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美しい南の島にも、子どもにも、ただただ平和に暮らす人々の上にも戦争という、理不尽なものがあったことを、改めて感じた。
家族の命を奪われ、家や田畑を失っても力強く生きる人々。
神と崇められた特攻隊の真実。
島の言葉で風景が浮かび、より切ない。
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戦争中の沖永良部島という設定でした。
ちょっと島言葉がわかりにくく、わかりづらい部分で
感情が入りきらないようなところがあり残念な感じです。
でも、淡々とした子供たちの日常と戦争が描かれていると
思いました。
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私が育った島。地名も言葉も懐かしい。
私はこの本を読みながら、祖母がまだ認知症が進む前に、話してくれたことを思い出した。
この主人公のお姉ちゃんのように、越山に防空壕を堀りに通った、その帰りに米軍機が見えて、心臓が飛び出すかと思うくらい恐かった、と少し怒った声で話してくれた。
断片的に聞いただけでも、嫌な思い出だろうな、と想像していたけど、この本を読んだら、初めて、その恐怖や本当はこの島も戦争で沢山の恐い経験をさせられたんだ、と胸が熱くなった。それでも、まだまだ本当の怖さは分かっていないと思う。
でも、読まなかったら、おばあちゃんの辛い経験を本当に知ることはできなかった。
中脇初枝さん、なんで、こんなに忠実に島のあの時代のことを自分が経験したかのように書けたのだろう、本当に感謝の気持ちでいっぱいです。
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「世界の果ての子ども」が動ならこちらは静。
悲愴感はないけど静かに遣る瀬無く、でも読後感は優しく哀しく。
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戦争は起きてしまった場所の分だけ
語り継がれる物語が生まれる
毎年のように
ポーランドとドイツの映画の国の人たちが
第二次世界大戦の時の
出来事を題材にした「映画」を
創っておられる
「戦争」を後世の人に伝えようとする
人たちの作品に触れるたびに
たくさんの人を殺された
被害者の立場である日本
たくさんの人を殺してしまった
加害者としての立場である日本
このことが思い浮かんでしまう
戦争時の波照間島
といえば
マラリア地獄の惨状、
一番弱い立場の人たちが
死に追いやられた
その構造は、
今もこの国に残存している
私たちの国は大丈夫なのか
私たちの国はどこに向かっているのか
と 思ってしまう
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戦中、そして戦争直後の、沖永良部島の少年マチジョーから見た、世界のお話。
世界と言っても、島の生活、友人関係、淡い恋など、子どもの世界が中心に描かれているのが良かった。そういう生活の中に、戦争というものが、どんな風に影響していったのかが、興味深かった。
島を出た後、彼らがどんな人生を送ったのか、フィクションながら心配になる。
「だまされた」という言葉が、重かった。そして、また「だまされはじめているのかもしれない」今、現在生きているこの自分達も、と思った。
どうかマジジョーが、ちゃんと大きくなれて、島にもどってカミと会えますように、、、と願わずにはいられない。
それにしても、中脇初枝さんの作り出す子どもの世界は瑞々しいな。決して楽しい明るい素敵なものだけじゃないけど、辛くて悲しいことだけでもない所が、とても好きだ。明暗、そのバランスが、素晴らしく心地よい。
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沖縄のすぐそばにある沖永良部島という小さな島の中で、大戦末期、戦後がマチジョーという少年の目を通して描かれる。子供の目線でのリアルな暮らし。
不時着した特攻隊員の本当の気持ちの件は、実際に、志願していなくとも特攻で散った若い命もあったんじゃないかと思うと、どんな気持ちで・・・と胸が締め付けられる。
こういう本を読んだり、映画を観たりするといつも思うことは、戦争は終戦の日で終わりではなく、戦争が終わってからの生活が本当に大変だったんだということ。
家も畑も牛も手離して島を離れることになったマチジョーが、いつか大きくなって島に戻ってカミにまた会えることを強く願った。
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沖永良部島の島唄に、人々の生活と祈りを感じる。
沖永良部島の素晴らしい自然と穏やかな生活、そこに入り込む戦争、その中でたくましく生きる子どもたちの姿に心打たれる。
「みんなだまされたねー」だまされたといってすましていたら、一度だまされたぼくたちは、きっとまた、だまされる。何度でもだまされる。
マチジョーの気づきは、万人の気づきなのか?
『世界の果てのこどもたち』にもつながる。
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内容(「BOOK」データベースより)
沖永良部島―沖縄のすぐそばにある小さな島は、大戦末期、米軍機による激しい攻撃を受けた。戦況が厳しくなっていくなか、島のこどもたちは戦争を肌で感じつつも、いきいきと過ごしていた。そんなある日、島に特攻機が不時着するという事件が起きる。
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戦時中の話だと言うのに「沖永良部島」の気候と地元の方言により、ほんわかとした、おだやかな気持ちになれました。
また、子供目線で書かれており、その事も悲惨さが薄れていったのかも知れません。
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ルビは振ってあるものの、カタカナだらけの奄美の言葉にかなり難儀し、思いのほか時間がかかって読了。
舞台は戦争末期の奄美群島は沖永良部島。少年・マチジョーの目をとおして、戦時下の島の日常が語られる。
日々目にする沖縄に向かう特攻機。迎え撃つ米軍機。
グラマンによる度重なる激しい機銃掃射により、学校はなくなり子供たちは貧しい農家の手伝いに明け暮れる。
そんな中でも、無邪気な子供たちの日々の楽しみ、喜びが淡々と語られる。戦地で亡くなった兄への思い、幼馴染へのほのかな恋心、出稼ぎに出て病になって帰ってきた兄へ語りかける「生きていていいんだよ」という言葉。
そのひとつひとつが、しみじみと胸にしみる。
そして迎える終戦。ラジオも無線もない島の人たちがその事実を知ったのは、終戦から2週間もたってからだった。
内地で空襲にあい、故郷・沖永良部に帰ってきた家の子供を最初は遠巻きにしながらも、受け容れていく子供たちの懐の深さ。体力のない子に対するさりげない思いやり。
終戦後再開した学校生活に、この上ない喜びを見出す子供たちのやり取りが嬉しい。
戦争が終わった時、大人たちから何度も聞いた「兵隊さんたちにだまされた。」という言葉
マチジョーは考える、
ーーだまされたといってすましてしまったら、一度だまされたぼくたちは、きっとまた、だまされる。何度でもだまされる。
ーー一度だまされたぼくたち。また、僕たちはだまされているのかもしれない。また、だまされはじめているのかもしれない。今もう、すでに。
少年は、戦争から何かを学び、考え、成長した。
戦後の一時期アメリカ領となった奄美群島。貧しさから島を出ていった少年の家族が、後に日本に返還された故郷の島に帰っていけていればいいなと思った。
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この作品に歴史はあるが、ストーリーがない。
視点もありきたりではないだろうか。
靴のエピソードだけ、グッときたが、しかし、これも布置に失敗している。
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戦争中から終戦直後にかけてのえらぶ(沖永良部島)に住んでいた主人公ののマチジョーを通して描かれた世界。
えらぶの言葉がたくさん出てきて、遠い地方に今来ているという感じが出ています。えらぶの言葉にはルビで標準語の訳がついているので、通訳をつけながら島の人と接している感じです。人によっては読みにくいと感じられるかもしれませんが、標準語で書かれてしまったら、この本の持つ手触りは感じ取れないと思います。
戦争の話ですが、悲惨な感じがしないのは、主人公がまだ小学生ぐらいで子供の視線で捉えているからなのかもしれません。
いっぱい唄が登場してきていますが、どんな節回しで唄われたのか...それが残念な点かな。
ちばりよ牛よ さったーなみらしゅんどー ふぃよー ふぃよー
牛に砂糖をなめさせてあげるからがんばれという唄ですが、何度も出てきて印象に残りました。
小説ですが、戦時中の情景がありありとわかる記録としても貴重な一冊になると思います。
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沖永良部島、終戦間際のころが書かれた1冊。
土地の言葉で書かれているので、読みにくくは感じましたが、「日本語」で書かれていたらこの島の雰囲気は出なかったような気がします。
戦争、帰らなかった人たち、送り出した人たち、島の自然、空襲、防空壕、最後の場所…
島の子供、マチジョーの視点で書かれた戦争の話。
一番印象に残ったのは、だまされただまされたと言ってるだけだったら、まただまされる。もしかしたら、もうだまされ始めてるのかも。今もうすでに…といった内容のところ。
痛烈です。
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第二次大戦、そして終戦直後の沖永良部島を舞台に、戦争の中でもたくましく生きていく島の人々の姿をこの島の子供の目を通して描いている。
沖縄を舞台にした戦争当時の小説等は色々あるが、本島ではなくその近くの島を舞台に一体、当時どのような生活を送っていたのか、戦争をどのように受け止めていたのか、私は全く想像さえできなかった。
この小説では、島の言葉が多く使われ、その言葉や会話にはルビが振られている。はじめのうちは、その言葉を理解し読み進めていくことに煩わされたが、途中からこの島の言葉があるから、この小説のこの島の人々の感情や思いがわかるのだ。本土の人間との違いを的確に表していると感じた。
どのような状況でも子供たちはなんとか楽しみを見出していくが、子供目線で描かれる戦争やそれに巻き込まれていく島の人々の姿は大人にありがちな建前や大人の理想がなく、本音と真実を写実的に描き、読者の心をうつ。
辛い物語でありながら、沖縄本島ではなく、南の島を舞台に子供たちを中心に描いているからだろうか、読後も暖かな余韻を残す作品だ。