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平成が終わる。
ほぼ平成を生きてきた日本人にとって、平成とはなんだったのか。
昭和のツケをを払ってきただけに過ぎないのか。
いや、そんなことはない。
夢で思い描いた未来の到来は期待できそうにないけれど、今をほどほどに幸せに生きる。
だから、楽しい今のうちに人生を終わらしておきたいと思っても、まぁそうかなと思うのだ。
平成とともに生まれた平成(ひとなり)くんと同居する私は昭和の大漫画家の娘で、父親が残した遺産で暮らしていける。
彼はコメンテーターとして、脚本家として、評論家として、様々なメディアに発信するマルチキャリアだ。
そんな彼がある日突然、安楽死したいという。
ここは安楽死が合法化された日本。
平成の終わりに重ねて、終わった人間を自覚した平成くんは自らの人生も終わらせたいと告げた。
昭和の中高年が読んでも理解できない。
多分、数十年後に読んでも、今の時代の空気が分からない。
今だからこそ、今の世代だからこそ共感できる。
時代の終わりの空気を閉じ込めた小説だ。
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平成が終わるまでに読むにはうってつけの本でした。
確かに一つの時代が変わり、その変わっていく時代は
「失われた」とか「過去の負債」だとか色々言われているのだけれど、そこには確かな足跡があり、歴史があり、それが残っている、残っていく。
生きている僕らはそれを刻んで、先へと歩んでゆくのだろう。
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平成誕生と共に産まれた平成くんと、安楽死を掛け合わせている設定が面白かった。
平成くんは現代の若者を象徴しているような気もした。
印象に残っている文章が3つ。
「締め切りのある人生を送る。締め切りがあるから計画を立て、焦り、努力する。しかし人生という締め切りは長すぎる。」
「決断はいつだって孤独。しかし誰かが隣いてくれたら他の誰かに嫌われる事も厭わない。」
「来世があると考えた方が合理的。人生が何度もあると考えた方が自由に生きられる。」
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2018年現在、安楽死が合法化されている設定。平成くんみたいな男の子いいなと思った。自分に正直すぎるのって好いてくれてる周りの人にとっては酷なのかもしれない。
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都会のネオンみたいな本
平成終わりに呼んで起きたかったので、読む
古市さんの私小説かと思った
積極的安楽死が日本で認められている設定。
彼氏も安楽死したいと言い出すことで彼女が振り回される話。結局は、安楽死を希望することを伝えて、消息不明。
オシャレな本
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芥川賞にノミネートされてなければ
もう少しよく思えたかも…。
社会学者として時代をとらえることはもちろん
人の心をつかむことも実は得意な人なのだろうか。
私小説風の独特感が気になり、安楽死という
死に対するテーマがあまりリアリティをもって感じられなかった。
でも今時の空気をまとった、今時小説なのだと思う。AmazonやGoogleなどが生活と直結した感じなどは、平成に根付いた技術が遺憾なく発揮されまくっている。価値観を、塗り替えながら時代は変わっていくのだろう。生も死もその中にあたりまえにあるのだ。
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タイトルに惹かれて。
セリフがいちいち古市節でおもしろい。本人がモデルなのかな?と思うほど。
身に着けてるブランドも、全部古市さんでイメージできるんだよなあ。
だけどこんな繊細な物語を書かれるということに、すごくギャップを感じた。良い意味で裏切られた。
安楽死する側のエゴとされる側のエゴ。
難しいテーマだけど、とても読みやすくおもしろかった。
最後はちょっと泣いた。
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・平成くんはあらゆる意味で「平成という時代っぽい」人物として描かれてる?。セックスに抵抗があるとかも現代人っぽい要素の一つなのかも。
・物語には小説っぽい描写はあまり登場しない。グーグルとかUberとか実在の企業名、アプリ名、ブランド名などが横溢していて、固有名詞が形容詞の代わりになっている印象。
・また、会話や地の文も安楽死を巡るうんちく等で占められている。あえてやっているのか?
・安楽死したい平成くんとそれを止めたい、お金だけはある平凡な感性の持ち主である彼女、という物語。
・安楽死の理由も意外と普通。この普通さも含めて現代っぽい小説なのかも。でも、最先端の用語を散りばめたようでいて、実は平凡な安楽死の理由というのも、平成の死としてはそういうものなのかも。
・むしろ彼女を昭和っぽい人物として描いても良かったのかもしれない。
批判もあるかもしれないが面白く読んだ。王道の小説という意味では「ニムロッド」なのだろうが・・・
1/15追記。安楽死が積極的に行われているという設定を過小評価していたかもしれない。それが当たり前になっている世界をリアリティーを持って描けるのも作者の力量なのかも・・。
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職場の人に芥川賞候補で話題だからと読み始めた。(結局芥川賞は逃したが)。
平成らしい企業、製品、サービスが詰め込まれていたが、平成くんたちの人間関係の作り物感が強いように感じられ、また、平成くんや主人公とも言える愛の取り巻く富裕層の生活が庶民である私からはかけ離れていたため、あまり共感が持てなかった。
そのほか、強姦罪の改正のくだりは完全に蛇足だと思った。
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話題の本を一応読む。最初はできの悪い村上春樹やSFに感じたけど、最後の終わり方が皮肉感があり読後まとまった感じがして良かった。
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話題の一冊、読んでみました。時代の終わりと安楽死(実体のある暮らしからの離脱?)を巡って展開される物語。
終盤の「平成くん」の発言に印象的なところがありました。平成という時代が果たす役割についての発言です。
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新しい切り口だとは思った。
文學界で読んだが芥川賞にノミネートされるとは思わなかった(笑)
あまりにも現代的な文章なので好き嫌いが分かれそうな作品。
古市さんは男性なのに女性目線の書き方は上手だなぁと思った。
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安楽死を扱った小説でテーマは重いはずだが、ストーリー展開が静的でサラッと読めた。ラストは切ないがなるほど面白かった。
近い未来、こんな事が日常になるのかしら?
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平成といっても30年の間に時代は大きく変わり、超現代的な用語やツールがたくさん登場してきました。最後平成くんはどうなったのか、愛とはどのように別れたのか、その後の平成くんがどうなったのか、あえて書かずにおくのがよかったのでしょうが、気になります。最後、思ったより愛の気持ちの切替えがバッサリしていて一人の男としてはどうなの?と思ってしまったのですが、現実今の女性はそうなんでしょうかね。。
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安楽死という一見重そうなテーマだけれど、男女の会話がメインで軽やかで読みやすかったです。現代社会が細かく描写されていて、作品の風景を自分の視点に置き換えて想像しながら読むことができました。
平成くんと著者の古市さんが重なって見えました笑。