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久々に奥田作品を。
大事件は何も起こらないのだけど(いや、町の人達にとっては起こってるのかもしれないけど)、何故こんなに面白いのか。やっぱり好きな作家。
最近頭が疲れていたので、さらりと読めてホッと暖まるようなストーリーが心地好く感じました。
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田舎はこんなに牧歌的なのか?
馳星周「約束の地で」は、同じ北海道の田舎の連作だが、真逆で田舎の生きずらさを描いているので、合わせて読みたい。
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最近、この手の本を読むと、自分が奥田英朗を読んでいるのか荻原浩を読んでいるのかわからなくなります。これは私のせいなのか、みんな歳取って似通ってきたせいなのか。なんにせよ、私はこういうのが好きなのでしょう。
田舎の居心地良いとこ悪いとこさまざま。色っぽい四十路女が開業したスナックにおっさん共が通うくだりには「男って」。しかしそれに嫉妬するおばはん共には「女って」。村起こしに燃える若い衆を見て、親たちは「馬鹿が張り切ると始末に負えん」と笑うけれど、それでも夢を見させてくれるほうがいい。こぢんまりとした奥田さん。
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北海道の過疎の町を舞台にした短編集。
若者はみんな札幌や都会に出て行ってしまう、変わらない周りの人々、変わらない毎日の中で、ちょっとした事件も大事件になるその感覚。面白いんだけど、他人事ではなく胸が締め付けられる切ない感じ。私の地元はここまで過疎ではないけれど、置いてきた故郷や家族を思う気持ちは変わらないと思う。
中国人妻のエピソードや、主人公の息子が過疎でも負けない、もっと良くしていこうという気合いがほんわり温かく、奥田先生らしい読後感だった。
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過疎が進む北海道の田舎町で起きるちょっとした出来事を描く連作。都会では話題にもならないことも、田舎では大事件。都会から赴任してきた役人、田舎に戻ってきた子供世代。そして生まれてこのかたずっと田舎で暮らす現役世代。最初はそれぞれの思いが違っていたが、物語の最後には不思議と噛み合ってくる。
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高齢化、人口減少、さらに後継者不足等々、現代日本が直面する問題。
その最先端の町ともいう夕張を思わせる北海道の過疎地を舞台に、向田理髪店の店主の目で、そこで暮らす住民たちを描いた連作短編集。
深刻な問題も、ここでは何故か絶望ではなく、希望すら湧いてきて、読んでいて元気にさえなってくる。
後半、映画のロケがやって来たり、町出身の若者が詐欺事件を起こし指名手配となり、警察やマスコミが押しかける。そんなてんやわんやも、住民たちはハッピーエンドにこなしてしまう。
流行りの言葉で言えば「底力」か、現代日本もまだまだ
捨てたものではない、そんな気持ちにさせてくれる。
普通の人々を暖かな目で見守る著者の、小説作法のなせる技だろう。
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なんとなくモデルになった町がわかる。過疎の町の悩み、田舎ならではの人の繋がり暖かみ。でも頼もしい若者たちがいる町って大丈夫そうな気がする
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田舎の小さな町で暮らす人々の生活が
痛いほどわかるお話だね
まず、田舎で年寄りが多く何も無くて
寂れていくばかりの町だというコンプレックがある
次に、住人のことはみんなが知っているので
プライバシーがない
そして、おせっかいが甚だしい
外から誰かがやって来ると興味津々で大騒ぎ
そのかわり
他所の家の事でも身内の事のように心配し
励まし、悲しみは分け合い
喜びも分かち合い
支え合って生きている
こんな町はきっとまだほんとにあるよね
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中古本屋で4冊選んで嫁さんに渡したら「あと1冊」と言われ、何のことやらと思ったが、5冊買えば20%OFFということらしく、無理やり探してこの本を追加した。
どこぞを思わす北海道の過疎の町。かつての面影もない寂れようの中に、昔ながらの散髪屋の主人。息子との世代間のギャップに、若かりし頃の挫折。
表題作から、どれもこれもが絵に描いたようなことばかりで、あ~っ、この手の奥田英朗は、やっぱり私には合わない。
いかな田舎の町だとは言え、ああまで皆が噂話が好きで、男はと言えば新しく出来た飲み屋のママに入れあげて、女はと言えば東京から来た若い助役に熱を上げ、映画のロケがあれば皆で浮かれる、そんなところがあるかいな。
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人口減少や過疎化、高齢化に直面する北海道の旧炭鉱町が舞台。街の向田理髪店の50歳代の店主から見た小さな街での出来事の連作短編集。
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主人公は過疎の町の理髪店店主。53歳。
この町で起こる出来事がこの店主の視点から描かれています。
設定は過疎の町ですが、この小説で描かれているエピソードは今あちらこちらで見受けられると思います。小説のかたちをとったルポルタージュのように感じました。
小説であるため、登場人物の行動やそれぞれの場面での心の動きが描かれます。それらは特殊なものではなく、ごくありふれた風景です。そのため、安心して読み進めることができました。
過疎と過密、昔と今、読みかえができそうな一冊でした。
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北海道の過疎の町を舞台にした短編連作。
過疎の町は徐々に寂れていく。人は少なくなり高齢化し、店舗はへる。栄えていた時代を知っている世代にすれば、寂しく、住みにくくなっていると感じるだろう。若者たちは修学のため、就職のため都会へ出ていく。
これはどこの街でも同じだろう。「負」のイメージしかないが、この小説では「それでもいいところもあるよ」と伝えている。
誰もが過干渉を嫌がり、近所付き合いを面倒くさがる世の中だが、ここでは昔ながらの近所付き合いが過疎を救っていく。
人と人の繋がり、深いコミュニケーションもいいもんだと心がほっこりさせられる小説だ。
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財政破綻した地方のお話
北海道って事は、モデルは夕張ってことかな?
田舎の人間関係のいやらしいところがよく描かれている
また逆に何でも知っている関係の良さも最終的には感じられる
でも、実際にこんな田舎にはもう住めないなぁ
札幌までバスで2時間という、これまた中途半端な田舎なところ
まぁでも、都会までこのくらい時間のかかる田舎なんてざらだしね
新しいスナックができたり、中国人嫁が来たりのところまではありふれているけど
映画のロケやら出身の犯罪者が出たりという展開はドラマティック
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北と南の違いはあるけれど、こんな感じの街は日本全国どこにでもある。燻ったままに見えても、芯の芯には火が少しは残ってて、どうにか変わりたいと思ってるんだ。
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はじめての直木賞作家奥田英朗さん。
北海道炭鉱町で財政支援団体に転落した過疎化が著しい架空苫沢町の床屋さん短編集。モデルは間違いなく夕張。官僚出身の佐々木助役は北海道新知事鈴木さんでしょうか。「してるべ」「ねえべえ 」北海道弁丸出しの違和感は朝ドラ なっちゃんにも重なりますが、同じ北海道過疎の町出身者としてこんなこと、あるあると気楽に楽しく一気に読めました。