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今村昌弘『魔眼の匣の殺人』読了。『屍人荘の殺人』に続くオカルト×本格推理のシリーズ2作目。今作も引き込まれるがままに2日で読了。"予言"という超常現象の非合理を前提としながらもそれに説得力を持たせる論理的で緻密な展開。そして、圧巻の謎解き…本作もたいへんおもしろかった。次作も期待。
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動機がちゃんとしていて良かった。犯人は…サイコパスでした…みたいな結末があまりに多い昨今、なにか懐かしささえ覚える。昔はこんな感じの本格をたくさん読んだよなぁと感慨深いものが。
正直、ここまで書いてくれるとは思わなかった。スター誕生?
次作も期待しています。
明智先輩(泣
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前作に引き続き読んでみました。前作と同様読みやすく、一日で読了。
予言というオカルトなものと、クローズドサークル、そして人間の恐怖心が組み合わされるという特殊な環境下での事件だったので、非日常のドキドキ感とか味わいたい方には特にいい作品かもなぁと思って読んでました。
本格ミステリーを想像して読んでしまうと、あれ?と思ってしまう方もいるかもですね〜
前半の比留子さんの可愛さはとても良かった(笑)
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屍人荘からの続編で、とても楽しみにしていた作品。
あー面白かった!満足。
フーダニット、ハウダニット、ホワイダニットを綺麗に回収して、更に予想していなかった驚きも用意してくれている。
前作と比べても遜色なく楽しめる。
次の続編が早く読みたい。
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三省堂書店池袋本店のサイン会に参加するために、その場で確保。サイン会めっちゃ人多かったです。帰宅後、いけないと思いつつ一気読みをしてしまう。めちゃめちゃ面白かった。前作の続編だけに注意深く読んでいたけれど、まさかこう来るかぁ。最後の怒涛の畳み掛け3連発、特に2発目と3発目にはやられた。ラストの一文から、当然に続編が予定されている模様。今から待ち遠しすぎる!本格ミステリとしての要素もさることながら(すごくレベル高い)、キャラクターもきちんと立っていてキャラ小説としても良くできている。この辺りは青崎先生と似ているかも。とある人物のラストには涙。レギュラー化しても良かったのに、、、しかも某組織の設定などは某コナンもとい厨二病的でツボを押さえている。今村昌弘、恐ろしい子!
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前作はゾンビもの×ミステリーという組み合わせがすごかっただけでなく、密室トリックにゾンビものである必然性があるところがすごかったのだと個人的には思っているのだが、今作はうって変わってオーソドックスなクローズドサークルものを仕掛けてきた。前作でもそうだったが、ミステリーをメタ的に見る視点がちょこちょこ入っていて、読者を導いてくれるのだか、それともミスリーディングしてるのだかわからないところが心地よい。
今作では「2日間で四人死ぬ」という予言が最初に提示されて、その中で登場人物が行動をしていくという形を取られているが、こういった「通常とは異なるルールを劇中で設定して、その中で人物は合理的な行動をとる」という作品でいうと、思い出すのは"生きる屍の死”だ(屍は前作だったが・・・)。あれも通常とは異なるルールをどのように解釈するかが物語の一つの争点であり、本作も与えられた予言は「絶対に避けることが出来ない、実現するもの」であるとおくことで、チキンレースのようなゲーム感覚を生み出している。なぜなら、予言が絶対に成就することが確実なのであれば、"予言以上に人が死ぬことも、またない"のだから。
さて、そのような感じで「ある特定の空間において支配的になるルールを設定し、合理的な行動をとる」というロジックを用いている本書であるが、実はクライマックスのところの犯人の行動がイマイチ不思議なので、ここに記載しこうと思う。
クライマックスで比留子と真犯人が対決するシーンで、比留子は「2日間で四人死ぬという呪いが実現するという前提で動いているからこそ、自分をさすことはできない」というロジックで真犯人を追い込んで行くのだが、この部分、ちょっとロジックとしては弱いと思う。というのも、真犯人が結果的に最後の犠牲者となってしまった朱鷺野に罪を被せようとして殺してしまった時に、それほど慌てたそぶりを見せていないからだ。
この死体が見つかった瞬間、比留子が葉村と一緒に狂言自殺をしたことはまだ宿泊者には知られていないため、女性の犠牲が三人になってしまったという可能性があるにも関わらず、真犯人はそれほど動揺を示していないのである。(台詞として「そんな、女性はもう安全だったんじゃ」という台詞あるが、誰が発したかはわからない)。
確かに比留子は厳密に言えば死体が見つかったわけではないので、死んだと考えないということもありえるわけだが、そうなると今度は「女性がこれ以上死ぬことがないとわかった朱鷺野が交換殺人を行うことを拒否したため、真犯人と諍いになった」という推理が弱くなってしまう。こちらも厳密に言えば、朱鷺野は信じたが、真犯人は信じなかった・・・というロジックを作ることも可能だが、極限状態において死んだかどうだからわからないので、カウントはしないでおこう・・・という判断をすることが出来たものだろうか。繰り返しになるが、真犯人は狂言自殺を一切知らないのである。
さらにいうと、真犯人が本当に人を殺してまで予言に対抗して自分の命を守ろうとするのであれば、朱鷺野に罪をなすりつけるよりも早くやるべきことがあり、それは���もう一人男性を殺す」ということである。この段階では茎沢が熊に殺されていることはわかっていないわけで、真犯人の優先順位は「朱鷺野に罪をなすりつける」ことよりも、「男性をもう一人殺す」ことでなければならないはずだ。なぜなら、朱鷺野にうまく罪を着せることが出来たとしても、本作で繰り返し強調されるようにクローズドサークルという制約条件が解けてしまうと犯人追求は行われるはずであり、だとしたら「男性を殺す」のは「朱鷺野が罪を認める前」でなければならないからだ。
仮に真犯人が「茎沢はすでに死んでいる」と確信しているとすると、上記の「比留子は生きている」と想定することと矛盾をしてしまう。
・・・ということで、せっかくギリギリのところで紡いでいるロジックがここで急速に破綻してしまうのであるが、この辺りかなりクライマックスなので、あんまりつっこんで読む人はいないだろうという気もしている。2回目に読み返すとたぶん「あれ?」って感じると思うけど。
本作は連続殺人もののわりには登場人物が少ないため、謎解き自体は容易だろう。普通に読み進めていけばおそらく犯人にはたどり着くことができるし、"How"に関しては作品そのもので詳細を記載しないこともあり、読んでいて引っかかるところもない。ただ、最後の読後感の悪さを生み出す比留子が突きつける真実に関しては、読みながらもあまりそちらに意識が向かわなかったせいか、結構衝撃を受けた。ああいう形で物語が終わるのであれば、もう少し匣を詳細に記述して、悪意をそこかしこに置いておけばよかったのに。
おそらく三作目ではより意図的にホームズ & ワトソンの関係を壊そうとして、「事件に探偵が介入する」形をとるものと思われるので、その中で主人公の二人がどのように精神の平衡を保ったまま物語を進めて行くのかのを楽しみにしたいと思っている。次は・・・サイコキネシスあたりがテーマとして使われるかな?
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前作と同じミステリ同好会のコンビの第2弾!今回は、山奥の匣に行く途中の橋が燃え落ちることでクローズドサークルを完成させる。予言がキーワードの本作は、前作ほどのスリル感はないものの、完成度は高い。この作家の今後の作品に目が離せない。
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前作同様に、超常現象ありきの推理劇。
そこの所が腑に落ちてないと解決と読んでもイマイチ消化不良な感じ…
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前作でデビュー作にしながらこのミス大賞を受賞した作品の続編。
前作が本格ミステリ×ゾンビの組み合わせであったのに対して、今作では本格ミステリ×超能力という組み合わせ
デビュー作に劣らない完成度!
概要は未来を見ることができる超能力者の予言通りに男女2人、計4人が死ぬというもの。
今作でもミステリーとは程遠い設定が盛り込まれているのにも関わらず、しっかりとミステリーをやってくれたという印象。非常に良いバランス感覚。
表紙やタイトルとは裏腹にすいすい読み進められる読み易さも良い。
そして高橋貞子の名前が出てきたり、I県の飛行機事故などホラー、オカルトが好きな自分にとってはご馳走とも言えるネタも盛り込まれていて読んでいて楽しかった。
更に人の死に合わせて人形が減っていくという、アガサクリスティの"そして誰もいなくなった"のオマージュも!
推理小説としては
超常現象を扱いながらもアンフェアもなく、しっかりと練られている。
なおかつ事件の解決の先にもどんでん返しがあって読み終えた後の充足感が得られる大満足の作品。
そこまで予想できず良い意味で悔しい思いをした。
続編もまだまだ出そうな終わり方だったからこれからも期待。
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デビュー作にして年末3大ランキング全制覇に加え、第18回本格ミステリ大賞受賞。時の人となった今村昌弘さんには、さぞかしプレッシャーがかかっていただろうと察せられるが、とうとう第2作が届けられた。
前作『屍人荘の殺人』は、伝統的な「雪の山荘」のシチュエーションに一ひねりを加え、高度なバランスを保った作品だった。今回も続けてクローズド・サークルに挑む。舞台設定そのものは変則的ではなく、むしろオーソドックスと言える。
本格の定番である「雪の山荘」ものには、あるジレンマがつきまとう。なぜ、内部犯が疑われる状況で、犯行に及ぶのか? 作中の探偵役自身が、この議論を持ち出しているのである。自分を含め、多くの本格ファンはこう考えるだろう。それを言っては野暮というものよ。敢えて突っ込まないのがファンというもの。
本作は、「雪の山荘」における内部犯問題に、真っ向から立ち向かった作品と言えるだろう。内部犯というリスクを冒すことに、合理性を持たせることはできるのか? 本作の登場人物の多くは初対面である。怨恨という線は最初から排除されている。
事件を引き寄せる体質を自覚している探偵役が、わざわざ舞台となる魔眼の匣に出向く。何も起きないわけがないではないか。そこで出会った中には、ある能力を有する者がいた。一応触れずにおくが、この能力こそ本作の肝である。
前作は、「雪の山荘」に非現実的要素を組み合わせて、行動に説得性を持たせることに成功していた。本作も、当事者からすれば止むに止まれず…なのだろうけども、当事者ではない一読者には、ピンとこなかったのが正直なところである。この手の話を、自分自身が信じていないし、ほとんどの読者が信じていないだろう。
当事者にとっては合理性があったのだ。そうとしか言いようがない。最後の最後に明かされた事実が、多少は納得性を高めてくれたかどうか。前作ほどの設定上の妙がない分、ロジックで勝負している点は、大いに買いたいところだが。
個人的に最もつぼにはまったのは、ちょっと苦しいアリバイの説明だった。次回作も読んでみたいと思う。
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前作『屍人荘の殺人』では本格ミステリながら一般読者層にも売れ、映画化・コミック化と、本格ミステリ界のニューヒーローとなりました。
二作目へプレッシャーは半端なものではなかったと思います。
しかしながら、それを跳ね除ける素晴らしい作品をまた世に出してくれたのです。
前作では特殊設定と本格ミステリ融合という魔新しい組み合わせに加え、圧倒的なリービタリティ。主人公とヒロインの軽快な掛け合いなど、非常に満足な出来だったのですが、論理の甘さの部分がちょっと気になりました。
今作ではその論理が!!論理がね!!
これはやられましたね。
作者も意識して書いたと思います。本格ミステリとして納得のロジックと伏線回収。さらには驚きの後半の展開ですよ。まんまと騙されました。
今回のポイント
①特殊設定
予言者を登場させています。死の予言という避けることの出来ない未来が待っている中で一体だれが殺しているかという謎が大いに魅力的でした。
②比留子
私は基本的に小説の中でイチャラブが苦手です。しかしながら探偵比留子と主人公葉村は見守りたくなる関係性で、物語の邪魔になっていない。それどころか重要なキーでもあったりするので、作者の書き方が巧みなんでしょうね。
③ロジック
ド本格なのがド感動でド好感が持てましたね。一般層に媚びていない。
仕掛けの多さは三津田信三を思い浮かべるほどでした。
真相は解けないものではない。といいつつ完敗…
私の糞推理はいつか披露したいところです…
王道の本格で安心した。
(某新人作家は前作といいまたしてもテーマが被るというね…)
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前作がそれはもう面白かったので、期待のハードルもぐんぐん上がって発売を楽しみにしていた「魔眼の匣の殺人」
期待以上の面白さだった。続編ということで、前作のような序盤のどんでん返しは無いものの、緻密に考え抜かれたトリックが解かれていくときの爽快感は前作以上かも。トリックからの種明かしも綺麗にだまされたので悔しいw
そしてどんどん比留子さんが可愛くなってゆく…ラブコメ度も増していって、いいぞいいぞどんどんやって…!!
サイン会で先生ご本人ともお話しさせて頂いたけど、今後についてとても意欲的にお話ししておられたし、斑目機関を追う2人のストーリーがどんどん読みたい。どんどんハードル上がって大変だと思うけども。
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かつて斑目機関により旧真雁地区の施設で超能力研究が行われていた、という情報を入手した比留子さんと葉村は、二人でその真雁地区を訪れます。そして、サキミの住む『魔眼の匣』へと行き、サキミから「十一月最後の二日間に、真雁で男女が二人ずつ、四人死ぬ」(p70)と予言されます。
その後橋が燃やされ、比留子さんと葉村も、真雁に取り残されてしまいます。人形が減るとともに、人が死んでいきますが、本当に四人死んでしまうのか、誰がどうして殺しているのか、予言との関連は何なのか、不思議でした。
非現実的とも思われる予言の力と、ミステリが融合したおもしろい作品でした。
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驚嘆するしかなかったデビュー作に続く第2弾。前作を踏まえての話になっているので、ここから読むと分かり難い。
今作もクローズドサークル物であるが、閉じ込められた状況のインパクトは前作に及ばない。それでも、「二日間の内に男女二人ずつ死ぬ」との予言と、実際に一人一人と死んでいき、読者に緊張感を保たせる構成が抜群に巧い。その中で伏線も張られているし、こういう動機も今までに無く新鮮に感じた。
この作者、本格ミステリを書く為に生まれてきた人じゃないのだろうか?
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前作『屍人荘の殺人』にはまった人なら絶対楽しめるはず。葉村と比留子さんの関係性がより深まりちょっとラノベみたいな展開でもあるんだけど、基本はしっかりと本格ミステリで、そこへ“超能力“という変化球を絡めてくるので飽きさせない。お馴染みの解りやすい登場人物紹介も好き。