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途中までは好きなジャンルである職業物の要素がふんたんにあり、結末に期待しながら読んだが、まさか、まさかの結末に啞然とした。この作品の存在価値はどこにあるのかと憤る気持ち。序盤で仕掛けられた篠田の行く末のミステリーがなんのひねりもないまま提示されて驚いたし、悪者の横川は最後で後日談的に評定さられ、中盤で物語の核となる裏切り者ときたら、その途中の底の浅い行動にまったく同情できぬ上、特に罰は受けずでイライラ。これが現実なのかもしれないがフィクションであれば気の利いた展開にして欲しいと思うが、30年近く前の社会情勢はこのような小説が求められていたのか。
流石に時代を感じられる箇所が随所に感じられ、その部分のみ感慨深く読むことが出きた。3年前によくこんな話が新装版として刊行されたものだと不思議に思う。終盤だけ加筆訂正してもよいのではとも思った。