紙の本
世にも奇妙な物語風の短編集
2021/08/02 22:37
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投稿者:melon - この投稿者のレビュー一覧を見る
小説として読んでいく『世にも奇妙な物語』である。このまま映像化して放送される姿が目に浮かぶような作品である。
(以下核心部は避けつつややネタバレを含む)
第1話『シェアハウスさない』は、主人公浩子がライターを目指したきっかけや、縁が生まれたシェアハウスの正体など、いかにも世にも奇妙な物語を彷彿させる伏線とエンディングである。道端で酔っていたと懸命に主張する真須美に、読んでいるときには少しの違和感だけで、最初から大きな違和感を覚えないように思えるのは、作家の力量だろうか。最後にそういうことかと唸らされるプロットは流石の一言である。
第2話『リア充裁判』は、現代社会のコミュニケーション能力ばかり重んじる風潮に対する風刺だろう。主人公智子を担当した議長は、世にも奇妙な物語風を演出しているが、わかりやすい作品とはいえないと思う。ただし、この作品で描かれているように、現代においては、一生懸命勉強することは(特に文系の大学生は)軽視されていて、何かとチャラさを求められる世の中だろう。しかし、それは企業が文系大学生に求めていることであり、それが正しいか正しくないかではなく、企業の考え方の問題である。大学がいくら改革しようとも、そこで学べる内容に企業が期待していないのだから、結局(理系は学習内容が重要であるのだろうが、文系については)大学で勉強することはアホらしいということになる。
第3話『立て!金次郎』は、p127からp189のうち、最後の4ページ以外は、何だかいい話という不思議な構成である。それが最後の4ページで、一気に旗色が変わるのだ。このどんでん返しには驚かされるばかりである。とんでもないエンディングであり、なるほどだから世にも奇妙な物語といえるのだという納得感がある。作家の力量を改めて思い知らされた。
第4話『13.5文字しか集中して読めな』は、タイトルが途切れているところから皮肉的だ。ニュースサイト記者の主人公が記事に書いている内容は、自身にそれが牙をむいたとき、どのように感じるのか。現実的にありそうな、リアリティある話なのに、しっかり世にも奇妙な物語を感じられる作品である。
第5話『脇役バトルロワイヤル』は、脇役と主役の関係を少しコミカルに描いている。確かにこの感じは、たまに本家でもある。しかし、短編集の最後にメタなネタを持ってくるのも、こういった書籍ではあるあるだが、ドラマなどの映像では珍しい。そういった意味で、本作だけ本家から離れた特異的なものといえる。役者の実名を1文字だけ変えて使用しているのも、作家が有名人だからできることだろうか。
紙の本
いい意味での裏切り
2020/09/18 21:17
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投稿者:ペンギン - この投稿者のレビュー一覧を見る
ほう、こう来るか…の連続である。日常の中の少しのズレが心地良い。多少のズレも破綻なくかけているのは、やはり技量なのだろうと感じた。
電子書籍
ドラマ本家との違いが面白い
2019/12/01 15:31
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投稿者:ななな - この投稿者のレビュー一覧を見る
第5話の「脇役バトルロワイヤル」が、それまでの第1話〜第4話までの内容を含んだ物語となっており、短編集ではあるが、小説一冊としてのまとまりがあった。そこがドラマ本家とは大きく異なる点であり、1人の作家が手掛ける小説という利点を活用しており、驚いた。
(本家のドラマは別々の脚本家がそれぞれのストーリーを生み出しているため、各ストーリーをまとめることは不可能)
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オチがすごい!、と言うオビにつられて購入。
この作者には散々裏切られてきたので、あまりハードルをあげずに読了。
賞を取った桐島なんとかよりは面白い。
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朝井リョウさんの短編集。
世にも奇妙な物語が好きで、それを意識して書いたという作品。 短編ということもありとても読みやすかった。 どの作品にも意外なオチやちょっと違った設定など世にも奇妙な感があり(私自身は世にも奇妙なをほぼ見たことがないのだか) 朝井さんファンも世にも奇妙なファンも楽しめる作品になっていた。 星は4.5!て感じ。
以下ネタバレ注意。
シェアハウさない: 世にも奇妙な物語を全く見ない僕でも分かる世にも奇妙な感。 先が読めそうで読めない展開。 性別も年齢もバラバラな人間がシェアハウスする理由って?
リア充裁判: コミュ力、コミュ障って?? 本当のコミュニケーション能力てなあに?? SNS世代の朝井さんが、SNS世代を穿った目で見るからこそ書ける世にも奇妙な感。 コミュニケーション能力てよく言うけど、じゃあ実際なんなんだろうね。 そのコミュニティーに合った立ち振る舞いができふことがコミュニケーション能力なのか、、、? それとも自分を表現できることがコミュニケーション能力なのか、、、?
立て!金次郎! :男性保育士が主人公の物語。 主任は「行事は親のため。 どの子も平等に目立たせる必要がある。」と言って行事ごとに目立たせる子どもに星マークが自動で入るエクセルファイルを使っている。 熱血保育士の金田はその考えに納得できなくて、《自分の頭で考えて》どうやったら子どもの個性に合った方法で目立てるかを試行錯誤する。といった内容。 教育現場の現状を最後にもってきた世にも奇妙な感で叩き切った感じ。
13.5文字しか集中して読めな: メディア批判というか、現代の情報の《伝え方》批判というか。 主人公はネットニュースの編集部の女性。 小学3年生の息子を持っており、分かりやすい見出し(13.5文字制限)と要約された文章を書くバリバリのキャリアウーマン。 息子の授業参観で息子は母のようになりたいと発表するという、、、といった内容。 先日「バックナンバーの2人が実は結婚していた」というネットニュースを読んで、それをわざわざ伝える必要があるのか?と思った自分にはうんうんとなる内容だった。 人が相手のことを思って隠していることをわざわざ暴いて世界中に発信する必要はあるのだろうか? 注目度が上がることで得?有名税?
脇役バトルロワイヤル: 舞台の主役オーディションの最終選考に残った6人の脇役の物語。 脇役的な発言や行動をした者が次々と脱落していくバトルロワイヤル形式。 コメディー要素が強く、実際の俳優達に基づいて作品が作られているため映像が浮かびやすい。 今までの短編と絡んでくる感じが伊坂さんぽいなと感じた。
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自分も「世にも奇妙な〜」が大好きで、楽しみながらあっという間に読み終わりました。
一話目、怖い系で本家に絶対ありそう。
二話目は、うーむ。
三話目は、簡単なハッピーエンドではないよね。
四話目、本家でも王道なパターン。好きです。
五話目、作者も言っているけど小説&同じ脚本家(?)ならではで、前の話も絡んで面白い。
2019年春ぐらいにドラマ化…あればいいなぁ。
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短編5篇。
「シェアハウさない」
「リア充裁判」
「立て!金次郎」
「13・5文字しか集中して読めな」
「脇役バトルロワイアル」
最後のが抜群に面白かった。というか、コントだった。それぞれの短編に出てた役者ですって設定でおさらいする演出もニクい。
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世にも奇妙な物語が好きなのでタイトルにひかれて。読み始めると、世にも奇妙な物語のドラマを見ているような、先が読めない不安感をそのまま味わうことができた。
各物語はどれも後味が悪いと個人的には感じた。「生きていれば、生きていくほど、平等なんてなくなっていく」の一文が、頭を殴られたようにガンッと心に突き刺さった。
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1作目は、「シェアハウさない」は「世にも奇妙な物語」の感じだったらどういう方向に流れるのか分からなくて、探りながら読み進めたら、以外に2次元でありそうなサスペンスものだった。
ホッとしながら、2作目の「リア充裁判」を読んだら、あまりに後味が悪くて悶ている。後味の悪さを中和しようと、感想を漁りに検索したら、作者の方のインタビューを見て、更に後味が悪くなってしまった。
「リア充」も「コミュ障」もどちらも、自分たちがどう見えるのかを意識しすぎてつけた自分たちをカテゴライズした「ラベル」で、どちらにしても息苦しい。
いいじゃん、お互い、放っておけば。
3作目の「立て!金次郎」は、ホント、人のことを操ろうとするのは気分が悪いと思いながら、最後の伏線の回収で、お互い様感を噛み締め、
4作目の「13・5文字しか集中して読めな」は、小学三年生が母親のことを嫌いすぎていることに驚愕して、
本当にこの作家さんにとって人間の本質は美しくないな、と感心した。
最後の作品は、本当に、「世にも奇妙な物語」にありそうな、ドラマの風景が思い浮かぶような作品で面白かった。
小説としては、テンポよくテーマもはっきりしていて、飽きることなく、とてもおもしろく読めた。でも、後味はあまりよくないかな。
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文庫本になって再読。
やっぱり朝井リョウは間違いない。シンプルに面白い!
第二話のラスト一行に一番ぞっとした。
余韻たっぷりの5作、テンポも良く読みごたえがあって全部好き。
このまままるっと本家で放送されてほしい、、!
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1 シェアハウス 社会の闇
2 リア充裁判 SNSに翻弄される日本人
3 幼稚園 放漫な人間しかいない
4 ネットニュース ネットニュースの闇
5脇役
全体的に社会風刺が効いていて面白かった。
リア充裁判は、インスタ映え〜BF〜な人達を皮肉りつつ、現実はそういう人の方が社会的に成功しててなんとも言えない展開
何をを持って成功とするかも、此処の価値観で違うからなんとも言えないけど
結局、自分の意見を持ってるように見えても
社会が決めた[成功]からは逃れられない…みたいな感じなのかな
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さっくり読めるエンターテイメントです。
最後のオチが凄い!というのに惹かれて読みましたが、脇役バトルロワイヤル、予想の斜めにいました。斜め上ではない。どんな斜めか、興味ある人は読んでみるといいかもしれません。
本当の世にも奇妙な物語は、たまに良い話だけで終わるものもありますが、この本は全てにオチがありました。金次郎は読めませんでしたねー、そうくるか、て言う。13.5文字は見え見えでしたね。
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世にも奇妙な~を意識した作品だとか。
本件はオカルトチックなものも多いけど、こちらはそうでもないかな。
「13.5文字しか集中してよめな」は冷や汗が出る作品。こわっ。
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どのお話も世界観が可笑しいしひねくれた結末で予測出来なくて面白かった。世にも奇妙な物語がシリーズ化して欲しい!!
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まさに『世にも奇妙な物語』
ちょっと不思議な設定もので最後にひっくり返してくるのがまさにソレ!
小説になるとこんな感じになっちゃうなぁと思って読まされた。
個人的に白眉は『立て!金次郎』で次点は『シェアハウなさい』です。あまり書きすぎるとネタバレになるので興味ある方は是非買って読んでください!
テレビ化されるのかなぁと楽しみです!