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行動経済学とカテゴリーを初めて知ったが
実験を重ねつつ、一見、不合理な
人間の意思決定の謎に迫る。
感情による判断が必ずしも
否定されるモノではないという
意外な事実など、物事の見方に
別の角度を提供してくれる。
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感情と理性は対立するものでなく、意思決定を補完し合う。「感情に任せて失敗する。」「理性的に行動する。」この使い古された言い回しがさらに過去のものになると思わされる本。
行動経済学に関する本は、ナッジなどのちょっとした心理的仕掛けで個人の行動を予測できる、というような内容が多く、それはそれで気付きのあるものであるけれど、少し腑に落ちなかった。
それがなぜか、本書を読んでわかったように思う。
文化、信頼、人種…我々の行動は他人との関係の中で決められることが多い。個人としては不合理に見えても、集団としては最適解であるのだと。
ナッジを使って少し気の利いた仕事をしよう、というようなものではなく、人々が自覚せずに不合理に思える振る舞いをしてしまうこと、人間そのものを理解することを助ける本だと思う。
終章で著者が言う、たとえ明白な危険があっても(遺伝子の研究で個人の性向が詳細に分かることを指して)、恐怖を口実にしてこれからの科学研究を妨げるべきでない、という主張にその全てが語られている。
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『怒りや共感を覚えるのは他人に対してだが、後悔を覚えるのは自分のかかわった行動や状況に対して』
『感情的反応の速さが慎重な熟慮にまさる場面は多い
……草むらを這うヘビを見てとっさにあとずさるのは、状況を認識して分析するよりもはるかに合理的』
『人々は公正でない行動に対して文字どおりむかつきを覚える。それでも理性で自分を納得させ、そのような行動を受け入れたいと思う人がいるだろうか』
『「よい」均衡では、人々は互いを信頼し、他人に対して協力的で確かな行動をとる…それがさらに信頼を支える。
「悪い」均衡では、人々は互いを信頼せず、信頼の欠如が当然視され、信頼に足る行動や確かな行動をとる必要がまったくなくなる。
どちらの均衡が経済成長をもたらすかはたやすく想像できる』
『チームの一員として働く従業員は、自分が怠けたせいで自分がボーナスをもらえないことよりも、自分が怠けたせいで友人たちがもらえるはずのボーナスをもらえなかったらどう見られるか、ということのほうを気にかける』
行動経済学では、愛や怒り、ねたみという感情は予測可能だが不合理なものとされてきた。しかしこの見方は悲観的過ぎた。感情は実は合理的なものであり、さまざまな利益をもたらす。
ゲーム理論と進化論とに注目し、賢い感情の実例をさまざまな実験と自らのコミュニティーでの出来事に照らし解き明かす。
賢い人は感情で決める。