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読み応え充分。
クズで場当たり的な頭の悪いヤツらが真犯人でなくてよかった。
途中、ノンフィクション風な筆致になるところも効果的。
ルポライターは現代の探偵役として適役なのでしょうね。
「大絵画展」の作者さんなのですね。
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書評家大森望氏の書評を読み、
興味を持った初望月諒子本。
イヤミスなんてカテゴリーには
括れないぐらいの社会派犯罪小説。
文字ひとつひとつを取りこぼさないように、
しっかりと読んでいくうちに、
自分の内から吐き出したかのような文章に
気持ち悪くなる。
善人面した人々に呪いの言葉を吐きたくなる。
何も見えていないくせに訳知り顔で
同情する人々を罵倒したくなる。
吉沢末男は犯罪者ではあるが、
至極真っ当な人間であるように思えてくる。
主人公のフリーライター木部美智子が
物事を俯瞰で捉え、
常に平常心でいるからこそ、
よりリアリティがある。
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中だるみ。
最初と終盤だけちゃんと読んだ。
必要悪とは言わないまでも、必然的にそうなってしまうのか…やりきれない。
ある意味現実的なのか。
だとしたら、どうすればこの負のスパイラルを抜け出せるのか。
貧困、育児放棄、不登校、無学、コミュニケーション能力の不足、不定職、貧困、むぅ、、
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格差社会の痛々しさを描いた陰鬱なミステリ。
連続殺人事件と、企業への恐喝事件の繋がりから暴きだされた犯人たち。しかし実行犯はいったい誰なのか、という部分が実に曖昧で、大きな謎となります。それがもちろんラストには解決されるのだけれど、この真相は恐ろしいというか何というか……。
どんな環境に置かれたとしても、犯罪をする人はするだろうししない人はしないだろうし。環境だけが要因ではない、とは言われそうだけれど。犯罪に走ることでしか底辺の生活を抜け出せないということは、「普通に」暮らしている人には想像すらできないのではないでしょうか。それは悲しくもあり恐ろしくもあるところだけれど。一方では恵まれた環境に生まれてもろくなことをしないという人間には、同情もできなくて。だからこそこの解決は……案外と、不愉快とも思えないなあ。
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ストーリー自体に少し疑問点は残るものの、物語を通して末男の生き方を堪能できた。
母親は体を売って金を稼ぎ、男なしでは生きられないタイプ。そして子どもたちには見向きもせず、借金ばかりを作る。そんな環境から幼い妹を守るため、末男は妹を学童まで迎えに行ったりバイトをして生活を支えていた。
しかし、借金を返せなくなると万引きをしたり、窃盗をしたりして生活をするようになる。
末男が27歳の時、売春婦が2人殺される事件が相次いだ。同じ頃、ある企業が強請られる事件が起こっていた。
その2つの事件はリンクして、警察と記者は末男とその仲間に辿り着く。
果たして犯人は。
今の世の中、毎日のように流れる育児放棄やら児童虐待やらのニュース。悲しいし、怒りしか湧かないが、どこか遠くの事件だと思っていた。
しかし、読んでいくうちに、その渦中に放り込まれたような錯覚を覚え、また、案外ちょっとしたきっかけで起こりうる事件でもあるのかもしれないと、怖くなった。
ネタバレになってしまうので書けないが、それはおかしいだろう!という部分も。でも、久しぶりにノワールを堪能できた。
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評価は3.
内容(BOOKデーターベース)
二人の女が中野区内の別の場所で、それぞれ銃で撃たれ死亡しているのが発見された。どちらも身体を売り、育児を半ば放棄した、シングルマザーだった。マスコミが被害者への同情と美談を殊更に言い立てる中、フリーの記者・木部美智子は、蒲田の工場で起きた地味なクレーム事件を追い続けていたが…。現代社会の光の当たらない部分を淡々とした筆致で深く描き出した、骨太なノワール犯罪小説。
う~ん。最後まで読むのが大変苦痛だった。えん罪はダメだろう~運が良いとか偶然が重なれば必然だとか言っても。
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フリーライター木部美智子シリーズ第5弾。
中野区内で二人の女が銃で撃たれて死亡した。二人とも身体を売り、育児を放棄したシングルマザーだった。
「売春婦」という事実を隠し、格差は美談で蓋して見て見ぬふりをする社会。命は本当に平等に尊いのか・・・
前作にもまして密度が濃く、これでもかというほどに問いかけてくる筆致に、一気読みなどできず、思いのほか時間がかかって読了。
――貧しいというのと貧困は違う。貧しいというのは金がないだけだ。しかし貧困というのはインフラがない土地のようなもの――
売春婦の子に生まれ育児放棄された家庭で、妹を守り抜くことを自らに課し、必死で貧困から抜け出そうとした末男。
ただ妹を食べさせるために盗みを働き、公園のベンチで勉強をした。保護観察処分を受けながら、担任教師の尽力によりやっとのことで就職した鉄工所も、金庫を盗んだ疑いをかけられ辞めざるを得なくなる。
教師は「運命を切り開け」というが、這い上がっても這い上がっても転ぶ、底のないぬかるみを進むような人生は末男をどう変えていったのか。
――空のどこかにあるのかもしれない正義や人権を、あると思わず生きていくこともできるんですよ。そんなものがない世界が、同じ空の下にはあるんですよ。そしてどこにあるともわからぬものをあると信じてかしずくことを、愛ともいうが欺瞞ともいうんです――
自力ではどうにもならない、決して救われない世界ってあるんだよね、きっと。そして、それが自分たちのテリトリーを侵さない限り、ないものとして扱う、このクソのような社会。私もクソの一員。
木部美智子の最後の選択は反社会的だけど、なんだかホッとした。
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終盤まで犯人がわからず、そういう意味では読み進む推進力になったのですが、描かれてきた性格と、犯行の間の距離が広い感じで、なんとなく騙されたような気分にも。
★4にするか迷ったのですが、どうにも後味がよろしくないので……。
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久しぶりに来ましたね。当たりでした。この作家さんは知らなかったですが、ラストは秀逸でした。あと、普通になれない人は本当にいいるんだよね。努力とかそういう問題ではないのでは。
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雑誌記者の木部美智子が森村由南と座間聖羅がピストルで射殺された事件の真相を追う物語だが、吉沢末男と長谷川翼の行動がキーポイントになる.末男の生い立ちが縷々語られるが、劣悪な環境で育ったにも拘わらず、妹の面倒を見ていた.翼は父親が医師で恵まれた環境で育ったが、大学で不幸な女性を支援するサークルを立ち上げ、傍から見る限り素晴らしい青年に見える.秋月薫が捜査の前面に立つが、美智子の情報に助けられる場面も出てきた.捜査の結果、末男と翼が逮捕されたが、警察は彼らの巧みな供述でどちらが犯人か決められない.美智子は末男の昔の事件で関わった遠藤弁護士から話を聞き、さらに翼の妹の理央からも供述を得て、推理を組み立てた.最終的に警察は翼の犯行と決めたが、美智子は末男から核心に迫る供述を得る.面白かった.
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女性二人が射殺、男性一人が撲殺された。操作上に上がった容疑者は吉沢末男、長谷川翼。犯人はだれか、なぜ殺したのか、というミステリーなのかな。
登場人物の背景にある貧困がテーマになっていて、終始、暗いというか陰鬱なお話になってる。
貧困ってそこらへんに転がってるんだろうけど、自分には想像できないこんな世界があることに少し怖くなってくる。
人物の背景描写や会話がメインとなってて、ちょっと長いというか冗長で、すらすら楽しみながら読める感じではなかった。エンタメと思ったらだめなのかな。
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“このミス”19位。人物描写が非常に生々しく、一人ひとりのエピソードを切り取っても物語になりそうな気がした。
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底辺から抜け出せない。苦しい。
どうすれば好転するのか?
同じ境遇の人にこだわっても何も進展しないような。
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図書館本)お勧め度:☆6個(満点10個)なんとも読み辛く、気分が滅入ってくるような本でした。人間の闇夜(病夜)を照らす毒々しい世界を淡々と描いている感じ。人間の業がどれど深いものかをまざまさと感じる。物語は、蒲田署管内で発生した女性の連続殺人事件から始まる。最終的に二人の容疑者が逮捕されるがどちらが主犯か?最後の謎として混迷するというストーリー。そこには、暴力、貧困、虐待、売春、闇金、・・・等、言葉で表せないほどの闇が存在する。ただ、主人公のジャーナリスト「木部美智子」が最後に真相を暴くのは悪漢だった。
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95底辺から生き抜く術を知り尽くし辛酸を舐めた男と女の物語。高村薫の冷血を彷彿とさせるが、それなら最後のモノクロームは不要だったかな。