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芸術の島を巡る
2020/05/25 09:09
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投稿者:Todoslo - この投稿者のレビュー一覧を見る
瀬戸内海の小さな島が、世界から注目を集めるまでの巡り合わせがドラマチックです。鑑賞から体感へと、これからのアートの楽しみ方が変わるのかもしれません。
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あれは2000年か2001年だった。かねてから興味を持っていた直島を知人の紹介で訪問し、全くの素人ながら、現代アートの島に激しい衝撃を受けた。本書に登場した地元の菊田さんに案内してもらい、恐らく秋元氏にも会っていたのではないか。本村地区の家プロジェクトは、開館時間を過ぎていたのに、案内いただき、そこには福武夫人もいらっしゃった。最も印象に残ったのは、安藤忠雄建築でジェームズ・タレル作品の南寺である。暗闇に案内され、待つこと15分、微かな光を認識するようになると見えてくるアートに、完全に心を奪われた。そして翌日に大阪に行くと、梅田茶屋町で真っ白なスーツ姿の安藤忠雄氏に遭遇。以来、ずっと直島が自分の現代アート鑑賞の基準である。
本書で直島が形作られる様を知り、秋元氏の普遍性とは独自性である、との言葉が沁みた。
知己のルクセンブルクの弁護士が新婚旅行で直島に行ったというほど、メジャーな存在となった直島。天邪鬼としては、盛り上がりが治った頃に、再訪して地中美術館を訪れたい。
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瀬戸内海の小さな島がなぜ世界的な現代アートの聖地となったのか?その答えが得られる本。
直島のアートシーンをつくり上げる中核を担った筆者が、アーティストや島民など関係者との関りも含めて、アートの背景にある物語を詳細に描いている。
直島のアートだけではなく、現代アート全般に関する理解にもつながる話があり勉強になる。
その場所に行かなければ見られないもの、体感できないもの。
この本を読めば直島でのアート体験が格段に違ってくる。
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芸術の島直島の立ち上げ頃からベネッセ中途入社社員として関わってきた秋元氏の直島誕生の回想録。
芸術がひとつの島を聖地にし、瀬戸内を活性化した経緯を克明に記す。
金と人が両方うまく回った稀有のケース。
そういう意味では越後妻有はパトロンという意味ではホント凄い。
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月1で美術の本ということで、直島を思い出しながら読んだ。作品がどんなふうに作られてたのか、展示を思いながら楽しめる。製作秘話が詳細に書かれていて、なんていうか回顧録なのに小説のように面白い。南寺にまた行きたくなってしまってぞくぞくしてきた。
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絵画の裏にある札束も見ることも大切だが、それだけではダメで。秋元さんはがむしゃらに上手いバランスを見つけたのだと感じた。
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今や現代アートの先進地として、また、地域活性化の成功事例として海外でも評価が高い直島。このアートの島の誕生にキュレーターとして関わった秋元氏の奮闘記。直島がどのように変化していったのかがよくわかる。やはりキーとなるのは現場の思いだろう。福武さんの英断、資金、交友関係もなくてはならないが、秋元氏の考え抜く、突き詰める、諦めない姿勢が組織や島民、芸術家を動かしてしていったのだと感じる。ここでも本質を見極める姿勢が大事だったのだと感じる。
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「豊島」に行ったことがある
それも海路を伝い船で行ったことがある
もう何十年も前のことである
瀬戸内海の汚染の傷跡を巡る旅だった
「豊島」の港に降り立った時に
産廃の撤去運動をしておられた
猟師さんのお話を聞かせてもらった
そのすぐ近くに
「直島」という島があることを
教えていただいた
「直島」が現代アートの聖地と呼ばれるようになった
と見聞した時に
東京の「両国」のことを想ってしまった
江戸期に刑場としてあった場所が
そののち見世物小屋、芝居小屋、相撲興業、…
いわゆる庶民が寄り集う歓楽街になっていった
という史実を重ねていた
そんな意味で気になっている場所の
一つが この「直島」である
いつか 行くかもしれない
それが いつのことになるやら
自分でも わからない
ただ わかることは
みんなが 行くなら
私は 行かないなぁ
そんな 場所のひとつになっている
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直島のアートプロジェクトを手がけた筆者の、立ち上げにまつわる苦労話やエピソードを紹介。
特に、迫力あるのは、ジェームスタレルを招聘した南寺という作品だろう。体験型のこの光のアーティストは、長い時間をかけて光が飛び込んでくる様をアートにした。実際、ちょっと不安になるくらい真っ暗だから、人はいかに暗闇を畏怖するのかと思ったくらい。
そして、モネの睡蓮を飾ることになる地中美術館、これはMOMAで目の前にしたモネの絵の感動と、同じくらい素晴らしい体験だった。教会のようだという表現が本書にもあったが、まさにそんな神聖な感覚を持つ。こんな美術館は他にない。自分がどこにいるのか一瞬忘れるような体験。そして、ジェームスタレルのオープンスカイと、デマリアの作品も本当に素晴らしい。直島に行くと、必ず足を運ばなくてはいけない作品だったし、これからも行くことになるんだろうなと思っている。この建築を安藤忠雄の意図と、各アーティストの作り方とを合わせていくのは至難の技だったはずだが、それを乗り越えて、実現した世界観は本当にすごいと思った。壮大な挑戦の後で行った人には、この困難かつ努力はわかるまい。本書を読んでよかった。
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直島は、2014年1月に回ったけど、有料施設は入らない主義なので、この本に書かれているベネッセミュージアムや地中美術館は見てなかった。次回、行けたらゼッタイ観て回りたくなる本です。
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今年の夏休みに直島を訪れた際に感銘を受け、アートの島がどのように形成されたのか興味をもちこの本を手に取った。
期待通り、直島が瀬戸内の小島から現代アートの聖地と呼ばれるまでに変貌を遂げていく様子が現場のアートディレクターという立場から臨場感をもって描かれておりとても面白かった。福武さん、安藤さんやアーティストたちといった主要プレーヤーを繋ぎ、支える著者の働きがあったからこそ直島はここまで変われたのだろう。
現代アート市場の交渉現場や、タレル、デマリアなど直島に作品を展示するアーティストのリアルな姿などアートシーンの記述も興味深かった。
直島を訪れた方、これから訪れる方にぜひお薦めしたい本。
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あの直島がどのように有名になっていったのかを知ることができるし、元芸術家サラリーマンの奮闘記としてもおもしろい。