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自分もランニングやマラソンに加えて、トレイルランをやっている。
スコット・ジュレクとは比べるべくもないが、トレイルランはロードより、更に自分に向き合うことができると感じている。
自然に身をおき、家族や友人のことを想い、走り終え、家に帰ってから優しくなっている自分に気づく。
自分も40歳を過ぎてから様々悩むことがあり、また、体力の衰えや変化を感じる。
日々仕事に追われ、人や組織のしがらみに囚われることがあるが、この本の中でも、禅で言うところの"いま、ここに"ということは非常に大切。これを意識的に、願わくば無意識のうちに実践できていることが理想。
スコット・ジュレクのようにはとても自分を追い込むことはできないが、改めて自分や周囲の人たちに向き合おうと思わせてくれる一冊だった。
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ウルトラマラソンやトレイルマラソンのランナーが、約3500kmのアパラチアントレイルを走って、最速記録を更新しようと挑戦した時のレポートのような本。
全盛期ではないが、過去の栄光に満足せずに新しい挑戦に向かうのはすごいと思ったが、並行して綴られる奥さんのレポートを読んで、そんなに単純な話でもなくて、考えさせられた。
一ヶ月以上かかるため、1人や夫婦だけではとてもできず、
10人以上のサポートを受けて挑んでいるが、その1人一人とのエピソードややりとりが、面白いし、
疲弊しているスコットジュレクにとって救いとなっていることもわかった。
後半は疲弊して、それでも尻をたたかれるようにしてなんとか走っているが、
そんな状態でも奥さんへの気持ちが切れなかったことが、一番の感心させられたことだった。
伴奏者1人一人とのエピソードがちゃんと残っているほどちゃんと人とつきあっていて、社交的な人だと思うが、
最後の最後、一番疲れているときでも妻を思いやる姿は、感動していた、かもしれない。
自分を追い込むことに意味があったというし、走り続ける中で、禅の公案のように、ひたすら考えることになるのは、少し共感できた。
私自身マラソンを走ったりする事もあるが、ゴールを目指すだけでなく、どこかにたどり着くためにひたすら走る、というのも楽しめるようになりそうだ
読みおわって、また長く走りたいと思うようになった、また走りたいと思える、そんな本だと思う
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NORTH 北へ スコット・ジュレク著 心身の限界に挑む人の内面
2018/10/20付日本経済新聞 朝刊
米国東部をアパラチア山脈に沿って南北に貫く約3500キロの長距離自然歩道、アパラチアン・トレイル。長距離ランナーとして数々の実績を残した著者が、40歳を過ぎた新たな挑戦として、その最速踏破記録に挑んだ。46日と8時間余りに及ぶ記録達成の過程を詳細に記した本書は、困難にあえて立ち向かう人間の内面を生々しく伝える。
挑戦を決めたとき、著者は米国在住ながらアパラチアン・トレイルのうち32キロほどしか歩いたことがなかった。そんな未知の行程を1日平均80キロの速さで南から北へ走り抜く。40代を迎えて自分が「どんづまり」にいると感じていた著者は、自分の限界を超える感覚を求めた。
足の激しい痛み、悪天候、熊との遭遇。次々に直面する苦難と闘いながら、著者は挑戦の意味を自問し続ける。ときに絶望感にさいなまれる彼を、駆けつけた友人や同じ道を歩く人たちが励ます。周囲の人々との心の触れ合いがすがすがしい。
亡くなった母の思い出が脳裏によみがえるくだりは、著者の人生が決して順風満帆ではなかったことをうかがわせてとりわけ胸に迫る。彼を支え続ける妻の視線も随所に織り込まれ、夫婦の絆の強さを思わせる。巻末に収めたノンフィクション作家で探検家の角幡唯介による解説が平易だ。栗木さつき訳。(NHK出版・2000円)====unqte===
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3500kmを46日で走破するには、体力、気力ではなくて、友人力が必要だ、ということがよく分かった。角幡唯介の解説が秀逸だ。ほぼ本文と同じぐらいの内容がある。
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史上もっとも偉大なウルトラマラソンランナーのひとりであるスコット・ジュレクが「レースから引退する」と公言していた40歳になった時、自分はどうなりたいのかをかけて挑んだアパラチアントレイル。総延長2189マイルのFKTを目指したスコットと妻ジェニーのまさに魂の記録。睡眠時間を削り、自分の肉体のタンパク質まで消耗しながら44日間で達成したFKT、ジャーカーとジェイルーも素晴らしいが、二人を支えたサポートチームが凄い。自分のレースや仕事を投げうって彼らのもとに駆け付けるのは、やはり、ジュレクがウルトラマラソンランナーたちに愛されていたから。トレイルの魅力、限界状態のジュレクの描写とともに、熱い友情が印象に残った。2015年7月12日、きしくもジェイルーの誕生日、ATのFKT達成、おめでとう!
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アメリカ東部の自然歩道アパラチアン・トレイル、走行距離3,500kmの最短記録を目指したノンフィクション。
ランナー、特にトレイル・ランナーならば人間が限界点に達しそうなとき、どのような精神状態に陥るのか、どうすれば平静を保つことができるのか勉強になる。
トレイルランというそのランナー自身の一過性の出来事のように思える行為だが、実際にランナーのように個人的な意思だけではなく周囲の支え・助言があってなされていく。長距離走は個人戦ではなくチーム戦なのである。
ランニングを趣味にしてない人にとっては対岸の火事としか感想を持たないと思う。オタクな世界がランニングコミュニティーには広まっているのです。
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走ることを趣味にしているのでその興味で読んだが週末のランニングやフルマラソンとは全く別の世界だった。フルマラソン以上の距離を毎日走ったり歩いたりし続けるというのは想像できるけど実感できない。トレイルネームを持った仲間たちが入れ代わり立ち代わりサポートしていく様はまるで筋書きのあるドラマ(もしくはRPG?)のようだった。
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100マイルレースであれほどの実績を誇る世界トップクラスのトレイルランナーでも、ここまでの心身のダメージを負うんだ…というのが率直な反応だった。
そして、多くの人のサポートを受けて、文字通り満身創痍の状態になりながら完歩して成し遂げた新記録が、従来のものを僅かに(と簡単に言ってしまうのも咎めるが)3時間余り上回っただけとは…!
さらに付け加えると、スコット・ジュレクの前に記録を保持していたのはなんと女性!
我々凡人からすれば、100マイルを不眠で走り切る能力と2000マイル以上を数十日かけて歩き通す能力の間に差異は見出せないが、実は100m走とマラソンに求められる能力が異なるのと同様に、そこには歴然たる区別が存在しているのかもしれない。
どちらにせよ、山に入っていて、陽が傾き暗くなり始めた途端、「ヤバい、早く下りないと」とビクビクし出す私のようななんちゃってトレイルランナーには想像もつかない世界だが…。
このチャレンジには妻のジェイルーもスルーで同行しており、彼女の心情も折々で綴られているが、ジュレク家の物語としてはそれも非常に大きな意味合いを持っていて興味深いし、読み応えがある。
何枚ものカラー写真で旅の様子が伺い知れるのも良い。
ヴィーガンのアスリートとしても有名な著者だけに、道中の補給についてもっと詳しい説明があればなおありがたかったと思う。
巻末に収められた角幡唯介氏の解説は、ジュレクとおそらくは近しいフィールドに生きる文筆家としての目線が見事に表れた名文だ。
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今年度ベスト1候補。断トツスゲーノンフィクションである。
あの「EAT&RUN」の主人公、ウルトラマラソン、100マイルトレイルで数々の驚愕記録を打ち建てた、レジェンドランナーのスコット・ジュレクとその妻ジェイルーの新たなる挑戦。
年齢を重ね、レース第一線から身を引いたジュレクが挑む、アパラチアトレイル(AT)最速完全踏破記録(FKT)の物語。
技術や知識的な記録を期待して読むと残念なのかも知れない。なぜなら、この本は限界を超えた挑戦に対するジュレク・ジェレミーからみた、夫婦の絆、友情、自然との対峙、絶望と希望…あらゆる感情と真摯に向き合う物語だからだ。
俺は限界まで何かに挑んだことはあるだろうか?体のエネルギーを使いつくし筋肉を分解する酢のような体臭を放つまで、疲労困憊しきれないほど憔悴し憔悴しきれないほど疲労困憊し、原始人のように野生動物のように未来も過去もない今だけを生きる…そんな極地まで自分を追い込んだことはあるだろうか?
どうせやるならトコトンやる。そんな気持ちにさせてくれた1冊。それが仕事だったらとっとと逃げ出すけども(汗)、ランやクライミングなら、そこまでの境地じゃなくても、この本を思い出してあと1つ、もう一つ次のステップを踏めるんじゃないか?
この本は、この挑戦記録は、俺にそんな勇気を与えてくれる1冊になってくれた。頑張るぞ、楽しむぞ!
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山を登っていると、トレイルランの人に出逢う。自分には出来ない事をやっている人への憧れと羨ましさが混じった感情。その達人のアパラチアントレイル。こんなに素早く移動出来たら良いのに。
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アパラチアン・トレイル(AT)約3500キロ ブラッド・マウンテン原野という名前が戦争に由来していることは知っていた チェロキー族とクリーク族 道標遠見逃すな! 映画『コールド・マウンテン』 ノースカロライナ州のグレート・スモーキー山脈を横断する 運命を甘受し 苔むした岩と針葉樹で覆われている 素晴らしい眺望を望めるぞ 定宿じょうやど 気持ちが鋭敏になっていた 母さんの筋萎縮 僕は州代表に選ばれるほどのノルディック・スキーヤーになり 不機嫌を撒き散らすティーンエイジャーのような態度 彼女もまた「私はタフだから」という姿勢を貫いているからだ 仲間=トライブ マダニのせいでライム病になったら ベア山の頂上からはマンハッタンの高層ビル群が見えて こうした火の見櫓は既にその役割を終え やがて水が奔流となって流れはじめた 州境を超え 言い得て妙だ 大円団=グランドフィナーレ 僕の終わりのないインスピレーションの源 歩荷ぼっか 人間の無意識には普段の日常生活では決して扉を開かれることのない未知の領域がある 四十歳とは己の肉体的な死を見つめ始める年齢だともいえる 多士済々 角幡唯介 ライム病
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世界的に有名なウルトラマラソンチャンピオン、スコット・ジュレクが、AT(アパラチアン・トレイル)の新記録を狙い挑戦した記録。
試しに読んで見るために図書館で借りた。
これは購入しなければ!の本だった。
Kindleでラインを引きながら読みたい。
冒険。自分の足で3500キロを踏破する。
凄い!羨ましい!そんなことができる身体、経験、精神を持っているなんて!
AT(アパラチアン・トレイル)は、アメリカ合衆国三大長距離自然歩道のひとつで、89マイル(約3500キロ)
これを6週間ほどかけて走ったり歩いたり登ったり降ったりしながらゴールする。
崖みたいな山を登り下り、岩との隙間を通り…写真見てても過酷さがわかる。
奥さんも所々で合流し、一緒に走る。奥さんもウルトラマラソンなどやってるらしいが、今回は夫を支える側。
夫婦で冒険って、またそこがいい。
雨が嵐が雷が。足を痛めて歩くのもやっとな状態でも、休まず進む。
ルールとしては、“トレイルの全行程を、一歩一歩、自力で進むべし。”
だけど、違反をする人たちはいるそうだ。
ルールを守らずくねくねした道をまっすぐ突っ切ったり、一部を車で移動したりするルール違反(ズル)もいるらしい。
また、ゴミを捨てたり、焚き火をそのままにしたりなど、マナーが悪いのも。
そんなルール違反をするぐらいなら、やらなきゃいいのにって思う。
真剣に取り組む人の迷惑だと思う。
特に全行程をちゃんと自分の足で進まずズルするなんて、なんのためにやってんの?目的がわかってない、おバカ?
自分の中でズルしたことに後ろめたさとか、できなかった感とか出ないのか?
ジュレクさんは、トイレなどによった時も、元の位置に戻って再スタートしたらしい。かなりの徹底ぶりだ。
こうやって、やるからこそ、最後に真のやり遂げた感がくるんだと思う。
トレイル・エンジェルの存在。
彼らこう行為は本当にエンジェルに見えるんだろうな。
こういった出会いが、いくつもあって大きな思い出にもなる。
友人たちの助けがとても支えになる。
寝ているのか起きているのかの極限状態。
ここまで追い込んでどんなものが見えるんだろう。
精神世界と人生の短縮みたいな。
挑戦して成し遂げるところが素晴らしい。
羨ましい!
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内面の葛藤をしっかり描いていてよかった。各節の終わりにサポートをしていた 奥さんのその時その時の記述があって面白い
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アパラチアントレイル、自分も走りたいとはならなかったけど、またなんか自分も新しいチャレンジをしたいと思わされた。モンブランなんかで一緒のレースを走ったけど、またスコットとファンランでトレイルを走りたいな。
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3500kmという果てしない距離の世界記録を目指そうとする世界一のトレイルランナーの冒険談
40日以上ひたすら動き続けるため日々身体のダメージが蓄えられていく姿が生々しい。