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ジャック・アタリの『危機とサバイバル』、堤未果の『日本が売られる』、森永卓郎の『なぜ日本だけが成長できないのか 』などを読んでいると、どうしても世界や未来に対して悲観的になってしまうので、この本を手にとってみた。
世界各国の人々の所得、健康、教育などのデータを軸にして、すでに我々が持っている先入観を修正しながら、世界を正しく理解して知識をアップデートしていくための「構え」についての本。
以下の10の「思い込み」・・・つまり人間の本能的なバイアスについて傾向と対策が記されている。私としては①②⑩に強い自覚があるので、これからニュースや情報に触れる時には十分に気をつけたい。
①分断本能
「世界は分断されている」という思い込み
②ネガティブ本能
「世界がどんどん悪くなっている」という思い込み
③直線本能
「世界の人口はひたすら増える」という思い込み
④恐怖本能
「実は危険でないことを恐ろしい」と考えてしまう思い込み
⑤過大視本能
「目の前の数字がいちばん重要」という思い込み
⑥パターン化本能
「ひとつの例にすべてがあてはまる」という思い込み
⑦宿命本能
「すべてはあらかじめ決まっている」という思い込み⑧単純化本能
「世界はひとつの切り口で理解できる」という思い込み
⑨犯人捜し本能
「だれかを責めれば物事は解決する」という思い込み
⑩焦り本能
「いますぐ手を打たないと大変なことになる」という思い込み
文章はユーモアに富んでいて非常に読みやすく、図表の類が分かりやすくて素晴らしい。そして各章の盛り込まれている著者の世界各地での実体験やエピソードが活き活き語られていて、読み物としてもとても優れた本である。
著者が末期のすい臓がんの闘病中に、わずかな余命の中で執筆していた(実際には未完のまま亡くなられて協働していた家族が完成させた)というエピソードを知るにつけ、「ファクトフルネス」という概念、真実とデータを重んじる事の尊さが再認識される。
我が国の真実とデータの取り扱いが如何に残念な状況かということも含めて、だ。
そして、本書の冒頭にあるように世界の貧困率はここ20年で大きく改善しているという。極度の貧困の中で暮らす人々の割合は、20年前には世界の人口の29%だったが、現在は9%まで下がっている。
地球規模のマクロな視点ではそういった改善が見られるが、足元の日本国内に目を向けると、そんなトレンドに乗っているようには思えない。著者は「旧式な西洋諸国の考え」が時代遅れで間違ったものになっていると警句を繰り返しているが、日本でも増えないパイの再分配がうまくいかず、貧困層の拡大が起きているようで、やっぱり暗い気持ちになってしまった。
エビデンスベースで政策決定をできない国だからと諦めていいものだろうか。
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ここに書かれている本能は当てはまるものがあると感じるのがいくつかある。事実に基づき意思決定、アドバイスができるようになるためにも一次情報に触れるのを忘れずにしたい。
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思い込みによって世界の捉え方が変わってしまうことを教えてくれる一冊。
正しいデータを見ること、データを正しく見ることが如何に大事であるかを様々な事例を基に解説してします。
本書に記載されている10のチェックリストを常に意識して物事を見るようにしたいと思います。
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データに基づいた数字や事実へ目を向けて、世界を正しく見る。当たり前と言えば当たり前なのだけれど、実はこれ、言うは易く行うは難し。
本書の「イントロダクション」にある13の三択問題のうち、ワタシが正解したのはたったの4問。でも、どうやら教養人と言われている人でも同じような正解率で、ランダムに選択肢を選ぶチンパンジーの33%より低い。この要因はズバリ思い込みというバイアスで、TEDでおなじみの著者はこれを人間が持つ10の本能に読み替えて、解説と対策を論じている。「分断本能」の項などは、かの国の大統領にぜひ読んでいただきたいところ。
ニュースもネットだけという人も少なくない中、天国にいる著者の懸念は、ますます深くなっているように思う。著者の論では、世界の雑音から自身を守るために、人間は「関心フィルター」を備えているが、本能を刺激する情報はフィルター上にある穴を通り抜けてくるらしい。これをふまえて考えてみると、情報源などをネットだけに頼ったとき、自分の関心のあるニュースばかり読んで、関心の低い情報はフィルターどころか、かの国の大統領のように壁を作ってシャットダウンしてしまう危険性が生じる。こうなると、視野はますます狭くなって、「世界を正しく見る」ということから離れる一方ではないか、という気がしてくる。
話が本書のことから大きくそれたついでに、もう一つ。
著者の指摘は人間関係にも当てはまることではないかと。噂(特に悪い噂)の多い人というのは、どこにでもいるけれども、実際に会ってみたら実は全然悪い人ではなかった、という経験はままある。確かに噂が立つような要因は過去にあったのかもしれない。でも、そこは著者が指摘するように数字やデータは常に変動するものなのだから、常に知識をアップデートして、無駄で不要な思い込みは消し去る努力をすべきところなんだろう。
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優秀な人にも関わらず何故チンパンジーよりも質問に対する正解率が低くなってしまうのか?を説明している本。人間が持つ10の本能が大きく影響している事を分かりやすい事例に基づき説明している。
自分にとっては目から鱗が落ちるようだった。
10の本能を念頭において、事実に基づいた判断をして問題を解決していきたい。
1.分断本能
2.ネガティブ本能
3.直線本能
4.恐怖本能
5.過大視本能
6.パターン化本能
7.宿命本能
8.単純化本能
9.犯人捜し本能
10.焦り本能
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平易だけど、難しい。
ありとあらゆるものは常に変わり続けているけれど、
私たちの思考や視点はともすれば偏った方向に固定化されがち。
この本はその事実にマクロな視点から気づかせてくれます。
大切なのは、情報と同じように、自分を批判的に見ること。
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とても内容のある読み応えがあった本である。
人には10の本能があり、それらを抑えることで世界の真実が見えてくる。最初に問いかけられた問題を初めて考えたときに世界は悪い方向に傾いてる、世界には裕福と貧困の二つに分断されているなど考えていたが、それらが全て自身の本能から起こる勘違いだと気付かされた。
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とても面白い本でした。
ファクトフルネスを自分なりに整理すると、データに基づいて真実を見ること、10の本能にとらわれないこと、なのかなと思っています。
人間誰しも完璧な意思決定は出来ないと思いますが、本書ど紹介されている10の本能を意識することが予防に繋がるのでしょう。
大学の教養課程とかで読みたい本でした。(もちろん今でも十分楽しめました)
強いて言うなら、マクロの話とミクロの話がごちゃごちゃしてるような感じはしましたが、まぁ些細なことです。
満足のいく本でしたが、あとがきにもあるとおり、ファクトフルネスの実践には訓練が必要そうです。
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危機の時期の今だからこそ読むべき本。
この本のメインテーマ事実を正しく見よというメッセージを厳しく受け止めるべきである。
・自分と他者を分ける分断思考。
・未来は悪くなるというネガティブ思考。
・悪い方、事件性にばかり目を向ける偏見、バイアス思考。
これら、コレラショックでパニックになっている現在、至るところに見受けられる。
短期的にネガティブな結果になるのは否めない。
かといって終末思考のように永遠にネガティブな状況が続くと考えるのは、
事実を見ない自分を甘やかす態度である。
むしろ未来はこの事実に対峙したことによって良くなっていく。
長期的なトレンドとして経済は良い方向に向かう。
歴史は困難と課題の克服の営みであるということを考えれば、
各自ができることをやっていくのが未来を切り開いていくことだということが分かる。
知識から知恵に。
書物から揺るぎない自分の思考に昇華することを改めて教えてくれる。
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難解な本かと思いきや、とにもかくにも読みやすい。
普段ビジネス書籍をあまり読まない私でもさらさらと読める。
データデータなのかなと思いきや、筆者のエピソードや心理学の要素も多いからかな。
ともかく目から鱗。
ビジネス界隈や起業界隈の人たちはもちろん読むべきだし、子どもをもつ親も読むべきだし、これから社会に出る学生さんも読むべきだし、私はそのどれにも属さないけどそれでも世界の見方が変わるので、みーんな読んだらいいのにな~
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Amazonさんの売り上げランキングでも一位になった話題の一冊。
データを基にして世界を正しく見る習慣について書かれているが、世界情勢に限らず、データを基にしてあらゆる事柄に対して先入観(バイアス)に振り回されないように向き合うために必要なことが書かれています。
データリテラシー、統計リテラシーの類は他の本でもいろいろと記されているところですが、本書はそれらが具体的な著者の豊富なエピソードを交えて、的確な日本語訳によって書かれていることで、400ページ近いボリュームであるにもかかわらず読み進めやすかったように感じました。
著者(故人)のTEDトークや、ギャップマインダーと呼ばれるアニメーションを伴ったバルブチャートグラフ等はwebにて実際に目にしていただくことでより一層理解が進むと思います。
本書では、訳者のうちの一名である上杉周作様とはtwitterを通じて本が手に届く前からやり取りをさせていただく機会をいただきました。
本の出版にかかわられた方とSNSにてコミュニケーションを取りつつ本を読むという体験は私にとって大変新鮮なものでした。新しいスタイルの読書を経験することができました。
付箋は、大量の42枚付きました。
なお、本書の内容とは異なりますが、ちょうど本書を読み進めている時に複数の省庁の実施している統計調査に相次いで不適切な調査が行われた旨の報道がありました(現在も調査は継続中のようです)。
「データを基にして」という、その大前提の素材が適切でないのでは、分析もなにもあったものではありません。
その一方で、こういったデータの信憑性といった切り口についても一定の不確実さがありうることすら頭に入れてデータに向き合うということが真のファクトフルネスに通じるのかとも思った次第です。
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人間の目はバイアスあり。
それは治すことは難しいので、ファクトに基づく姿勢が大切。
あと常に知識をアップデートすることも必要だ。
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我々は、世界はどんどん悪くなっていると思いがちだが、実はそうではない。基本的に、世界はよくなっている。赤ちゃんが死ぬことは減り、女性も教育を受け、誰もが電気を使い、予防接種を受けられるようになっており、自然災害で命を落とすことも少なくなった。
もちろん世界にはまだまだ問題がある。だが、現状で悪いということと、変化として良くなっていることは両立する。
事実に基づき、
思い込みを排してみれば、
世界はよくなっている。
人々は豊かになっている。
本書は希望を与える。
思い込みのあり方を10の「本能」に整理する。
このようなバイアスを持っていることは進化の結果のように思うが、そう進化してきた野生のヒトと、複雑な社会システムを築き、テクノロジーで自然の進化とは違う道を走っている人間との乖離が、思い込みと事実のギャップを生み出しているのであろう。
社会的に影響力のある、なんらかの意思決定に関わる人、そうなるつもりの人は、すべからく本書を読むことを勧めたい。
今すぐ、でなくていいけどね。
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「サピエンス全史」でユニークな視点に刺激を受け、「葉桜の季節に君を想うということ」で固定観念が誤った世界を作り出してしまうことを思い知った。
「知ってるつもり―無知の科学」で身近な物事ですらまともに説明できないことを強く自覚させられた。
そして、この本。
昔の常識がそのまま今の常識と勘違いしたままの、真実ではない間違った思い込みを改め、世界の本当の姿の見方を教えてくれる。
社会と経済が進歩すれば文化や価値観が変わる。
日本が変わっているのは体験によって実感しているが、世界の大きな変化に気づくのは遅れがちだ。
なので、世界の中で日本はどうあるべきかの判断を誤るのだ。(多くの先進国も同じだろうが、、)
アフリカの成長具合などは、日本より中国の方がよっぽど見えているのではと感じる。
「正確で重要なデータにこだわろう。」「最新のデータに基づく世界の見方を子供たちに教えるべきだ。」と著者は言う。
そのためには、データそのものの信頼性と、データを計測し発表する人達の信頼性を守ることが効果的な判断をする上でとても大切になる。
ただ、最近の日本の統計データは信用度が低下しており、本当にそうなの?という不安がつきまとうのが残念でならない。
「メディアを信じて世界の姿を決めつけてはいけない。」とも著者は言う。
じゃあ何を頼ったらいい?
日本のメディアだけでは偏るのは間違いない、他国のニュースも時々覗いてみよう。
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本書を読むと、世界動向を見るとき、私達は思いの外間違った認識をしている場合が多いことに気付かされる。データを正しく捉えて、誤った認識に陥らないためのヒントを本書から学べる。冒頭に13の設問に答えるのだが、私は2問の正解しか得られなかった。本書で学んだので、今では全問正解できるようになった。この全問正解した認識を定期的にデータを確認してアップデートしていかないと、いつかまた思い込みと言われるような認識を誤ることになってしまう。なので、本書で紹介されている10の思い込みを意識し、データを確認する習慣を身につけたいと思った。