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街場の哲学者フレド・ニューマンの実践しているソーシャルセラピーについてのお話。ソーシャルセラピーの考え方や実践が,実際の実践例とともに紹介されている。
ただ,ソーシャルセラピーの考え方はなかなかすっとは入ってこない。おそらく実践を通して体験するしかないのかもしれない。それを表すかのように,各章の最後に「エクササイズ」が付いている。なかなか実践するのが難しいエクササイズである。
たとえば,「ゲットの文化とギブの心」の最後に載せられたエクササイズは以下。
|エクササイズ|
ここには,ギブがどのようなものなのかをもっと理解するためのエクササイズを示しました。
A 何もお返しが期待できないような相手を選んで,「まったく何の理由もなく」突然にギブしてみてください。
B 次の「新しい感情を混ぜ合わせる」ためのエクササイズをしてみてください。
1 普通は馬鹿げたことをしないような場面で,馬鹿げたことをやってみてください。
2 自分でしでかしたミスを見つけて,それを楽しんでみてください。
3 愛している恋人や奥さんと,もう一回恋に落ちてみてください。
(以上)
ニューマンの考え方,あるいは,ソーシャルセラピーを知るのはなかなか一筋縄ではないかない。本書を読んで「エクササイズ」を実践してみて少しずつ「体験」していくしかないのだと思う。
今後,おそらくニューマンに関連する書籍がいくつか翻訳されると思うので(たとえば,『レフ・ヴィゴツキー:革命的科学者(伊藤崇・川俣智路 訳, 新曜社,近刊)』),それらも読みながらニューマン哲学とともに発達していきたい。