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時計と時間の秘密について考えたくなるファンタジー
2020/01/31 14:13
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:うみひこ: - この投稿者のレビュー一覧を見る
ホテルやまのなか小学校に泊まるのも二回目。そうなると、実にゆったりした気分で、ここでの生活を楽しめる……。
二巻目となると、そんな長期滞在者になった気分で、勝手知ったるホテルで、ほかの客の様子を眺めているような気分で読んで楽しめた。
何せ、このホテルは居心地がいいし、たまらなく懐かしい匂いがする。だって、ここは本当の小学校だったところだからだ。その建物を利用してホテルに仕立て上げたのがミナさん。この小学校の卒業生で、とても小柄で丸っこくって、若いけれどしっかり者で、年は、あれ?百五十とか口走っていたようだけれど、どういうことなのだろう?そのほかの大工見習のコンタが手伝って作り上げた元教室の寝室や、保健室を変身させたスイートルームは魅力たっぷり。何かあれば、村のコンビニ経営者のうさ子さんがすべて取り寄せてくれるし(何やら月と地球にあるものすべてと口走るところが怪しいが)、長期滞在者としては、満足してこのホテルの時間割に身を任せて過ごせばいい。時間割と言っても、朝起きて軽く体操をして、十時になったら庭の大きな菓子の木の下のテーブルでお茶を飲み、気が向いたら三時のお茶も楽しむ。それだけなのだけれど、今度の滞在客は、なかなかそれを楽しみに出てこない。
と言うのは、二人がそれぞれ「仕事」を持ってきたからだ。そして、その仕事での世界一を目指しているから、お茶どころではないのだというのだ。
わき目を振らずにレース編みで世界一を目指すアミさんは、部屋いっぱいに作品を編み上げ、もっと広い部屋が欲しくなるほど編み続けているし、時計職人のカチコチさんは、仕事の傍ら、ホテルの大時計が気になっている。
この二人が、仕事を通して目指していたものの本質が分かってくるというのが多分物語の紹介としては正しいのだろうけれど、長期滞在者の私としては、このホテルの中に流れる時間の不思議と、時計というものはどうやってできたのかとか、そもそも時間とは何なのかということを、カチコチさんと一緒にホテル中を歩き廻りながら考えていくことがとても楽しい。
(こっそり教えてしまうが、カチコチさんが最初に作った時計は本当に魅力的だと思うのだ)
ここまで長くここにいると、元校長先生で校医さんの山中先生にも、好奇心が湧いてきた。このホテルの中を流れる時間に秘密があることが分かった今となっては、続く第三巻目の物語の中で、そこらあたりが、明らかにされるといいなと思っている。
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