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表題を含む6つの短編集。
わたしは
白いセーター
モグラハウスの扉
がとくに好き。
モグラハウスのみっこ先生が怖くて...怖いというか現実にもいそうだし、
なんだろ、こういう人、現実を受け入れず妄想のような世界で生きている人いるなって思った。怖い。
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今村夏子の最新作。
『モグラハウスの扉』、表題作『父と私の桜尾通り商店街』の2作のラストシーンに顕著だが、ギリギリまで留まっていた最後の一線をいとも簡単に超えてしまう妙なリアリティが面白い。
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白いセーター、モグラハウスの扉、表題作の父と私の桜尾通り商店街が特に良かった。心がざわつく時もあれば、どこか少しほっこりする時もあった。…のだが、果たして本当に心がほっこり描写なのかは著者のみが知る。
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不器用でまっすぐでちょっと壊れちゃったように不可思議な人たちの話。にもかかわらずいきいきとした登場人物ばかりで、ジメジメしないユーモアがあって染み入るような文章が心地よい。やっぱり面白かった。
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違和感凄い
変な人(?)たちのおはなし
非現実的なおはなしも
短編集
ちょっと私には理解できない世界
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表紙が鮮やかで目を引き、作風を知らずに手に取った。
少しずれた(独特の世界観を持った)人々の話。スッキリするようなものではなく、記憶の隅にうっすら残り続けるようなエピソードたち。
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今回も、パッと見どうってことない冴えない普通の人の、常軌を逸した一面みたいなものが、さりげなく巧みに描かれていた。
表題作も一歩間違えば?ほのぼの系のいい話になりそうなところをさらりとかわして「え、ちょっとゾッとする」っていう風になっている。この不気味さ加減(すごく恐ろしいというのでなく、私たちの日常に含まれていて深く追求してはいけない気持ち悪さ)が絶妙。この加減を映像化するのは不可能で、そこが魅力。
「モグラハウスの扉」のラストなんか、「もう、行っちゃえ行っちゃえ、行きたいところまで!」と異常を応援したくなった。いいじゃん、そうした方が幸せなんだもの。常識なんてくそ食らえだ、人がどう思おうと知ったことか、誰にも迷惑かけてないだろ!と。(これ、芸能人と付き合ってるという妄想を話すホステスの話の時も思った。『こちらあみ子』に入っていたような。)
「ひょうたんの精」「せとのママの誕生日」は幻想的要素が強かった。
「白いセーター」の語り手のような、自分が尊重されていないことに(いままでどんな場面でも尊重されたことがないので)気づかないような人を書くのも巧い。
不気味さは「あひる」より低いけど、より「まともと異常の皮一枚の差」に近づいた感じ。
次回作も楽しみ。好きだ、今村夏子。
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調和を破るという事態が、現実にはたまに起きます。
それまで会話が弾んでいたのに、突如、友人が怒り出す。
あるいは楽しく食事していたと思ったら、急に恋人が泣き出す。
本書は、そんな日常に生じた、いわば「亀裂」を丁寧にすくい取ります。
思えば空気を読むことに慣れた現代日本人には、これほどの恐怖はありません。
たとえば、「ルルちゃん」。
主人公は契約社員の「わたし」です。
「わたし」は、「ルルちゃん」と呼ばれる人形を持っています。
同僚のベトナム人に、「ルルちゃん」が我が家にやって来たいきさつを語るのが、この短篇の本筋です。
ルルちゃんは、10年前に「わたし」のうちに来ました。
当時、「わたし」は、今とは別の工場で働いていて、休みといえば図書館に通い詰めでした。
その図書館で出会ったのが、1回り年上の、40歳前後と見られる「安田さん」という女性です。
どうやら大変に温厚な人柄のようです。
安田さんは夫と2人暮らしで、生活レベルも割合高い。
ある日、「わたし」は、安田さんの自宅に招かれます。
夫は不在で、安田さんと2人きりです。
それで、カレーライスをごちそうされるのですが、「わたし」一人で食べることになります(もう、ここから少しおかしい)。
会話は虐待問題で盛り上がります。
安田さんは、虐待する人を「許せない」と言って、だんだんヒートアップしていきます。
そして、あの一言。
家の中が、シンと静まり返るのが目に浮かびました。
「白いセーター」もそう。
クリスマスイブの日、義理の姉に用事ができ、姉の4人の子どもたちを預かることになった主人公の「わたし」。
よくあると言えば、よくあることです。
「わたし」と4人の子どもたちは、義理の姉の発案で、教会へ行きます。
厳粛な式の最中に子どもの一人が叫び出し、「わたし」はたまらずその子の口をふさぎ、それでも暴れるので鼻もつまみます。
この行動が後に、「わたし」を窮地に陥れることになります。
義理の姉の前で、子どもたちから、この時とった行動を告発されるのです。
ここでも、読む者に恐怖を催させる一言が、子どもの一人から発せられます。
これも、ありそう。
しかも、作中、一度生じた「ズレ」は、容易には元に戻りません。
元に戻らないどころか、どんどんズレていきます。
たとえば、「せとのママの誕生日」です。
かつてスナックで働いていたホステス3人が、年老いたママの誕生日を祝おうと、その店に集まります(その設定からして少々変わっているのですが)。
だが、ママはぐっすりと眠りこけていて起きない。
そこでホステス3人は思い出話に興じます。
「出べそ」のホステスは、それを商売道具にするようママに命じられ、実際にそれに従ったと告白します。
出べそを手術で切除すると、ママは怒ったそう。
もう1人のホステスは、店の得意客が悦ぶよう、カラオケで絶叫の合いの手を入れるようママに強要されたと打ち明けます。
だが、なかなか、良い「絶叫」が出来ない。
ママがホステスの頬をつねっても、鼻をつねっても、腹をつねっても、ママが納得する絶叫が出て来ないのです。
ところが、乳首をつねった時でした。
「ギャッ」という、なかなかに良い声が出たのです。
2人はハッとして顔を見合わせました。
ただ、じゃあ長くつねれば叫び声も長くなるかというと、そうではありません。
ホステスは、クッと声を発してから、歯を食いしばってしまうのです。
ママは首をかしげてしばし考えてから、こたつの部屋に行き、ペンチを手にして戻ってきました(このあたりの筆の運び方のうまさったら!)。
そして、ペンチでいじくり回された乳首は両方ともポロリと取れてしまうのです。
3人の思い出話は止まりません。
既に店を辞めたホステスたちが、次から次へと出てきます。
みんな、ママとは、身体に関わる思い出を持っています。
ママによって、自分の身体から離れることになった、かつては自分の身体の一部だった「モノ」たちが語られます。
その身体の一部だった「モノ」たちを、3人は熟睡するママの身体に貼り付けていきます。
もう怒濤のような展開に、クラクラとめまいがしてきます。
読後、ふと我に返ります。
なぜ、こんなことになったのか…。
そう、あの亀裂に足をすくわれてしまったのです。
おお、こわ。
表題作も佳品。
今村夏子はいま、私の一番のフェイバリットです。
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+++
違和感を抱えて生きるすべての人へ。不器用な「私たち」の物語。
桜尾通り商店街の外れでパン屋を営む父と、娘の「私」。うまく立ち回ることがきず、商店街の人々からつまはじきにされていた二人だが、「私」がコッペパンをサンドイッチにして並べはじめたことで予想外の評判を呼んでしまい……。(「父と私の桜尾通り商店街」)
全国大会を目指すチアリーディングチームのなかで、誰よりも高く飛んだなるみ先輩。かつてのトップで、いまは見る影もないなるみ先輩にはある秘密があった。(「ひょうたんの精」)
平凡な日常は二転三転して驚きの結末へ。
『こちらあみ子』『あひる』『星の子』と、作品を発表するたびに読む者の心をざわめかせ続ける著者の、最新作品集!
収録作品
・白いセーター
・ルルちゃん
・ひょうたんの精
・せとのママの誕生日
・モグラハウスの扉(書き下ろし)
・父と私の桜尾通り商店街
+++
タイトルや表紙から想像するのどかさとはいささか趣が違う物語たちである。それぞれにとってごく普通に流れていくはずの日常に、ほんの些細な要素が入り込むことによって、違和感が生じ、初めはぽつんとした点のようだったそれが、じわりじわりと広がっていって、日常そのものを侵食していくようなイメージである。何かが違う、と思った時はすでに遅く、後戻りできずに進むしかない。ほんの半歩違う方向に足を踏み出せば、健やかな流れに乗れそうなのに、それはとてつもなく難しいことなのかもしれない。何となく胸のなかがざわついた感じにさせられる一冊である。
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とても不思議な短編集。
なんだかとても不器用な人たち(生きていくということについて)の話。
ただそんな人たちがとても身近にいるような気がしました。そしてとても愛されるべき存在な気がします。
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白いセーター
ルルちゃん
ひょうたんの精
せとのママの誕生日
モグラハウスの扉
父と私の桜尾通り商店街
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なんて不気味な話ばかり。
よくこんな小説が書けるなー
すごい。
今までの作品より不気味さが増したような。
元気な時に読みたい。
後味わるめ
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なんとまあブラックな。
不気味で露悪的にも感じられるのだけど、狙っているわけではなくてイノセントな読感もあるのが独特。
『白いセーター』
子どもの狡さに翻弄される様のリアリティ。
一番好きかも。
『ルルちゃん』
なんだかホラーな感じ。
『ひょうたんの精』
シュールなSF調。
美醜に対するアイロニーも感じられる。
『せとのママの誕生日』
これが一番ブラック。
というか、通り越してコメディ。
コントを眺めているよう。
『モグラハウスの扉』
ノスタルジックな後味。
『父と私の桜尾通り商店街』
タイトルから感じられるリリシズムとは程遠い切なさ。
でもちょっとハートウォーミング。
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なんだか訳が分からないけれど結構好き。僕にとってそういう作家です。
「星の子」は宗教狂いの親と子供事書いているのに、全く陰惨さが無くてなんだこりゃと思っていました。名作とは思わないけれど妙に頭に残っている本になりました。
「こちらあみ子」はちょっと胸が痛かったけれども。
本作は短編集でなんという事も無くさらりと読めたけれど、精神の均衡を失っている人の話ばっかりで、何気ない見た目の皮一枚剥がすと異世界な感じです。
表題作が一番好きです。充分異世界ですけど。
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今村夏子ワールド。
どこか可笑しみのある不思議なストーリー。
この短編集も各々趣きがあって好きですね。
小説のなかでみんなが健気に生きている。