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一家心中の生き残りとして育ち、ようやく自分に向き合う覚悟ができて家族の墓参りに出かけた幸子。そこで出会ったのは、一家心中を図り、生き残ってしまったシングルマザーの雪絵だった…。全く立場が逆の二人がお互いどのような影響を受け、どう変わってどんな人生を歩むのか、気になって一気に読みました。軽く投げつけることのできるインターネットでの言葉の暴力や、被害者と加害者という立場についての最後の郷田の言葉はとても重く心に残りました。また、テーマの割にとても読みやすかったので、これを軽いととらえる人が多いのにも納得です。
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一家心中の唯一の生き残りだった主人公。
何かが変われば…と事件後に初めて行った家族の墓参りで1人の女性と出会う。
話を聞けば、子供を巻き込んだ無理心中を起こした張本人だと言う。
今回の下村作品はグサグサくる箇所が沢山。
少し抜粋。
『赤ん坊は母親が一番困るタイミングを察知して、その忍耐を試しているのではないか』
母親とは、孤独なもの。
ありがたいことに、子育て中の私自身はそこまで孤独だと感じる事は少ないけれど、気持ちは痛い程わかる。
希望が持てる終わり方で、少し安心。
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図書館で借りた本。一家心中の生き残りの幸子は婚活パーティーに参加しそこで中古車ディーラーの男と知り合う。そろそろ人生前を向いていこうと思って家族の墓参りに。その墓地で雪絵と知り合う。雪絵は一家心中を実行したにも関わらず、自分だけ生き残ってしまった。一家心中の加害者側と雪絵と被害者側の幸子は、交遊関係を続けていくうちに…という内容で、被害者・弱者の驕り高ぶりが招く立場の逆転の怖さを訴える話だった。
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仕方ないけどずっと暗い雰囲気。
でも、話が進んでいくうちにどうなるんだろうと気になって、隠し玉もあってでおもしろかった。
ラストは泣けちゃうねぇ。
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一家心中で生き残ってしまった子としての立場である主人公が、偶然にも無理心中して母親としての立場で生き残ってしまった人と出会うことで、過去の葛藤から立ち直れるか否かのお話し。
文章が読みやすく、あっという間に読み終えた。話の流れも練りに練られた構成で最後にかけて伏線を次々と回収していくのは圧巻である。
どちらかといえばいい短編の小説でこれだけのことができるのは流石としか言いようがない。
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ふわふわとしたまま読み終わった
被害者最強説というのはあると思う
でも被害者意識を持つなというのは違うと思う
シングルマザーが困窮する、養育費が支払われずに無理心中を行ってしまうというのは母親だけが悪いわけではない
養育費は会社の給料から振込支払いができることを周知すればいいのにと思った
子供を作るのは一人ではできない、夫婦関係が破綻したとしても子が消えるわけではないのだから、責任として金銭を払うくらいはしてやれよとこの本以外にも思うことがあるので憤りを感じた
お金がないというのは追い詰められ方のスピードが上がると思っている
主人公の自己否定感、自己肯定感の低さはわかる気がしたので恋人とうまくいかないのもまず自分のことを大切にできてないからしょうがないだろうと思っていたので最後に話し合うんだ〜とすごいなと思った
自己肯定感低くないじゃないと
被害者から加害者になったのにすごいなとなんだかついていけない感じがした
郷田氏は被害者から加害者に変わってしまったことで守りに入ったのか?
罪の意識を感じていたとしてあそこまで幸子を守るのはもともと思いやりのある人だったんだなと思った
しかし幸子の父親は罪の意識とはいえ子供と奥さんを道連れにするのはいただけないなぁと思った
奥さんも精神的におかしくなっていたのかもしれないけど
無理心中なんて名前やめて道連れ殺人とかにすれば少しは減らないかな…
なんともやりきれない本だった
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夢で見たおとぎ話のような世界が目の前に広がっていた。遊園地のパレードを見て、きらびやかな大人のレストランで食事をし、ホテルのベッドではしゃぎ夜更かしをした。帰宅後妹達は何の疑いもなく、母が差しだした疲れがとれる薬を飲んだ。
ずっと感じていた違和感。幸子だけは薬をそっと手の中に隠した。その夜、両親は部屋に灯油を巻き火をつけた。
それから17年、一人生き残った幸子は自分が幸せになることが怖かった。
墓参りに行った先で出会った、雪絵は離婚後に子供達を連れて無理心中をはかり、子供を殺した罪で服役していた女性だった。
幸子は雪絵に自分の母親の姿を重ね、生き残った雪絵の長女の美香には自分の姿を重ねた。
雪絵から過去を打ち明けられ、感情のまま攻めた結果、雪絵は首吊り自殺をはかる。
幸子が駆けつけた時に、目の前にもがき苦しむ雪絵の姿があった。
母親の姿と重なる雪絵に、動けなく幸子。このままでは死ぬとわかっていた。
寸前で紐が切れて、未遂に終わる。
雪絵の入院中に、長女の美香と知り合った幸子は美香の本当の気持ちを知り二人を合わせることにする。
終始、苦しい内容だった。被害者の立場だったのに、相手を恨みいつの間にか加害者になって行く。
自分が幸せになることを自分で許せた美香と幸子。
郷田の過去もわかり、根っからの悪人じゃなくてほっとした。
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悲願花、別名は葬式花、墓花、死人花、地獄花、幽霊花、火事花、蛇花、剃刀花。主人公のヒロインは、町工場に勤めるアラサーの幸子。彼女が小5のときに一家心中で両親と妹と弟を亡くす。理由は両親のサラ金苦。幸子は心の傷を抱えたまま大人になり、あるとき偶然、育児疲れの果てにわが子たちを道連れに死なせた女性・雪絵と出会う。その際長女は生き残る。サバイバー・ギルトに苦しむ幸子と雪絵。幸子はサラ金業者への復讐を悲願として考えるが、被害者と加害者が見方によっては変化する。救いと赦し、このテーマが主人公とともに浮き上がった。④
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両親の起こした火事でひとり生き残った幸子。
子供たちを乗せた車で海に飛び込み、生き残ってしまったシングルマザーの雪絵。
その二人が運命的に出逢った事に寄って物語は展開して行く。
終始陰鬱な空気感に溢れている。
借金苦、一家心中、育児ノイローゼ、家族の断絶、SNSを利用しての復讐
幸子の壮絶な人生に同情はするし、どこにも持って行き場のない恨みを復讐と言う形で表現する事で、自身の内に潜む澱を発散させたい気持ちも解らなくもない。
しかしそれを実現させても満足感は得られない。
全ての真実が明らかになった時、後悔はより深くなる。
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最後、意外な展開だった。
真実を知るのも勇気がいる。
加害者と被害者は紙一重。被害者だからと言って報復が許されるわけではない。
過去に縛られず、幸せになってほしい。
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彼岸花は大好きな花である
それが、「死の花」とか言われてしまうのには納得がいかない
被害者の苦悩と、加害者の苦悩。
幸子は助かってしまった辛さの共有が誰ともできず、雪絵と美香に近づくとことで自分が救われるのではないかと関わっていく
被害者から加害者の立場に立たされた郷田がその立場の苦しさを吐露するのがささる
被害者も幸せになっていい
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一家心中で『生き残った子ども』の幸子は、我が子と心中を図りながら『生き残った母親』雪絵と出会う。
過去に囚われ雪絵に自分の母親を重ねる幸子は、彼女の全てを知る事にのめり込んで行く。求めているのは赦しなのか復讐なのか。癒える事の無い心の傷を抱える女性たちの悲願はどうすれば叶うのだろうか。
幸子が最後に知る真実は残酷でもあり綺麗事かもしれないが、その名が託した幸せを願いたいと思った。
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両親が起こした火事で生き残った幸子。子供を道連れに無理心中を図り生き残った雪絵。対極にある二人のそれぞれの立場ゆえの苦しみ。幸子が「生き残り」であるということに非常にこだわり過ぎて、少し突き放した見方になってしまった。最後は前に一歩踏み出す未来があって良かった。
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心中の生き残りの心境を描いた作品だった。なんというか湊かなえ作品を読んだときのような感じになった。最後はちょっと、こんなふうになるかなぁと思ったが、心情が良く描かれていて一気読みできた。
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一家心中で生き残った幸子
17年ぶりの親の墓参りで出会った雪絵は心中の加害者
雪絵と関わっていくうちに出会った雪絵の娘で同じ生き残りの美香
そして幸子が知った本当の親が心中を選んだ真実
自分が信じて思っていたことは間違いだった
誰でも被害者加害者になる
被害者は傷つけられたと思い何をしても良いと思いそして周りはそんな被害者の味方につく
でもそんな被害者でも加害者になるときはある