紙の本
面白かったです
2022/03/14 13:19
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投稿者:iha - この投稿者のレビュー一覧を見る
テンプル騎士団誕生から滅亡までの約200年の歴史を綴った良書。イスラム勢力から聖地を奪還するべく整えられた戦闘集団が、東方のみならずイベリア半島など西方でも活躍し、さらに城の守護を任され、街道などインフラ整備にまで貢献し、はたまた銀行業まで手がけてしまうマルチ振りが面白く読めました。そんな隆盛を極めた騎士団なのに、一番の目的である聖地奪還は最後まで叶わなかったのが何とも皮肉でした。
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今の騎士団のイメージの源流となったテンプル騎士団。封建制度における常備軍としての先駆性や、経済活動、特に銀行として資産の保管と遠隔地間の為替機能を備える一種の銀行であったことなど、大変面白く、勉強になりました。十字軍は信託の母体となったとも聞きます。金融の始まりに果たした役割は大きいですね。
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文句なしの☆5つ評価。
とにかく面白く・読みやすく・ためになる。
新書本の見本のような一冊かと。
この一冊でテンプル騎士団の概要が分かる。
数年前にマルタ島へ旅行した時に、「ヨハネ騎士団は
形式上残ってる。テンプル騎士団は弾圧されて壊滅現在
残っていない」的な説明があったと記憶しているが
その理由が本書を読んで分かった。
青池保子の”アルカサル 王城”に出てくるカラトラバ、
サンティアゴの両騎士団の存在も関連付けて
理解できた気がする。もちろん”サラディンの日”の
「テンプル騎士団はヨーロッパ王室の金庫番だからな」等の
セリフの背景なども。
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十字軍で有名なテンプル騎士団が中世において、銀行の役割も果たす超国家的な存在であったとは驚きである。また、その末裔が新大陸を発見したり、フリーメンソンを結成した可能性があるという。まさに歴史のロマンである。
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かの十字軍で有名なテンプル騎士団について書かれています。騎士の代表ともいえる彼らの実態について、またそのように見られる理由について、成立過程から解散までを読むことで知ることができるように書かれています。その圧倒的な強さと影響力について知ることができます。
彼らがいたからこそ、十字軍の最中でも聖地巡礼ができたし、その安全も担保できたこと。それだけの強い力を持っていたこと。それゆえに邪魔に思われることもあったこと。それゆえに、最後は滅びなければならなかったこと。
領主や宗教が強さを持った時代から、国という単位がそれに代わる時代を迎え、その過渡期に勢力を持ち、消えていったテンプル騎士団は、想像通りにドラマチックな生き方だったのだろうと思いました。
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十字軍とテンプル騎士団。本書はテンプル騎士団が逮捕される13日の金曜日から始まる。
設立当初は困窮するばかりだったテンプル騎士団。地方の権力者の支持を得て軍事力、そして経済力を増していくことになり一国の王たちとも渡り合うことになる。常備軍としての騎士の顔と聖職者としての顔。武士が権力を握った当初の平家の話と似ていると感じる部分もありました。平家の基盤を弱くしたのも公家や白河上皇との対立だった訳だし。
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ヨーロッパ初の常備軍であり、ヨーロッパ一の大地主であり、ヨーロッパ最大の銀行。城塞を持ち、農場を持ち、銀行窓口でもあった支部をヨーロッパ中に張り巡らせた。超国家的な組織。それでもあっけなく滅びた(13日の金曜日)。ジェダイの騎士の元とも言われる。
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第1部 テンプル騎士団事件―前編
第2部 テンプル騎士団とは何か(テンプル騎士団は始まる;テンプル騎士団は戦う;テンプル騎士団は持つ;テンプル騎士団は貸す;テンプル騎士団は嫌われる)
第3部 テンプル騎士団事件―後編
著者:佐藤賢一(1968-、鶴岡市、小説家)
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テンプル騎士団が圧倒的な力を持ちながらもフランス王の前に屈したこと,街道や運輸を整備し守ったこと,銀行のような存在だったこと,常備軍だったことなどその特長が,物語を語るように語られ興味深かった.
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名前は知っていたが、実はよく知らないテンプル騎士団に詳しくなった。単なる「騎士団」ではないんだな。読むと「なるほど」と唸る。
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長く疑問であったのが、何故テンプル騎士団はフィリップ4世に潰されたのか?わざわざフランスという大国が潰す必要があるものなのか?だった。
その疑問もこの本で納得した。理由は、テンプル騎士団=中世の銀行という構図。中世において金貸しと言えば、シェイクスピアでお馴染みのユダヤ人。金貸し・金融業はキリスト教では禁じられ、キリスト教徒は大っぴらに関わっていないと思い込んでいた。まさか、騎士団が金融業もしているとは思いもよらず。しかもこの金融業は一種の常備軍・軍事力も備えていたとなれば、フィリップ4世ならずとも潰したくなるのも理解できる。
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修道士であり戦士であった組織の栄枯盛衰の物語。
ヨーロッパを舞台にした歴史小説を得意とした著者だけに、分かりやすい。
ヨーロッパからエルサレムへ向かう巡礼者達の旅行ガイドから、ヨーロッパの王族と対等した組織の栄枯盛衰を描く。
軍事、金融、物流、食料面から十字軍を支える、まさに、騎士団の全盛期は、グローバル企業以上の存在感。
文脈の中に、崩壊したイスラム国と重なってしまう。
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12世紀から14世紀のこの時代の西洋の知識は全然自信がなかったが、非常にわかりやすく読めた。
この時代はキリスト教とイスラム教の対立が世界を二分しており、国という物よりもどちらの宗教を信じているかが人々の中心だった。
テンプル騎士団が常備軍であり、領主であり、銀行であったということは驚きだった。
作者の小説を読んだことがないけど、『王妃の離婚』とかおすすめらしいから読んでみよう。
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かねがねヨーロッパを旅するときに、知っていた方がより楽しめるなと思っていた「テンプル騎士団」。これまでなんとなくしか知らなかったので、その成り立ちや滅亡の経緯、手掛けていた様々な事業などについて初めてちゃんと理解ができて、たいへん面白かった。まさか中世に国をまたいで、銀行業のようなことまでしていたとは!何世紀を経ても名前が残っているだけの団体だったのだと納得できた。(滅亡の経緯はなんだかとても残念な感じではあるけれど…)
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十字軍時代に誕生した多くの騎士修道会の一つ、空前絶後の影響力を持つ騎士団がありました。
それがテンプル騎士団で、国王や教皇だけでなく聖ヨハネ騎士団やチュートン騎士団をも凌駕するものでした。
修道会であり、軍隊であり、農地であり、銀行であり、世界最大の地主だったのです。
彼らは一体何なのか、歴史小説家の筆致によって綴られます。