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編集者、装丁家、校正者、印刷会社経営者、製本担当者、取次会社経営者、出版社営業、書店員、移動本屋、批評家。
本を巡る関係者が、本を作り、読者に本を送り届けるというプロセスの中で、自分自身の本にかける思い、矜持と呼べる思い込みや信念、希望について語った本。
当たり前のことだが、一つのモノを作り、それを求める人たちに届けるプロセスの中には多くの人が関わっている。
それをまだ何もない構想段階のプロセスから始めて、装丁というデザイン作業から、ひょっとしたら本そのものはほとんど読まないかもしれない印刷や製本に携わる人、そして本の売り場を作り、自分は読まないけど、買いに来るお客さんの思いを想像して本を選び、トラックで本を運び、店頭に並べる人たちまで、本一冊に関わる人々は様々いるし、その人たちが本に対して抱えている思いも様々な角度、温度、深度がある。
まるで本という地殻を中心に360度全方位に、その本という星を回す人々がいて、その人たちはお互いに言葉を交わすことも、顔を合わせることもないのだが、全ての人たちが自分の足場は本に支えられていて、自分はこの星(本)が好きだと感じている、そういう事を実感させてくれる内容だった。
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本を巡る人々のエッセイ?~編集者・装丁家・校正者・印刷・製本・取次・営業・書店員・本や・批評家~ああ,疲れる
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ツイッターでフォローしている校正者 牟田都子さんが書いているということで図書館。『本のエンドロール』『紙つなげ』みたいな、出版・印刷・書店業界のお仕事小説が好きなので期待していた。途中、あれ?飽きたかもと思う瞬間もあったけれど、それは人によるもの(失礼)。編集者、装丁家、印刷、製本、取次、営業、書店、批評家。いろいろな立場の人の話と、本への向き合い方が真摯に伝わってくる。
本に関係する仕事に携わる人は、等しく本が好きなのだと思い込んでいたけれど、そうでなはなく、それでもその仕事に対するひたむきさは誰にも負けない的な記述が胸に来た(正確ではないけれど)。
そして、おもしろく、人の興味を引ける文章を書ける人と、そうでもない人、言葉は適切ではないけれど、古くさい文章を書く人というのがいるのだと今さらながら。
『本を贈る』というタイトルはとても秀逸だと思う。
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作られる過程が分からない、生産者の顔が見えないものは身の回りに沢山あるけれど、こんなに身近な存在である本にも、こんなに沢山の熱量と、想いが込められているとは…!
企画から生産、流通、販促…それぞれが志し高く、バトンを渡して手元に届いた本の中でも、一生自分の本棚に並び続けるものは奇跡に近いように感じました。
そんな出会いを生み出せなければ、意味がないという気持ちで仕事をする人たちの存在を、これから本を読む度に思い出すんだろうなと思いました。
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▼加古里子さんの「かわ」という素敵が本があることを知りました。山から水が湧き出て、川になり、海に至るまでを絵巻物のように絵本にしたものです。連れ合いが知っていて「そりゃ素敵そうだ」と先日買いに行きました。「普通に本になっている版」と「絵巻物になっている(全長7m)版」とが出ています。どうせなら、絵巻物版を買おうと。
▼二子玉川の蔦屋書店で絵本コーナー近くのレジにいた女性の店員さんに「加古里子さんの”かわ”を探しているけれど見つけられなくて」と「検索結果シート」を渡したところ、一瞥してすぐ動き出し「絵巻物の方でよろしいんですね?」と。一瞬も迷うこと無く導いてくれました。これは嬉しい。その店員さんは「加古里子の”かわ”という商品」を知っていた。通常版と絵巻物版があることも知っていた。そして特段語らなくても「これ、良い本ですよね」と笑顔から滲み出てくる感じがとてもほっこりして幸せでした。こういう店員さんがいると「どうせならこの本屋さんを応援したいな」と思ってしまいます。
▼「本を贈る」2018年、三輪舎。若松英輔ほか。(2019年12月に読了)
本を作る仕事に携わる11名が、それぞれ自分の履歴や仕事や本への思いを綴った、コンセプト・エッセイ集とでも言うべき1冊。不勉強で著者の方々はほぼ皆さん知らないのですが。確か渋谷のジュンク堂書店だったかで衝動買いした一冊。
▼編集者、装丁家、校正者、印刷業、製本業、取次、書店営業、書店員、移動書店経営者、そして批評家。それぞれが大体30ページくらい。どれも僕は垂涎モノの面白さ。オモシロというよりも、しみじみと味わい深く、胸打たれて涙ぐむことも。
▼本を巡る業界が覗けるという興味深さもあります。でもそれに加えて、書いている方々が「物量、成果、コスト、エトセトラエトセトラ…」という「ビジネスの現実」以外のところに立脚点を持っていることが、この本の魅力でしょう。
(そういう「ビジネスの現実」を観念的に批判して「俺は違うもんね」とドーダするようなことでもありません。それはそれで、マイナスの方向に走っているだけで、「ビジネスの現実」に則っていることは変わりませんから。)
▼まあつまりは「本が好き」ということ。本が好き、ということは「本を売る」というビジネスの上では、巨視的になればなるほど関わりが無いかも知れませんが、ミクロに考えて本と関わる僕たち一人ひとりにとっては、その「愛」っていうか「ほっこり感」は、嬉しい。アマゾンでポチるのも便利ですが、便利なのと「ほっこりする」のとは違うモノです。肉屋で肉が便利に食べれるんだから、魚屋は要らないよ、というのはあまり幸せではない気がします。
▼店頭で衝動買いした最大の理由は、「モノとしてものすごい魅力的な本」だったんです。装丁、その質感、手ざわり!紙質、文字の大きさ、余白の取り方…全てが、僕にとっては「理想の本」です。全てが、言葉にすると「ざっくりとしていて、シンプルだけど素敵に気が利いていて、手に持ちやすく、目に優しく、読みやすい」。ほんとに、是非皆さんにとにかくブツを手に取ってみていただきたい。電子書籍なんか、泣いて吹っ飛びます。読んでいて、手が、指が、感触が、嬉しくなってしまう。この「本を贈る」というブツ自体に、「本が好き!」、という作り手の気持ちが現れています。
▼と、言いながら僕も読書の過半は「電子書籍、またはアマゾンでポチったもの」になりつつあります。「しょうがないよなあ、便利だし、ウサギ小屋では本棚にこれ以上の場所取れないし」というのが本音です。
それでもこういう本と偶然に出会って、胸打たれると「いかんいかん!俺も汚れちまったな…」と反省させられます。ごめんなさい。
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本への愛が溢れた1冊でした。
これを読んだ後は、本を見る目が変わっちゃいそう。今まで見るのはカバーと本文ぐらいで、紙に注目したことはなかったけれど、ほんもん、あとは携わった方の名前なんかにも気を配りたいですね。仕事に対する情熱を感じましたし、一冊の本を作り上げるのに携わる方々のことをちゃんと意識することのできる良い機会になりました。
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本を作るリレー参加者による、自分の区間を語るお仕事模様。どんなに沢山の人たちの仕事で出来上がっているのか、改めて思いを馳せた。
校正と製本の人の話が好き。奥付が泣ける。
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「本を贈る」という素晴らしい題名で、製本も素晴らしくまさに贈られたというに相応しい存在感の本です。
内容は本に携わる10業種の人々のエッセイとなっています。
装丁や製本だけでなく、印刷や運搬にまで幅を広げて、本を贈るように届けている人々の思いを形にした本です。奥付に印刷会社や運送会社の担当者名が載っている本を初めて見ました。
この中で知っている人は夏葉社の島田潤一郎さんだけでしたが、他の人々の文章を読んでいると如何に多くの人々が本に関わっているかが身近に感じられます。
僕自身、本に関する本が好きでよく読んでいますが、数年前に出た「本のエンドロール」という本を読んで一気に印刷という所まで意識が広がったのを思い出しました。
この本は本好きしか手に取らなそうな本ではあるのですが、本書の中で「本が好きでは無い人にも届けたい」というようなことをBOOKTRUCKの方が書いていましたが、それはとても大事な事だと思います。
本好きは自分で読みたい本を探すので、どういう形であれ日常的に本を手にします。しかし本を常に読む習慣がない人には、ぱっと見て魅力的な本である必要があります。
これには装丁や製本が深く関わっていますね。
「本」に関わっている人々の中でも、特に意識的にものづくりとして本を選んだ人々を選抜しているので、読んでいると本もまだまだ大丈夫だと勇気づけられる作品になっています。
しかしいずれ紙の本は好事家の嗜好品になって、それ以外はテキストデータとしてやり取りされるのでしょう。これは避けられない現実だとはわかっているのですが、何とか本の魅力を少しでも人々に伝えたい。そんな想いを強くしました。
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…書くとは、思ったことを言葉にすることではない
…書くとは、記された言葉に導かれて未知なる自分に出会うことにほかならない。
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図書館から借りた本
またまたブクログが私にオススメしてくれていたので借りてみました
・
本を創っているのは著者だけじゃない
そこには本当にたくさんの様々な職種の人達が携わっている
装丁や製本のみならず配送だったり販促だったり
そんな本の作成に携わる人達が自分の職業にプライドを持ち情熱を傾けている様を本人自ら描いている
・
10人の著者は本業は本を書くことではないけど、本が好きで本に携わる仕事をしているからか皆さん、文章を書くのがお上手!
面白くてページをめくる手が速くなる…ということはなかったけど、本好きを自認する身としては知っておくべきことがたくさん詰まっている本だなーと思いました
特に校正者の方の章は面白かった!
・
本を手に取った時、内容はもちろんだけど、せいぜい表紙くらいしか意識はしてなかったけど、今後は紙質や装丁など意識が向くんだろうなと思う
ますます本を愛おしく感じてしまいそうになる一冊でした
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本好きの方におすすめしたい良い本です。
このアプリを入れている方ならきっと好きなはず(笑)
本の作成に携わる、
様々な職の方が「本を贈る」をテーマに執筆。
本への愛情や想いがじわっと、つまってます。
小難しい話しはなく、スラスラ読めます。
面白い点はもうひとつ。
表紙が刷数によって違います。
初版はこの画像のとおり、赤
第二刷は緑
第三刷はオレンジ
知った時は「さすが!」と言いたくなりました。
本棚に1冊、そっと入れたくなる本です。
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ぶっちぎりに読みやすくて良い本
皆さんとても読みやすい文章でサクサク読める
本に対する情熱を感じる話もあれば、職に対してそーなんだ!ってなる話もあって被りなく気持ちや実情を教えてくれる
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本への愛情がすごい
本に関わるさまざまな仕事に携わる人のお話
どの方の文章も柔らかくて好きでした
実際に寄稿している方の書いたZINEを本人から手渡してもらったときがあるけど、その時の優しいオーラそのままだなと思った_φ(・_・
2022/01/18 ★4.3
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著者、編集、校正、装丁、印刷、製本、営業、取次、書店、本屋
本作りに関わる人のエッセイ
この本を読んでから、目の前にある一冊の本の過去を想像するようになった、実物の本に親しみを感じさせてくれた本
文学フリマにて、同著を執筆した営業の方にお会いできて感動しました
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藤原印刷の藤原隆充さん
P126
〈一冊の本が世に出るまでに、どれぐらいの人間がかかわっているのでしょうか〉
いろいろな本を読み知っているはずでしたが
本書を読み、こんなにも多くの方が携わり
本を作品にしてくださっていると再確認しました。
携わってくださった人たちを思いながら
読書時間を楽しみたい。
「読み続けることが恩返し」のような気もします。