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前に集英社新書で証言集を出しているのだが、今回は中国側がメイン。前の本では文面からでも健さんへのインタビューがガチガチであったのが読み取れたのだが、陳凱歌や張芸謀といった大物も若き日に同じ日本映画に熱中した同志的感覚で接している様に感じた。陳凱歌は日本人俳優にスター気取りが一人もいないということに感心していたのだが、裏を返せば、中国人俳優はスター気取りが多いということだろう。日本人で唯一登場しているのは日中文化交流会で長年日中映画交流に携わってきた女性なのだが、この話が興味深い。弁明なのかもしれんが、文革に対する違和感と葛藤は当然あったのだろう。それを日中友好の大義で押し殺した功罪は今後の映画人が映画化してもらいたいものである。山本薩夫や千田是也が中国から批判されたのも日共党員であったからなのだが、そういった赤い人脈とは別次元にあったのが徳間康快。竹内好を通じて中国と接点を持ってから、中国に入れ込んでいく様はさすがに一代で出版帝国を築いたワンマンぶりが成し得たものだろうが、「青い凧」の件で中国に批判されても、臆すること無く中国にカネを注ぎ込んで、会社も傾いた。今の徳間は石平本も出しているが、そんな事には拘らない人であった様だ。文革中に訪中した時には毛沢東語録の歌で歓迎され、日本側の事務局の女性が「白毛女」を披露すると、俺もやると徳間が壇上に登り「相撲甚句」を歌ったのだという。