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残業がどこでどのくらい発生しており、そのメカニズムは何か。データとエビデンスに基づいて分析し、具体的な解決策を提案する。昭和の職場の団結的な残業と異なり、平成では成長につながらず価値も産まない。数値による削減指示だけでは、ブラックボックス化・形骸化・組織への信頼低下を招くだけ。
昭和オジサンの遺伝子が消えるのを待つのみ、かも。
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働き方を変えないと、働く人がいなくなって国が滅ぶ。働き方を変えて、楽しい国にしたい。法律は人を支配する為にあると思っていた頃に、法律は人を守る為にあると教えてくれた勤勉な友人のことを思い出した。
オムニチャネル(情報の多アクセス化)を手段に、コミットメント(目標達成への積極的な関わり)を高める。
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長時間労働が常態化している原因を大規模な調査をもとに学問的な考察を加えて平易に解説した本。
新書版で書きっぷりは柔らかいが、中身はずっしり。あとでまとめようと思って重要なところは付箋をつけながら読み進めたが、これだけ盛り沢山だとまとめるのも容易ではなく諦めた(ちなみに全9講からなる講義形式で、各講義の末尾にまとめがついているので、これを見れば要約だけならできる)。
ということで、大幅に端折って言えば、長時間労働(残業)がなぜ日本企業に根付いてしまったのか、なぜ会社員の多くが(ときには自らすすんで)残業するのか、なぜ働き方改革がうまくいかないのかが豊富なデータとエビデンスをもとに説得力を持って書かれている。
後半の3講では、長時間労働をへらすにはどうすればよいのか、その方法が解説されている。ここは著者の専門分野である組織開発・人材開発の領域だけあって大変参考になる。
図書館で借りてきたが、購入して手元に置いておくべき1冊。
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何故残業が減らないのか、歴史を絡め説明されており読んでいて、理解を深めてくれたように感じる。
自分自身もこれまでの職場で見てきたこと、今〜将来自分がやっていかないといけないことを考えるキッカケを与えてくれたように思う。特にマネジメントの3つの側面は、これから意識していきたいと思わせるところだった。
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わたしの職場はいわゆるブラック企業で、みんなそれを承知で、昼食も食べずに働いているし、朝出勤すると、社員の誰かが徹夜をしている。公休なのに、働いていたりする。
組織の体質を変える、ということは、それなりに時間がかかる。今の体質を作るにも時間をかけてきたように、ちょっとやそっとじゃ変わらない。
これまでに政府が掲げてきた政策や、各会社が掲げている残業対策も、間違ってはいない。ただ、その政策や対策が、その会社にマッチしているかどうかだ。
つまり。
最後の方、ある企業の実際の取り組みが載っていて、けれど、頭に入ってこないレベルで現実味のなさを感じてしまって。
残業をなくすには、長い時間をかけて、現場と上司(上層部含)が一体となって努力していくしかないのはわかる。また、単に「早く帰れ」というだけではいけないし、できる人に仕事が集中するのも得策ではない。現場によって、どんな残業対策がいいのか、それは会社によって異なるから、現場が問題点を挙げ、上司はツールを作り、現場はそのツールをもとに、試行錯誤を続けていく。
言っていることはわかる。けれど、上司にはそんなツールを作る能力なんてないし、現場も、日々自分の仕事にいっぱいいっぱいで、なかなか試行錯誤をする余裕がなく、結局いつも通りに戻ってしまう。現場も上司も、常にキャパオーバーだから、こんな風に「どうしていったらよくなるか」を頭で考える余裕がない。そして上司も、「なんとなくうまくいかなかったね」「やっぱり残業減らすなんて無理なんだよね」と、ろくに深められずに終わってしまう。
残業に対する価値観は人それぞれだし、残業に対する施策もたくさんあって。そんな中。
結局、上司が残業遺伝子を持っている以上、何も変わらないし、変えられないのか。
調査でわかった内容がとても興味深かっただけに、ちょっとだけ残念…
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『働き方改革』によって多様な働き方、労働力の確保を実現するために重要な『長時間労働の是正』。残業を減らし、持続可能な働き方で、うまく仕事と付き合いながら人生を歩む。
残業文化その歴史についてや、残業発生のメカニズム、残業時間削減のためにはどうしたら?と言った内容が講義形式で書かれています。
読後は『やはり特効薬はなく、地道に働きかけ、実践するよりほかない』『組織ぐるみで取り組まねば実現は難しい』『ネガティブなケースで、自分にも当てはまってるものがあるなぁ』『今の組織ってまさしくこの状態なんじゃ?』などと少し気持ちが暗くなりました。が、『自分自身』と『組織』の『未来』のために、今取り組む必要があることもひしひしと感じました。
過去にすがらず今と未来を見る。これを肝に命じて粘り強く取り組んでいこう。
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残業の歴史・構成要素等、暗黙の了解となっていたことが豊富なn値のエビデンスに基づいて紐解かれており、包括的な知見を踏まえて現場の抱える課題を考える上で、役立つ良書だった。
自分が属する「ムラ」の住人をいかに幸せにするか、というミクロな起点から実践に移したい。
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本書で挙げられている残業体質の会社の特徴は、まるで自分の会社のことを言われているようでした。きっと、多くの日本企業が同じような問題点を抱えているのでしょう。
しっかりと統計をとって、問題を提起するだけでなく、具体的な対策も書かれているので、多くの人に参考になると思います。上層部の人にこそ読んでほしい職場の実態がここにあります。
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残業が発生するメカニズムやその対処法について書かれている。経営者や管理職は、読むべき本。思わず職場の上司の机の上に置いて置きたくなる本。ただこの本に書かれている残業削減施策を実現させるのは、本気になって取り組む必要があると思うが、日本企業でそこまでできる企業は少ないと思った。
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リモートワークやフレックス、多様な働き方が増えてきた今、読んでおきたい一冊。
残業を仕組みから捉えて、なぜなくならないのかと。仕事への姿勢、成果のあり方や生活の仕方に様々な道がある。世の中の変化に合わせて変えるべきは変えて、仕事に希望を持っていけるようにしていきたいとあらためて感じる。
ジャッジ、グリップ、チームアップを心して「希望」を生むために実践。
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https://www.kobunsha.com/shelf/book/isbn/9784334043865
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働き方改革が、号令をかけるだけで、実態が伴わない。
何故、働き方改革が進まないか。
長時間残業がなぜ起こるか、から読み解く。
なんとなく感じていたことを、客観的に言語化して説明してくれる、気づきにあふれる本。
残業は、長年日本の会社が組織学習してきた、強固な仕組だということ。
チームで一致団結して解決する風土がある職場で長時間残業が発生しやすいというのも、言われてみれば確かに。
本来は、生産性向上のために、そのような職場を作ろうと皆気を配っていると思うのだけど、逆に個人の裁量がなくなり、付き合い残業や、残業麻痺した幸福感を醸成しているのだなと、目からウロコでした。
皆で協力していればその努力が報われ、自然に出世が約束されていた社会では、頑張ることが重要で、モーレツに仕事に奉仕することへ見返りがあった。
現在は、先が見えなく、役職ポストも不足、その上、会社が安泰かすらわからない状況、会社に見切りをつけた者は、条件の良い会社へ転職していく。
社会の状況が変わってきている今、長時間残業を良しとするのは時代遅れなのだなと感じた。
第四章のタイトル『残業は、「集中」し、「感染」し、「遺伝」する』
というのが、残業の仕組みを端的に表している。
・能力の高いメンバへ仕事が「集中」する。
・能力の高いメンバが長時間残業する姿を見た他のメンバは
①あこがれ、自分も長時間残業へ
②自分の能力がないと思われたくないのでフェイク残業へ
・そのような職場で育った人物が、残業を良しとする。
残業をすることでフロー状態(完全に集中、浸っている状態)に入り、幸福感が増す「残業麻痺」が起こる。残業は心身に影響を及ぼしているが、本人は気づかない。
というのも実感伴って理解できる。
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働き方改革について、アカデミックなアプローチ。特にアンケートの結果を重回帰分析している点が勉強になった。以下、本文からメモ。
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・世の中の「働き方改革」関連情報は、枝葉ばかりを見て、木も見てないし、ましてや森も見ていない。重要なのは森を見ること。本来問われなければならないのは、「日本をどのような社会にしていくか」ということ。
★このような絶望的なすれ違いをもたらすのは、「データに基づく対話がされていない」ため。
×人は自分に関心がある分野にだけスポットライトをあてて、全体を見ようとはしない
★残業の個人リスク=健康リスク+学びのリスク
★残業の企業リスク=採用リスク+人材リスク+イノベーションリスク+コンプライアンスリスク
★残業の三層分析モデル(分かりやすい!)P53
★残業で幸福感が増す仕組み(分かりやすい!)P123
★★★★仕事の責任範囲が明確であればあるほど、優秀な人への仕事の偏りが抑制される
★多元的無知:みんなが「帰りたいと思っているけれど人は残りたいのだろうと思って残る」
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進め方
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・市場環境が変化する中で、このままだと自社がどのように推移していくか、経営の数字をもって語る
・〇〇は手段であって、目的は、自社が力強く成果を残すこと。
・長い時間かけて組織学習されてしまった〇〇の慣行を解除するには、〇〇という外科手術的方法に加えて、中長期的な効果を狙った「漢方治療のような施策」が必要になる
→「人材開発のナレッジ」と「組織開発の知恵」が重要
★組織学習を解除する3つの透明性
①業務の透明性
②コミュニケーションの透明性
③時間の透明性
★組織開発の鉄板フレームワーク
①見える化
②「ガチ対話」
③未来づくり=プランを作る
★組織開発のコツ
①武器を渡す(知識やスキルの教育、、研修・テキスト・ワークショップ。。)←おそらく筆者が売りたい商品
②トップの強いコミットメント
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アンケートの活用←おそらく筆者が売りたい商品
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×データは得たが使い方が分からない
×やりっぱなしになっている
★従業員調査で大事なポイント
①どの数字が自社にとって重要か
②解釈を邪魔する邪念に抵抗できるか
③データを誰がどう活用するのか
★測定しないことには修正できない
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すべてのマネジャー層、人事部門に読んで欲しい一冊。社内研修デザインに有用なインプット。昔は部下から仕事巻き取っていたなぁ...。あなたは「ジャッジ」「グリップ」「チームアップ」はできていますか?
「教室を出たら、「事」をなすのみ」
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私自身も入社当時は、時間が助長されているとまでは言わないまでもサービス残業が当たり前で、それによって自己成長を得ていたと思っており、それ自体を悪いことだとは考えなかった。逆に労基法順守、働き方改革や生産性向上という名目でサービス残業撲滅や時間外抑制を会社から求められることに対して、反発を覚えたこともあった。本書でいうところの「昔の武勇伝」を部下に語ることもあり、今の若手たちは自由に残業もできず仕事をやりたいのにできないという環境をかわいそうにおもってしまうことさえあった。
しかし、自分が若いころに得られていた成長感は効率の悪いものであり、誤った考え方であると大いに反省させられた。
一方で、これが個人的な問題ではなく、日本社会に文化として浸透し待っており、個人の意識を変えただけで変えられるような問題ではなく、国や企業が働き方改革などの号令や規制だけではなく、各職場に合致した具体的な具体的な施策をもって推進しなければ容易に解決できない問題であるということを理解した。
とはいえ、それを待つだけではなく、管理職の一人としてできることから少しずつでも始めてみる必要性を感じた。まずは、自分の考え方を改めることが最初の一歩だ。
日本以外は「ジョブ型(明確に仕事の範囲を規定した契約書に基づき雇用契約)」、日本は「メンバーシップ型(人を採用してから仕事を割り振る)」。後者では仲間意識が強くなり、残業も組織や会社全体の文化になってしまう。
欧米では「労働は」なるべく避けたいもの、といった「負の効用」を持つ概念。「国富論(アダム・スミス)」において、人間にとって労働とは「toil and trouble(骨折りと苦労)」と述べている。
一方日本人は「仕事」が「希望(幸せ)」を規定する傾向にあり、仕事の中に何か「幸せ」を見出したいという価値観を持っている人が多い。
従業員が雇用主や企業に寄せるこうした期待を「心理的契約」という。心理的契約はいわば労使間の「暗黙の了解」で明文化されたものではない。これまでの日本では、年功序列や終身雇用という「心理的契約」があったからこそ、残業も厭わずがむしゃらに働いてきたとしても、その「見返り」が期待できた。
しかし、「終身雇用」と「出世への期待」は、以前に比べて「裏切られる」可能性が高まっている。
経験学習理論では、①背伸びの原理(現在の自分の力では少し難しい能力が伸びる仕事をすること)、②振り返りの原理(過去の行動を振り返り、意味づけた上で未来に何をするべきかを自分の言葉で語れるようになること)、③つながりの原理(信頼のおける他社からのコメントやフィードバックなどを得て周りとのかかわりの中で学んでいくこと)、の3つの原理が欠かせない要素である。
一方、長時間残業では①は機能しても、②と③が機能しなくなってしまう。つまり長時間残業で経験を積み重ねる(①)だけでは成長できない。日本人には「努力信仰」と結びつく「量をこなすことが成長につながる」といった思い込みが強い。
日本企業では「残業あり、成果あり」(よく頑張った)>「残業なし��成果なし」(もっと成果を出せたはずだ)=「残業あり、成果なし」(まあよくがんばった)と評価される傾向が強い。
日本人男性は残業時間が減っても「家事・育児」の時間に変化はないが、女性は増加する。つまり、女性が社会進出することで、今まで以上に女性への負担が増える構図になっている。
残業が発生するメカニズムは、「個人の能力不足」ではなく、職場の雰囲気や人間関係の中で生まれる。「集中(優秀さに基づく仕事の振り分け)」「感染(帰りにくい雰囲気)」「遺伝(若いころに長時間労働していた上司)」。
残業が定常化すると、生活費を残業代に依存する「残業代依存」になり、残業が助長される。
残業削減は、個々人で解決できるものではなく、トップダウンで全社的に取り組まなかれば効果が出ない。単なる号令だけでなく、具体的な施策やフォローがなければ浸透しない。
経営学において、マネジメントのもっとも有名な定義は「他者を通じて、事を成し遂げる」。