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結婚、出産が女性の幸せだ、という雰囲気に心からの、100%の納得ができていない私に、
「既婚で子供を持たないことには、お金とか、身体的な問題とか、理由が必要で。単に子供を欲しいと思っていないというだけで、なにか人間として欠けているように受け止められる」というフレーズがとても刺さった。
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6つの短編。どれも感じが違っていてよかった。
一番好きなのは「あなたは知らない」
婚約者と不倫相手の対比がうまく描かれている。
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都会の男女の愛情模様が、6編。
大人の愛という紹介文だったけど、大人の愛なのか?
後半の4編は、連作。
今一つな感じが最後まで残った。私の好きなタイプの話ではなかったのだろう。
2話目の「蛇猫奇譚」は、少し他と雰囲気が違って好きだった。
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自分だけが不器用な生き方をしているわけじゃないんだなと…
人の悩みのほとんどは対人関係ってことは分かっているのですが、やっぱりそれは切り離して生きられないから寄り添う人が必要なんだなと思いました。
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『旦那さん以外に抱かれたいと思ったことはないの?』という問いに『ない』と答える『私』。それに対して『私が知ってる人妻は、皆、反対のことを言うよ』という友人の言葉に動揺する『私』。
『夫とは同じ団地のおとなり同士だった』という『私』。三歳年上のそんなお隣のお兄さんと結婚した『私』。『素敵なお兄さんは、いつしか打ち解けた恋人になり、結婚して三年経った今はむしろ気の合う親友のようだった』と感じる『私』。夫との会話を楽しみ、夫との食事を楽しみ、そして夫との人生を楽しむ。そんなごく普通の幸せな生活にそっと忍び寄る影がある。幸せな生活だからこそふいに忍び寄る影がある。
『幸せなはずの女性の心中に潜むモヤモヤしたものを描き出せたら、と考えました』と語る島本さん。この作品はそんな島本さんが『この世の多くの女性がどうして分かっていて深いところに落ちていってしまう』のか、そんな落ちていく女性たちの心の内をリアルに描き出した短編集です。
6つの短編からなるこの作品ですが、3編目から6編目は明確に、そしてよく読むと1編目も実は繋がっているという変則的な連作短編集となっています。そもそも書名が「あなたの愛人の名は」というところからして、不穏な空気が流れるこの作品。”愛人”、”浮気”、”不倫”、そんな不道徳な世界なんて!という感情が強いとこの作品を読むこと自体ただの苦痛かもしれません。もちろん私もそんな不道徳な世界を肯定などしませんが、そういう世界に今この瞬間にも身を置いている人がたくさんいるという現実があり、そして、その世界に身を置くことによって、何らかの心の不安定さを持ち堪えている人がいるのも現実なのだと思います。冷静に考えれば満たされているはずの日常、でもそれを満たされていないと思う感情、そんな感情がふらふらと行き着く先に、そんな足りないと感じる思いの行き着く先がある。この作品では、そんな思いを抱く男と女の感情の微妙な揺れ、心の機微に触れるような繊細な感情が島本さんの絶妙な表現をもって描かれていきます。
前述したように6つのうち5編は連作短編である一方で、唐突に置かれるのが2編目の〈蛇猫奇譚〉という短編です。他から全く独立したこの作品はその不思議なタイトルからしてさらに異端の光を放ちます。『ハルちゃんと暮らすようになったのは、三年前からだ』という主人公。『ボクはまだこの世に生を受けて百日目くらいだった。寒さと空腹で、公園の花壇で行き倒れかけていたら、仕事帰りのハルちゃんに見つかった』と読者の頭の中に浮かぶ主人公は何者?というクエスチョン。『オレンジと黒の毛が交じってチーターっぽいという理由で、チータと名付けられた』という第一人称の主人公は猫だった!という衝撃のオチが読者を襲います。そんな主人公は『結婚してからも、ハルちゃんはボクを一番に可愛がってくれる』という幸せな日々。そして『お昼すぎにハルちゃんと旦那さんは帰ってきた』というある日、『チータ。今年の夏にはうちに赤ちゃんが来るぞ』という旦那さんの言葉に『ボクはびっくりして、ひっくり返りそうになった』というチータ。そして、ハルちゃんのお腹はどんどん大きくなり、そして出産。��んな日々の中で『ハルちゃんはどんどんボクに冷たくなっていった』という一人と一匹の間の感情に変化が生まれていきます。そして…、というこの短編。猫視点というのは、例えば有川浩さんの「旅猫レポート」など他にもたくさんあると思いますが、島本さんがこのような作品を書くんだという意外感がまずは先行します。しかも他の作品は連作短編であり、その中にどうしてこのような猫視点という奇抜な作品がポンと置かれているのかという強烈な異物感が襲います。しかし、この作品の出来の良さもあって何か魅かれるものを感じるのがこの作品です。他の”愛人”、”浮気”、”不倫”というドロドロした物語の中にポツンと存在する、それらとは無縁の物語という異物感が逆に、この作品を愛すべきものとして感じさせるのかもしれません。そして、そんな異端な作品がこの短編集の中で浮くことがないのは『二つ同時には愛せないの』というハルちゃんの叫びに見られるこの短編集のテーマに通ずる感情が共通だからなのだとも思いました。
そして、登場人物が繋がる他の5つの連作短編ですが、特に結びつきが強いのは〈あなたは知らない〉と〈俺だけが知らない〉という二編です。まるで劇の中の対のセリフを思わせるようなタイトルがその結びつきを暗に物語ります。そしてそれぞれの短編での視点は、瞳、そして愛人の浅野へと順に切り替わります。そんな視点の切り替えによって同じ場面におけるそれぞれの感じ方の差異をはっきり見ることができます。
『どうして浅野さんにだけ私が私でなくなってしまうのか、自分でも説明がつかなかった』という瞳。幸せな結婚への道が見えているのに『初めて彼に出会った晩から、私は私じゃなくなった』と浅野のことで気持ちがいっぱいになります。対して『瞳さんとは、恋でもなければ愛でもない。それは自覚があって、そういうものを自分が求めていないことだけはなんとなく分かる』という浅野。『彼氏との付き合いが長すぎて半分くらいは惰性になってる状態なのかもしれない』、『だから、優しさがあっても使いどころがない分をこっちに回してもらっているのかも』となんとも冷静に考え『相手の男から大事なものを借りている気分になった』という二人の決定的な心の内の差異が見えてきます。そしてそんな関係が展開していく後半、そして、その余韻として一種のスピンオフ的に存在する後半の二編の短編を読むと自分を認めて欲しい、愛して欲しいという誰にでもある感情が、人それぞれの形で発露する、普通の人間の心の弱さのようなものを感じることができました。
ごく普通の幸せな生活の中にふと訪れる『なにも知らないからこそ、覗いてみたくなったのかもしれない』という感情。それは『私の知らない私を』というちょっとした冒険心がきっかけとなって始まるものなのかもしれません。しかし、その冒険の意味を知った時、その冒険は代償を唐突に求めてくる危険なものでもあります。『6編とも、あまり大きな声で言えないような恋愛や、人には明かせない秘密がテーマになっています』と語る島本さん。そんな島本さんが絶妙な繋がりで描く連作短編は、人の心の機微を感じる、そしてしっとりとした余韻の残る、そんな作品でした。
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"足跡"
雪の日の治療院までの道に残っていた足跡。
見た瞬間、きっと、心がギュッとしたんだろう。
それは、夫とその後輩がファミレスにいたのを見た時と、同じような気持ちだったのではないかと思っていたのだけど。
p41での津波のような感情に呑まれていったところ、まさに津波のよう。凪のようなそれまでの主人公の佇まいとの差。勢いが違う。
ここで頁が変わるのも上手い。
感情の起伏。その落差こそを求めていたのかぁ。
その落差を維持するために、真白さんとの関係が続いていくのだ
と思ったのだけど違った。
求めていたのは、落差ではなく、やっぱり罪悪感なのか。
夫への愛を確かめるためのきっかけになったのか?
真白さんとのことがなくても
ベランダで過ごしたこの気持ちが愛と気づけるのではないか。
それとも、罪悪感があるからこそ、愛が膨れ上がるのか。
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"蛇猫奇譚"
蛇みたいな美しいババア は、主人公のことを愛せなかったと主人公は感じていたんだな。
子供が生まれて、自分が同じようになるのが怖かったんだな。
実際、なりつつあることにも気付いたんだな。
このあとどうなっていくのか。
気づいても、きっとなおせない。
二つ同時に愛せない、その気持ちはよくわかる。
今思うのは、
同時に同様に愛せないことに、罪悪感を感じる必要はきっとない。
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"あなたは知らない"
"俺だけが知らない"
温度差がすごい。
視点が違うと、こうも物事は違って見えるのか。
言葉にしないと伝わらないんだな。
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"氷の夜に"
小さな飲み屋のおじさんと客の女の人の話。
あんまり読まないタイプの。
主人公がすごく'おっさん'ぽいからかな。
この話はいらない(好きではない)と思ったけど、次の話を読むと必要だったとわかる。
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"あなたの愛人の名前は"
俺だけが知らない、の男の人の妹が主人公。
その妹は、氷の夜に、の女の人の友人。
マカオに一人旅して、過去の自分から一歩踏み出す、っていう、よくある話し。
よくある話しなのだけど、
「人の輪郭って、他人がなぞるんだね」を体現してるストーリー。
名前が具体性を与えるからの、このタイトルか。考えられてるなぁ。
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どの話も続きが気になる、絶妙なところで終わる。
ドロドロしてなくてよかった。
登場人物がみんな不器用で切ない。
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好きという気持ちにまっすぐ過ぎて、不器用で、繊細。
好き過ぎて、辛いとか、寂しいとか、切ないとかがひしひしと感じられる恋愛小説。
ちょっとだけ連作。
最後はあたたかい場面でよかった。
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繋がってなさそうで繋がってる短編集。女性目線からの男性目線は、裏がわかってしまうという点では、あまり好きでは無いけれど、この小説では上手く繋がっていてよかった。
婚約者がいるのに、他の人を好きになってしまうことで、本当のありたい自分に気づけたことが良かった。私は、自立出来る女性か好きだ。
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大人の恋愛短編集、バットエンドハッピーエンドが半々、それぞれの物語の登場人物が繋がっている設定が好き、緩やかな救いがあって人にオススメしたい本
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感情の機微が正直難しかったです。それは私の若さゆえのものであり、これをまた数年後に読むと味が変わる気がします。その時に星5つになればいいなと願うばかりです。
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登場人物がかすかに重なりあう短編集。
大切にしたい人は誰なのか、刹那的な関係性も簡単には否定できないような物語がある 。違う選択をしたら異なる人生があるのでは想像して、行動してみたらどうなるのか、後悔もあってもそこで知ることもあるのかな。
最後の方が爽やかで後味がよい読み終わり!
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愛人。その響きだけで拒否反応を示し、敬遠する人も少なくはなさそうなタイトル。
しかし内容は、まるで友達のようになってしまった夫を持つ女性のエゴイズム、自身の母から蔑ろにされた経験が、自分が母になることをきっかけにフラッシュバックしてしまう女性、客観的に「間違いはない」婚約者よりも本能で好きだと思えた男性と浮気してしまう女性など、女性の内面の機微に寄り添った話が多く収録されていた。
自分、家族、好きな人、友人、愛猫。みなさまざまな「愛するひと」と向き合っていく。
その中でも、対になっている「あなたは知らない」「俺だけが知らない」が良かった。好意があるのは分かるけど、自分と同じくらい想ってくれているかまでは推し量れない。上手くいきそうでいかず胸がぎゅっとなる感覚にさせてくれるのが、ザ・島本理生作品!という感じで私はとても好きだ。この切なさを味わいたくて、この二編はまた読み返すと思う。
客観的に見て幸せそうに見える人たちにも、人知れず抱えている悩みや葛藤がある、というテーマの短編集だった。
(kindle)
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「その昔、あなたのことが好きだった
そして今では嫌いになった」本文より。
不道徳なタイトルだけど、昼ドラ的な“他人の不孝は蜜の味”的ではなく、出てくる人物のこころの機微を等身大に味わえます。
どうして、ひとのこころは、
こんなにすれ違ってしまうのでしょうね。
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6編の短編集。うち後半4編はいわゆる連作になっている。中でも「あなたは知らない」と「俺だけが知らない」は婚約者がいる女性(瞳)が別の男性(浅野)に惹かれていく話を両者の視点から語っていて読みごたえがあった。
しごく真っ当な婚約者との間に少しずつ生じる違和感や浅野の外見に惹かれ、関係を持ちながらそれ以上踏み込めない女性の心理がリアル。最初はさっさと婚約者と別れて浅野さんと心が通えばいいなと思って読んでいたが、結末は予想外だった。でもそれが一番良かったのかも、と深く納得させられる。
一昔前だったら、浅野が瞳を追いかけて行ってめでたしめでたし、のパターンもあったと思うが、それがナシなのが今という時代なのだろう。
島本理生の小説の中では、一番うまいなあと思えた作品でした。