紙の本
歴史家である網野善彦氏の自伝的名著です!
2019/01/24 15:15
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ちこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は、歴史家である網野善彦氏が自身の研究分野である戦後史学を振り返りならが、自身の研究生涯を反省的に顧みたことを綴った自伝的名著です。彼は、一つひとつの仕事、一通一通の文書を大切に扱う姿勢を貫いて研究を行ってきた人物ですが、その人生における苦悩と試練は相当なものでした。こうした困難にどう立ちむかい、研究を継続してきたのか?彼の研究人生が明らかにされる一冊です。
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戦後の“戦争犯罪”
1 戦後歴史学の五十年
2 歴史学と研究者
3 史料を読む
4 日本常民文化研究所
5 渋沢敬三の学問と生き方
インタビュー 私の生き方
著者;網野善彦(1928-2004、山梨県、日本史)
解説:清水克行(1971-、東京都、日本史)
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日本中世史の大家、網野先生の目を通しての戦後の日本史研究史といった本である。あとがきで著者自ら「老人の思い出集、しかもくり事であり、いまさら書物として多くの人々の目にさらすのもはずかしく、躊躇する気持ちもあったが」とあるように、戦後の日本史学かいわいの事情とそれにまつわるテーマで著作された論述をまとめたものである。したがって少々まとまりに欠けるところがある。
この本を読もうと思ったきっかけは、他の先生がかかれた中世史の本を読んでいるときに、まるでマルクス経済学者の書くような文章で、こんな文章を書く学者が出る背景とはどんなものかと疑問に思ったところにある。
本書を読むと、そういった背景がうまれた状況もなんとはなくわかるものである。
後半にある、日本常民文化研究所の文書整理については他の書物にも詳しくかかれていた内容。渋沢敬三ほかの作品集の解説を掲載した部分はあまり本書タイトルとの関連性を感じない。
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終戦時10代後半だった著者が学生のときから今まで戦後史にずっと係わってきて、どういう変遷をたどったかという話。
……だが、戦後史が体系的にまとまっているわけでもなく、○○について主張していた○○さん達学派が、とか……知らんわ。内輪で楽しむ分にはいいかもしれないが、その分野に詳しいわけでもない一般人が教養として読んで楽しめる本になっていないと感じた(ので、途中からは正直斜め読みで流してしまった)。
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「歴史としての戦後史」ではなく「歴史としての戦後史学」であることに注意が必要です。つまり、史学界の動きが生々しく記された書物です。史学界の方や、登場する史学者たちの書物をよく読む方に意義あるものと思います。
私は戦後史そのものに関する本だと早とちりして買って、読みながら過ちに気づきました。なので内容は私からすると予想外だったのですが、このような世界や動向があったのだとは知らず、少し世界が広がりました。