に身をおく時に、学び、糧にするポイント4つ
・無知の知。知らないということを知る
・知らないことを知って、停滞を破る(行動する)
・既知のものとの共通点を見出す
・自分を相対化する。多数の視点を持つ。
「愚かな質問はない、あるのは愚かな答えだけだ」(だから積極的に質問を)との言葉が紹介されていたけど、出所はどこだろう。
良い質問ができなければならない、という価値観の意見や本ばかりみてきたので新鮮だった。
質問力として紹介されてる事例は、相当に相手との距離感を読む力を要求されるもののような気がする。
・遠慮しない。ぬけぬけとした質問
・臨機応変に。事前の準備に固執せず、深掘りできそうな時はつっこむ
・アイスブレイク大事。相手との距離感を詰めるには45度の位置に座る
・馬鹿な質問、初歩の質問をする。
相手の反応で、相手の程度が分かる。
・人をダシに使う。「視聴者に分かるように〜」、「うちのカミさんが〜」みたいな。
・相手への尊敬
・想定外の質問をする。警戒心を解いたり、アイスブレイク的に。
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時事問題をまとめた本ではなく、池上氏の仕事論
人生論を語った本です。
ここで言う「越境」とは、人生においては何が
役に立つかわからない。「こんなことをしても
ムダでは?」と思わず、目の前の課題をこなして
行きなさい。そうすればそれが役立つ日が必ず
くる。
スティーブジョブスも似たようなことを言って
いましたね。
それから、一つの場所に止まるな、力を蓄えた
のなら現状から飛び出して挑戦しろ、という
意味も込められています。
この時期、意にそぐわない人事異動を受けた人が
読むべき一冊です。
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質問の仕方に関する本というよりは、池上彰の自伝のような本だった。期待した内容とはちょっと違ったが、これはこれで興味深い。人間の記憶は神経細胞が物理的に繋がり、パターンを作ることで形成されるという話を思い出した。パターンには複数の記憶が結びついているため、ある記憶が呼び水となって思いもよらないひらめきが生まれるという話だったと思う。越境を繰り返すことで、より複雑なネットワークが頭の中に作られるのだろう。個人的には「ゆるやかな演繹法」というアイデアが面白かった。結局のところ、偶然の産物を得るためには周到な準備が必要ということなのか。もっと勉強しよう。
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池上さんの経歴をよく知らなかったが、あれだけ広く知識を持っていることに納得した。どこで何をすることになっても謙虚に学び続けた結果だと思う。
越境を肯定している内容を読んで少し安堵出来た。
部署異動のタイミングにこの本を差し出してくれた同僚に心から感謝したい。
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一度身につけた知識は別の領域でいきることもある。自らが望んだ業務でなくとも、そこで身につけたことはかならず将来なにかに活かすことができるのだと思う。
置かれた場所で咲きなさい、を思い出した。
サブタイトルが質問力であることを読後に知ったが、タイトルにするほど質問力には触れられていない。
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質問力を磨く、というより自分の関心の枠を広げるあるいは自分の関心と事物を結びつけてしまう能力を磨く本。
内容はかなり池上さんのキャリアを改めて振り返るものになっていて、ノウハウ的なものではない。でも、それがいい。体験性は良い本の条件だと思う。
しばしば政権に対する皮肉があるのもいい。自分は、おもねる言説も、叩くのが目的化した言説も入ってこない。けど、意味がある文脈で、何気なく皮肉が書いてるとスッと受け入れられる。
心に残ったのは、複雑なものを簡単にするのでは意味がなくて、複雑なものを複雑なままでわかりやすくする、といった記述。あと、本を読むのは「いつか」役に立つという記述。もどかしいけど、真理なんかな。