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副題にインダストリー4.0に代表されるようなAI・IoTといった技術を製造業で活用すべし、というのはもはや異論がない方向性だとしても、それがどのように会社の利益の増大に貢献するのか、という点については、まだ試行錯誤の段階である、というのが実質ではないだろうか。また、インダストリー4.0関連の類書においても、しっかりその点を意識して書かれている本は少ない印象がある。
そうした状況において、経営共創基盤のパートナー/MDのお二人によって書かれた本書は、サブタイトルの”AI×IoTで「稼ぐ力」を取り戻せ!”とあるように、徹底的に製造業が利益を出すために取り組むべき基本的なアクションと、そこでAI・IoTをどう活用すべきか、という点が強調されている点で、貴重な一冊と言える。
本書では製造業のマネジメントにおける4つのステップごとに、必要な考え方とアクションが示される構成になっている。
・見える化1.0=儲けの構造の見える化
・見える化2.0=プロセスの見える化
・見える化3.0=稼ぐポイントの見える化
・見える化4.0=リアルタイムの見える化
特徴的なのは、見える化1.0と2.0の世界では、AI・IoTといったテクノロジーというよりも、泥臭い製造業の原価管理や製品開発の在り方がテーマになっている点である。本書はテクノロジーを使うかどうかは別として、しっかり製造業としての基本的な利益改善の活動を行うべきであるということがしっかり示されている点で、「何でもかんでもAI・IoTで解決!」といった夢想的な着地に逃げない真摯さが現れていると思う。
また、本書を貫く哲学として、いわゆる製造業における競争戦略の古典かつ最重要の概念である「モジュラー/すり合わせ(インテグラル)」・「オープン/クローズ」の選択の重要性が繰り返し主張されるあたりも、本書の独自性であろう(そうした戦略論を理解していないSIer系のバックグラウンドを持つ執筆者による類書などには、恐らくこうした概念の重要性は出てこないだろう)。
「稼ぐ」という観点からあるべき製造業のマネジメントの姿と、テクノロジーの活用方針を網羅的に理解できる点で、AI・IoTバブルの今だからこそ読むべき一冊と言えると思う。
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結局、AIへの対応ということか。なんとなく言いたいことはわかるが、挟み込まれた事例や図表の説明が雑駁すぎて、もったいないし、かえってわかりにくい。かといって細かい事例を説明されても余計であろう。表題もどうか。「○○いくつ」となると、その次はどのようにバージョンアップしていくのか、と期待してしまうが、もうこれ以上の見える化は難しいのではないかと思うし、そこまで必要かと感じてしまう。まだまで見えるかできてないものがあまりにも多い気がする。
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見える化1.0から見える化4.0という名前で段階的な見える化の状態を解説する章組。
生産現場における見える化ロードマップを描く場合の参考にはなると思う。
現時点で世の中に出回っている事例が少ないからか、3.0と4.0の部分はやや内容が薄いという印象。
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AI/IoT時代における日本メーカーの生存戦略を語る。
IoT以前の時代には、
1.収益の見える化、
2.社内プロセスの見える化、
3.顧客ニーズの見える化、
というプロセスで発展を遂げた。
IoT以後の時代には、
4.リアルタイムの見える化、
5.ビッグデータ分析と予知、
6.リアルタイムの制御自動化、
というパスをたどることになる。
インダストリー
1.0 蒸気機関の登場と機械設備の導入に代表される、いわゆる第一次産業革命。
2.0 電気の登場とライン製造方式。
3.0 産業ロボットやITによる自動化・効率化。
4.0 IoTでつながったの時のものづくり。
生産計画や製品入庫実績などを扱うERPがあり、その下に生産ラインを制御するMESがあり、さらにその下に各機械を制御しているPLCがある。この3つのシステムのデータを連携させると、ERPのカネ情報とMESのモノ・工程情報、PLCの稼働情報がリアルタイムにつながり、活動基準原価計算ABCに必要な情報が集まる。すると、受注プロジェクト単位で赤字/黒字を確認できるようになり、負けパターンを認知・分析できるようになる。負けパターンに応じて、取るべき対応が異なる。
欧米ではプロセスの見える化が特に問題にならない。社員の流動性が高いので、最初からシステム化しておかなければ業務を継続することさえままならない。属人的な要素を排除して、誰がやっても同じ結果が出るようにするには、マニュアル化を避けることはできない。
IoTが製造業に及ぼす影響は大きく2つ。1つは生産現場の効率化、つまりQCDの飛躍的向上を狙うというもの。もう1つはビジネスモデルそのものの大変革、データをもとに顧客とつながり、新たな付加価値を生み出していく、サービスでも稼ぐビジネスモデルだ。
ー以下、メモー
メーカー社員にとって非常に示唆に富む内容であった。IoTによる進化のパスや、生産効率化・サービスモデル化の話は既知であるが、分かりやすく整理されている。個人的な印象に過ぎないが、メーカーはサービスモデルの付加価値をあまり認識できない。モノの時代と比べると、コトの時代の価値は実感しづらい。徹底した顧客目線でUXに強みを持つベンチャーの方が得意。
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国際競争力が低下している日本の製造業。
AIとIoTで、見える化をするとどんな可能性が見えてくるか。日本の戦略と海外の戦略の違いはなにか。ビジネスモデルの変化について知ることができる。
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# 書評☆2 見える化4.0 | 社内構造の可視化による経営改善
## 概要
会社経営について詳しい2人の専門家による,社内状況の可視化による経営改善を提言している。
可視化は以下の4段階のレベルがある。
1. 社内構造
2. プロセス
3. サービスモデル
4. 24時間
著者が経営の人であるため,経営の内容に終止している。一般社員が読んだところで,どうにもできない内容だった。
## 結論
IoTのビジネスの話を期待していたのだが,思っていたのと違った。
こういう経営の話は,一般社員が読んだところで,実行不可能であり,役に立たない。
今後はこういう経営の本を読むのは避けようと思った。
パーマリンク: https://senooken.jp/blog/2019/04/23/
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製造業向けの見える化に関する良著。
<メモ>
・どの部分をオープン化して、どの部分をクローズ化するかを業界全体で設計し、見極められるかが重要。
・ドイツが行おうとしているのは地上とクラウドの間の空中領域。インダストリー4.0で取り組もうとしているのは空中層をいかに築き上げるかという取り組み。クラウドはアメリカのグーグルなどがデータを吸い上げている。
・見える化1は原価の見える化、2はプロセスの見える化
3は稼ぐポイントの見える化、4はリアルタイムの見える化。リアルタイムの自動化につなげていくもの。
原価を把握し、上流部分を一気通貫でつなぎ、下流部分まで含めたサービスモデルで収益構造を抜本的に見直す。さらにリアルタイムの見える化やビッグデータ分析と予知、さらにはリアルタイム制御自動化を目指していくというもの。
・今まで世の中になかったものを出すときはマーケットの意見を聞いても仕方がない面がある。アップルのようにこれを出したいんだというこだわりに価値がある。
・日用品の自動補充などシロモノ家電メーカーは構築できるのではないか。製造業はものを作って売る発想から、サービスも出るかを実現した方が有利になるのではないか。
・AI IoTを事業に効かせていくためには
予想したいことが明確×データ数が多い×複雑要素が絡み関係性が複雑。
・見える化4.0が意味する範囲は組織能力によって
1デバイス特化型 デバイス製造を最適化
2サービスモデル型
3プラットフォーマー型
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稼ぐ製造業となるための、情報整理のポイントを4つのステップで解説。
見える化する目的が非常にクリアであり、すっきり腹落ちして読める。
DX、RPA、IoT、A.I.といったキーワード全盛のこの時代に、なぜその
ツールが必要となるのか。ツールを使う前にやることがあるのではないのか。
目の前の技術に踊らされず、要を抑えた良い本と思います。
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AI×データというツールだけが一人歩きし、導入自体が目的になってしまっていないか?
目的を与えるのは常に人間で、出てきた結果をどう活かすのかを決めるのも人間であるにもかかわらず。
そしてものづくりの基本が土台に無くてはならない。
、、、という暗黙知を体系的に整理して形式知してくれた良書。
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IGPIのコンサルタントが提言!
「現場再生」のスペシャリストだから語れる4ステップ進化法!
AIもIoTも、製造業の競争力向上の要となるテクノロジーであることは間違いない。
しかし、多くの日本企業が、そのメリットを最大限享受するまでには到っていない。
このままでは、グローバル競争に取り残されてしまう危険性も否定できない。
「いかにIoTを活用しようが、ビジネスモデルを進化させようが、
モノづくりの基本ができていないと意味がない」と著者たちは強調する。
本書では、まず「見える化1.0」「2.0」「3.0」というモノづくりの土台を
しっかりと築いたうえで、新しいモノづくりの姿である「見える化4.0」を提唱する。
すぐにでも手をつけられる具体的な施策が満載の1冊だ。
【「見える化」進化の4段階】
見える化1.0=儲けの構造の見える化
グローバル化の進展で複雑化する組織・製品をきちんと仕分けて
原価・儲けの構造を解き明かしていく。
「どの拠点、どの顧客、どの製品が儲かっているのか/いないのか」
という一番大事な情報を明らかにする。
見える化2.0=プロセスの見える化
顧客のニーズを製品企画にしっかり取り込むのと同時に、
モノづくりのプロセス全体を一気通貫に見える化して重複や無駄を省く。
見える化3.0=稼ぐポイントの見える化
モノを売るだけでなく、それをサービスモデル化することで、
収益の構造を根本から見直す。
PLモデルから、バランスシートモデルへ、頭を切り換える必要がある。
見える化4.0=リアルタイムの見える化
IoTを活用すれば、各種のデータをリアルタイムで取得できる。
それらを分析することで、バリューチェーンのあちこちに、
それぞれの企業にあった「儲けの戦略」が見えてくる。
もくじ
まえがき──IoT時代の新しいモノづくりのあり方
プロローグ──「インダストリー4・0」は「見える化4・0」
-「創る」→「作る」→「造る」の再定義
-「上からの標準化」と「ブラックボックス化」のせめぎあい
-「何をつくるか」よりも「どこで稼ぐか」がポイント ほか
見える化1.0 儲けの構造を把握する
-御社の「原価の見える化」のどこが問題か
-工数ベースで原価計算すれば、製品・工場ごとの実力がわかる
-IoTが「誰でもABCの時代」を後押しする
-赤字パターンによって検討課題が変わる
-ライフサイクル全体を見なければ、本当に儲かっているかわからない ほか
見える化2.0 プロセスの見える化──バリューチェーンの上流部分を見直す
-収益性と競争力は必ずしも一致しない
-真の競争力は、表から見える競争力とは違う
-VOCによって顧客ニーズを洗い出す
-QFDでプロセスの見える化を実現
-「流用設計」が隠れコストの温床になる
-DSMでプロセスの順番を最適化する ほか
見える化3.0 稼ぐポイントの見える化──サービスモデル化とIoT
-「インダストリー4・0」がもたらす本質的な意味合い
-P/L重視からB/S重視へと発想の転換が必要
-すでに家庭に入り込んでいる家電には勝機がある
-Tier0・5のサプライヤーが自動車業界をリード
-保守点検サービスが宝の山に
-どのデータを残すかがオープン・クローズ戦略の要に ほか
見える化4.0 リアルタイムの見える化──IoTのフル活用で自動化を実現
-「AIを入れたら何かしてくれる」は間違い
-匠の技術のデジタル化
-プラットフォーマーに名乗りをあげたコマツ
-データづくりがうまい会社と下手な会社
-人間の想像力がボトルネックになる可能性
-「見える化4・0」とは何か ほか
あとがき 「ジャパン・アズ・ナンバー1」アゲイン