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1.子ども
■★直野祥子「はじめての家族旅行」少女漫画棚……斎藤真理子さんの忘れじの一品だそうだが、確かにこりゃトラウマだ。子どもの頃はこういうことばっかり考えてくよくよしていたが、それが絵になると。
■原民喜「気絶人形」児童文学棚……感じやすさから自分を守るすべが、幼いものにはないのだ。これはつらい。
2.思春期
■★李清俊、斎藤真理子訳「テレビの受信料とパンツ」韓国文学棚……これは地味ーに滑稽ーで厭ーな感触。忘れがたい父さんだ。「大人は判ってくれない」だけでなく、確かに「大人がわからない」という思春期の感じ方もあるけど、35を超え、もはや読みながらこの父親が他人に思えなくなくなっている。
■フィリップ・K・ディック、品川亮訳「なりかわり」SF棚……自分は自分じゃないかもしれない、という思春期特有の悩みを、周囲が押しつけてくる、という恐怖。
3.青年期
■筒井康隆「走る取的」追いかけられホラー棚……わが少年時のトラウマの一品。夜の電車の窓からこちらを睨みつけている、とか。なんとなく自宅まで押し入ってくるような記憶もあったが、たぶん「傷ついたのは誰の心」と混じっているな。
■★大江健三郎「運搬」現代文学棚……即物的な肉、のように自分たちが思えてくる。この徒労感。さすが大江。
4.大人
■★フラナリー・オコナー、品川亮訳「田舎の善人」アメリカ南部文学棚……自分のナイーブな部分をごそっと持っていかれたらさぞかし辛かろう。これは厭な感じぷんぷん匂う。
■深沢七郎「絢爛の椅子」昭和文学棚……文体の稚拙さが、少年の知性を表しているようだ。そしてまた淡々と行う殺人への無感動も、文から立ち上がってくる。偽犯人のくだりは確かドストにもあったな。
5.中年期
■★フョードル・ドストエフスキー、秋草俊一郎訳「不思議な客」ロシア文学棚……ドスト特有の苛々。ここにはやっぱりロシア人がいる、という感覚。
■白土三平「野犬」劇画棚……非常とはこのこと。
6.老年期
■夏目漱石「首懸の松」明治文学棚……本来はユーモラスな一節だが、確かにここだけ切り取ってみると「ああ、これで心おきなく首が縊れる」と思わせる松の枝の、凄まじい惹きつけ力よ。
■アレクサンドル・ソルジェニーツィン、秋草俊一郎訳「たき火とアリ」ソビエト文学棚……まあ、国家と人民のこと。
・.喫茶室TRAUMA 番外編
■頭木弘樹「誰も招待をつきとめられなかった幻のトラウマドラマ」……というドラマを知りませんか、というネットの書き込みっぽい。
■一作品ごとの丁寧な作品解説。
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何とかなって欲しい時に何ともならない絶望。
これは知っておくに越したことはない。
知る事で現実の機微な幸運に気づけるようになる。
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自分の場合、小学生くらいの頃に読んだものがトラウマになることが多い。図書館で借りた怖い話とかいまだに覚えていたり。この本で言うと、「はじめての家族旅行」が強烈。こういう変な話って、最近は目にすることがなくなった気がする。
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トラウマって人それぞれだと思うんだけど、編者とイマイチ感性が合わず…どの話も嫌感があんまりなかった。
ディックのimpostorは多分うんと昔に別訳で読んだことがあるのを覚えてる…ってことはトラウマになってる?
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酷いけどちょっと笑ってしまうタイトル。
好きなフラナリー・オコナーもよかったし、李清俊も面白かった。白土三平、夏目漱石もひしひしと迫る。そして、ソルジェニーツィン。
酷いのに何故か心に残っている話というのはあるもので。
世の中やジンセイは、やっぱり理不尽だったり説明がつかなかったりということでえてしてあるものですよね。
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誰しも、子供の頃などに読んで、トラウマのようになってしまっている物語があるもの。そんな物語ばかりが集めてある文学館。ここを訪れてしまったら、出てくるときには、もう前と同じ自分ではいられない…。(e-honより)
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ひどい話や胸くそが悪くなる話ばかり。
思わず空を仰ぎたくなる事もしばしば。
ただ、それが心地よいと思える瞬間も。
精神的に余裕がある時に読んだ方が良さそう。
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間違いなくトラウマになってしまう12の物語を集めたアンソロジー。
「絶望図書館」「絶望書店」に続き、今回はトラウマ。
「元気なときにお読み下さい」との注記。
前2作は絶望の中にある時に寄り添ってくれる作品たちばかりで、本当に絶望する作品は挙げられていなかった。だけど今回は、本当にトラウマが植え付けられる作品ばかり。
その物語が描くのは、紛れもない〝現実〟だ。
まず初っ端の漫画「はじめての家族旅行」(直野祥子)からとばすとばす。
1971年、『なかよし』に掲載された作品。
神さまなんていないし現実は子どもにも容赦ない。これ子どものころ読んだら本気でトラウマになってしばらく夜眠れなくなると思う。
「なりかわり」(フィリップ・K・ディック)もバチバチに怖くてよかったな。
SFならではの恐ろしさを遺憾無く発揮している。
「自分は間違いなく本物の自分である」という証明は誰にもできないのだ。
ほかにもズーンと心に重くのしかかる作品がたくさん。
元気なときに読んでよかった。
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読んだ人の心にトラウマとなって残ってしまっているであろう12の物語が掲載されている本。
一番最初に掲載されている、直野祥子さんの漫画「はじめての家族旅行」がシンプルながら心に残って消えない、まさにトラウマを植え付けられる作品でした。
24Pの漫画でここまで心にグサリと刺さってくる表現ができるのは、直野祥子さんは知らなかったけど凄い才能の持ち主なのだと感じます。
直野祥子さんの他の作品も読みたいと思って探したけれど、amazonでもメルカリでもなんと取り扱いがなし。。。
直野祥子さんの漫画がもっと読みたい…。どうすれば読めるのでしょう…?誰か教えてください。
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まず冒頭の漫画、「はじめての家族」がものすごく恐怖の話である。私としては、韓国の話「テレビの受信料とパンツ」がえげつなくて印象的。NHKとの攻防戦をしている人もこういう感じなのかも。