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台湾の作家さんたちの日本愛に溢れた文章がとても心地良く、台湾のことをもっと知りたくなりました。台湾にも絶対行きます。あなた方が日本を好きなように私も台湾のことが好きです。ありがとう。
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【日本語は、実は強度の冷え性だということが、日本語に親しむにつれ、ますますわかってきた。あのように冷静で細やかな感情はみな日本語自身から来ており、日本語とは意識的な省略だったのだ】(文中より引用)
複数の台湾の作家が日本について綴ったエッセイを集めた作品。名跡を訪れての率直な驚きや日本文化に対する熟考,そして日本と台湾が交差する歴史への眼差しに溢れた一冊です。訳者は,甘耀明の翻訳で知られる白水紀子と中国文学者の山口守。
それぞれの作家が持つオリジナルな語り口を楽しむも良し,その語り口に共通する台湾的要素を見つけようと試みても良しの多面的な一冊。エッセイ一つひとつ当たりの分量はそれほど多くはありませんが,そのどれもから品の漂う「日本論」がのぞき見られる作品です。
取りあえず金沢に行きたくなります☆5つ
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『小さい頃、年越しの時に台所でしゃがんで薪をかまどにくべる手伝いをするのが好きだった。静かに火を見守っていると炎が踊る。火が小さくなると薪をくべる』ー『飛騨国分寺で新年の祈り(甘耀明)』
異国を旅するといつも感じることは二つ。一つは離れてこそ見える出発地のこと。身体と頭が無意識に従っているあれやこれやの細かい習慣が、存在しないことによって初めてその地に特有のことだと気づく。すると頭の中でその習慣が存在しないことの理由付けのような屁理屈の構築が起きる。そこに付される理由そのものが彼の地では存在しないかもしれないという可能性や、時間の前後を無視した理屈であるかも知れないことには目をつぶりつつ。
台湾は物理的な距離よりもずっと日本に近い国かも知れない。韓国と同じように軍事国家日本に併合されながら日本を見る目はもっと近しいもののように感じる。その差をぼんやりと意識しながら、台湾の作家が日本を旅することで発想された随筆集を読む。随筆は全てが旅に直接関わることではないし、日本という場所が大きな意味を持つものもそうでないものもある。しかし、作家たちの中のどこかで共通するのは、日本を通して見つめる先にあるものへの郷愁のようなもの。確かに彼我の違いは存在するけれども、どこかしら作家たちの感情の起伏に同調する原風景がこちら側にも存在しているかのような錯覚も感じさせる。
『私は思わずその時同じ駐屯地にいた「三郎」も平岡が作った野菜炒めを食べ、話を聞いたのではないかと想像した』―『金魚に命を乞う戦争(呉明益)』
異国を旅して感じるもう一つのことは、一つめのことの中に内包されているように思うけれど、異なるものの間の類似性や縁のようなものを見出してしまうこと。それは記憶の多重露出と呼ぶべきものなのかも知れないが、案外と人は全く異なるものに類似性や存在しない繋がりを見出し易い。歴史や文化に正解がある訳ではないし、何かの組み合わせの中に見出す意味が組み合わせた者の意図と異なっているからと言って間違いとは言い切れない。そんな風に理屈をこねても何かが解明される訳ではないけれど、遠く離れた地に見出す不思議な縁に人は余りにも魅了されがちであるように思える。
生きていることは大いなる勘違い。でもそれはそれでいいのじゃないか。編集者の意図とは異なるだろう声を、稀有な旅の本の中に聞く。
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目から鱗のエッセイ集です
台湾の作家たちの日本旅エッセイ
黄麗群「いつかあなたが金沢に行くとき」では金沢のまちとひとについてこんなに納得の観察は無いくらい。
彼女は小説「海辺の部屋」で読者の背筋を凍らせたひと。
甘耀明「飛騨国分寺で新年の祈り」では小説「告別式の物語 クリスマスツリーの宇宙豚」のユーモアに通じるものを感じた。
江鵝「はい、私は日本へお花見に行ったことがないんです」では異常なまでの日本人の花見に改めて思わず笑ってしまったくらい。
小説「コーンスープ」の作者だ。
呉明益「金魚に命を乞う戦争 私の小説の中の第2次世界大戦に関するいくつかのこと」では小説「自転車泥棒」を読んだあとではいっそうの重さを感じた。
現代台湾文学に興味のあるひとにオススメしたいすばらしいエッセイです。
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台湾の文筆家の方々の日本への紀行文集。日本の歴史や文化について、彼らの方が詳しいのではないかという行があったりする。私の祖母は独身時代に台湾に教師として赴任していたそうで、台湾は行ってみたい国のひとつ
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日本を外の視点から感じたいと思い手に取りました。
多くの日本人より日本文化に詳しいだろう台湾の作者たちが、どこを訪れ何を思うのかについては興味深いものがありました。
同時に、国籍は関係なく同じ人間として、美しいものは美しく、儚いものは儚いのだなあと少し親近感も湧きました。
エッセイ調が続き私は少し眠くなってしまいました。
気になる所を掻い摘んで読むのも手かもしれません。