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この(17)にも、魂が揺さぶられました
もう、グラグラです
ネタバレ、と言うのか、微妙なラインですが、現在、私が「小説家になろう!」に投稿中の作品、その主人公の性格や個性、戦いにおける心の在り方は、勝や鳴海のカッコよさを意識して、練り上げています
じっくり考えると、やはり、私の中で、理想の男性像は、勝や鳴海と言った、藤田作品の男性陣なんですよね
ただ、悲しい事に、まだまだ、私の実力不足で、主人公が、彼らの漢気の一部も出せておらず、彼には申し訳ない気持ちでいっぱいです
とは言え、ここで諦めたら、自分の中の『からくりサーカス』愛を否定するに等しいので、何度も読みこんで、得た感動や衝撃などを、主人公の血肉にしていきます
どうか、私の作品の変化をお楽しみに
あと、この(17)の表紙、これ、立体化してほしいですね、ファンとしちゃ
文句なしに最高のクオリティなら、3万円までなら出せちゃいます
この(17)は、勝サイドの章が二つ、収録されています
阿紫花家の次女・れんげ、長女・ゆりとの交流が描かれていました
こういう書き方はアレですけども、勝って、女たらしですよね(笑)
まぁ、勝に限らず、藤田作品の主人公は、太陽に背中を向けてない、カッコつけて諦めない、タイミングが良い、などの理由で、女性キャラから向けられていますから、勝だけがジゴロって訳じゃありませんけども
れんげ編では、人形の武闘アクションにも興奮しますが、どちらかと言えば、勝の内面的なカッコ良さが、より強く描かれている、と感じました、私は
いつも通り、勝は、誰か、今回は、れんげのために、毎日、汗だくになって頑張ります
勝のカッコ良さにグッと来るのは当然ですが、れんげの「ここじゃないどこかへ行きたい」って逃走欲求、これになんとなく、共感できる読み手も多かったんじゃないでしょうか
私も、まぁ、理解できない訳じゃありません
ただ、人間ってのは、どこかに逃げたくて、実際に、そこを立ち去っても、良い事はない、と思うんですよね
もちろん、逃げる事は悪い事だから、死ぬまでその場所で頑張れ、なんてことは言いません
大事なのは、逃げた場所で、今度こそ、自分を好きになれるか、でしょう、きっと
場所を変えても、「逃げてしまった」、この負い目をずっと感じ続けてしまう自分のままじゃ、幸せにはなれません
自分だけの場所は自分にしか作れませんし、自分だけの幸福は自分から動かなきゃ掴めないんですから
様々な体験から、自分の居場所と、自分にとって大切な人を何が何でも守り切る覚悟をして、そのための努力を出来る勝は、やっぱり、カッコいいんですよ
そんな勝の、見た目からは想像できないほどの漢気が、意地を張ってばかりだったれんげの心を柔らかくし、ちょっとの勇気を出させる
グッと来る読み手は、そりゃ、多いでしょうよ
自分は泣くのを堪え、誰かに涙を流させないためにする無茶、それが周りに心配をかけているのも確かなんですが、勝は、それも承知の上で、やっぱり、自分は泣かないで、いつも笑顔で立ち向かっ��いくんですよねェ
もちろん、勝の人形繰りもカッコよかったです
剣技に長けているだけじゃなく、水上・水中戦も熟せるってのが、キャプテン・ネモの強みだったんですね
そのキャプテン・ネモを使い、連携攻撃を得意とする高性能傀儡・アンラッキーちゃんを行動不能にしたやり方も、これまた、見事としか言えません
どう倒したのか、それは皆さん自身の目で確認してもらうのが、一番なので、ここには書きません
あえて、勝因を上げるとすれば、経験不足を補えるだけの柔軟な工夫、です
それにしても、アンラッキーちゃん、怖いですねぇ
そりゃ、黒賀村の若者らに、トラウマを植え付けますよ
ただ、私も怖いんですが、ぶっちゃけ、このアンラッキーちゃんのデザインを藤田先生に採用された伊藤さんに、ちょっと、ジェラっちゃいます
藤田作品に限らず、好きな漫画に、自分の考えたキャラを出してもらえるってのは、漫画読みにとっちゃ、一つの夢ですねぇ
この「れんげ編」のまとめは、月並みですけど、幸せってのは思ったよりも近くにあって、視ようとすれば、聴こうとすれば、気付ける、です
「ゆり編」、こちらでも、勝がヒロインの一人・ゆりを変えています
人生の恩人・鳴海のおかげで変わったからか、勝も結構な良い影響を関わった他人に与えますよね
れんげの「逃げたい」気持ちほどじゃないにしても、ゆりの悪い意味で孤高な性格に対し、共感できる読み手は、それなりにいて、今、顔を赤くしていそうです
ゆりもまた、黒賀村から出ていきたい、と考えています
ただ、彼女は、妹とは違い、「逃げたい」じゃなく、周囲を見下し、自分がバカになる事を厭い、捨てようとしている感じです
その態度を全く隠さず、攻撃的を通り越し、あからさますぎる愚弄の態度で、ゆりは周りに溶け込まず、他人を遠ざけています
勝は、そんなゆりの、無知ゆえに高く、厚く、硬い壁を、真っ直ぐな強さでぶっ壊し、彼女に、生きていく上で、大切なものは、多くの知識や最新技術や機器に囲まれた環境だけじゃない、と教えます
そんな勝の強さに触れ、変われたのは、人間のゆりだけじゃなく、今回、勝を狙う刺客に選ばれた自動人形・シルベストリも同じでした
このシルベストリ、冗談抜きに強いです
あのパンタローネとアルレッキーノが、全く敵わないんですよ。ヤバいですって
それこそ、極端な話、シルベストリが、あの最終決戦に召集されていたら、鳴海も勝つ事が難しかったでしょう
そんなシルベストリに、ギリギリではありましたが、勝が勝てたのは、生来の才能や、尋常じゃない量と質の努力も理由ですが、勝が人間だから、と言うのが大きくないでしょうか
誰かを喜ばせるために、自分を良いものに変えていく努力が出来る、それが人間の持つ強さの一つと知っている勝だからこそ、シルベストリに勝てたのだと思います
思うに、シルベストリは、自動人形の中で、特に強い、だけじゃなく、人間に近づいてしまっていた一体だったのかも知れません
彼自身は頑なに認めていませんでしたが、一人であるのは寂しい、その感情と思考を、一人の少女と長い交流を保つ中で知ってしまった。けれど、シルベストリは、それに蓋をし、人形のままでいようとしてしまった
だから、勝を、自慢の剣で切れず、逆に斬られてしまったのでしょう
ただ、シルベストリは、大切な事を勝に気付かせてもらい、幸せそうであり、彼に心から感謝しているようでした
人間が群れるのは何故か、自分の投げかけた問いに返された、人間は弱く、一人じゃ何も出来ないから、互いに助け合い、手を取り合って輪を作り、それを絶やさず、繋ぎ続け、次に渡すため、勝だからこその答えに、シルベストリは満足したようでした
彼の「死」は、フランシーヌ人形の時ほどじゃありませんが、切ないものでした
コロンビーヌもまた、表にこそ出していませんが、勝の戦い方に、何か思うようなところがあるようでした
彼女が、どう変わっていくのか、楽しみですね
改めて言うまでもありませんが、勝の、こういう敵に対する姿勢も、カッコいいですよね
敵は、しろがねを狙い、自分を殺す気で来ている訳ですから、その考え方を理解しようとする必要性は、ハッキリ言えば、無い訳です
けど、勝は、敵の抱いている迷いを感じ取り、真摯に向き合って、自分を貫けます
その点なども含め、私の勝手な押し付けになってしまうんですけど、ほんと、『鬼滅の刃』を応援している漫画読みの皆さんには、この『からくりサーカス』を読んでほしいです
一ファンとして、『鬼滅』ファンの魂を揺さぶる自信があります、ハイ
この「ゆり編」は、ラストも、引っ張り方が上手いなぁ、藤田先生、と思わせてくれます
以前、勝自身も言っていましたが、辛くて嫌な事ってのは、いきなり、やってきます
フェイスレスってのは、わざわざ、そういうタイミングに、最悪の一手を打ってくる、とことん、性格がひん曲がっている野郎なんだよな、と感じます、この笑い方
一つの章を綺麗な纏め方をし、次の章は、もっと凄くします、そういう意気込みを読み手に感じさせる引っ張り方、勉強になります
この台詞を引用に選んだのは、他の名言に劣らぬほど、勝の強さを表現しているからです
血の繋がりはありませんし、育てられた訳でもないんですが、「転送」された影響もあってか、勝は微妙に、白金の影響を受けている部分がありますよね
自分がやりたいことを自分で選んでやる、それに迷わず、全力を出す、そういう欲望に忠実な部分は似てるかもしれません
ただ、フェイスレスは、とことん、「自分だけの為」で、勝はいつだって、「他人の為」に、やりたいことをやっているので、カッコ良さは段違いですけども
「れんげさん。きっと、なんでも・・・そういうんじゃないんだよ。どうせ、負けるからやらない、とか、勝てないからダメ、とかじゃないんだ。ぼくは『れんげさんに、花畑を見せてあげたい』んだよ!」(by才賀勝)
そして、もう一つ、こちらも良い名言です
言い方は大変、失礼かもしれないんですが、嘘臭くないんですよね、これ
勝が言うから、説得力があります
藤田先生が常日頃から感じている事を言わせた、と言うより、勝なら、シルベストリとの対話の中で、こういう熱い台詞を、自然に言う、そんな感じです
主人公に、こういう読み手の胸を殴る名言を、スッと言わせる、ス���ーリー展開法、これがまた、私の藤田先生に対する、嫉妬交じりの尊敬をメラメラさせます
台詞の内容に全く関係ないじゃん、とツッコまれそうですが、ますます、面白い小説を書いて、何が何でもデビューするぞ、って気合が滾りました
ありがとう、勝
「人間は、負け続けるようにはできていないんだよ!! この服は、人間が考えて作った・・・・・・おいしいごはんも、建物も・・・村も、町も・・・人間は、作った物を全部、次の人間に手渡して、渡された人間は、それを工夫して、繰り返し、暮らしてきたんだ。もちろん、人間は弱いから、悪い歴史も、きっと、いっぱいあった・・・・・でも・・・でも、人間は今も地球の上に生きてる! それは、きっと、人間が、なんとかやっていこう、と思ってるから・・・・・・次に、この世界を手渡す人達に・・・人と人とが作った輪に、新しく入ってくる人達に・・・なんとか良くやってほしい、と思ってるからだよ。シルベストリ、どんなに小さくたって、その輪“リング”が、この世にあるかぎり、人間はおまえ達に負けるもんか!」(by才賀勝)