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『父が娘に語る経済の話』評判通りのスゴ本だった。平易なことを難解に語ることは簡単だけれど、難解なことを平易に語るのは困難だ。なのに、この本は貨幣や資本主義、この社会を駆動する根本の仕組みをシンプルに、のめり込ませるような物語構成で一気読みさせる。
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現代の経済システムの根底にあるものを教えてくれる一冊でした。今の経済の矛盾がどう生まれたかについても、簡潔に教えてくれます。
ただ、後半の方は少し退屈に感じられました。
面白かった点
1.西洋人が優秀なのではなく、作物が育ちやすい地域・環境が余剰を作り、余剰が経済を作り出した。
2.宗教革命後、借金に対する考え方が変化した。そのため、特に産業革命後において「借金」が「富」を生み出す世界へ変わっていった。
3.経営者の雇用に対する考え方は狩人のジレンマと同じであり、単純なものではない。
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数字がとことん嫌いな私が、物語のようにするすると読めた経済学の良書。
経済学者を「科学者」よりではなく「哲学者」よりの存在だとするだけで、経済学がぐっと身近になる。
著者が10代半ばの娘に語るという設定が何より秀逸。
池上彰もそうだが、この年頃の子どもにわかるように、社会の大事なことを解説した本には、わかりやすく面白いものが多い。
「誰でも科学者になれる」とは言えないけれど、「誰でも哲学者にはなれる」かもしれない。
経済のことは、難しくてわからないからと他人に任せるのではなく、自分もそれに関わる一員なのだと目が覚める思いである。
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序盤はなぜ経済が生まれ格差が拡がっていったのかが大変にわかりやすく書かれていてタメなった。
人々がより良い暮らしを追求し続ける限り、格差は無くならないんだろうなぁ。しかしそのことへ少しでも心を痛めたり、考えたりすることが大事なのだと教えてくれた気がする。
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確かに読みやすく、経済を語る上で必要な情報は網羅してあって、それを解説してくれているので納得感や気付きを得られる一冊になっています。お薦めです。
資本主義という言葉を使わず、”市場”社会を見つめる事で、現代の経済システムの構造と問題点、詭弁と欺瞞を露わにする手法は、読み手に「難しい」という逃げ場を作らず、疑う事・知る事・自分の考えを持つ事の重要性について考えさせるつくりになっているので、「娘」に語る方式ながら、全員に考えさせるうまい方式だと感心しました。
我々の経済システムは良くはないが、それに支配されている。
それは格差を生み出すが、我々も受け入れている部分はある。
さて、どうあるべきで、我々はどう動く?
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市場社会の交換価値。全てに値段をつける世の中には、思いやりがないと思う。
自分を守りたいという短期的な衝動に勝てない。人間らしさそのものなのかもしれないが、助け合いや絆を大切にする心はあるはずだ。
分かりやすく表現しているし、そして平等とは何かを考えさせられた。面白い。
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「資本主義経済」「市場」。私たちはそのゲームルールの中でビジネスをしていながら、それが何かをうまく説明できない存在です。本書はギリシャの元財務大臣が経済とは、市場とは、なぜ格差が存在するのか?ということをわかりやすく解説してくれています。
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経済について、著者が娘宛に教えるように書かれた本です。著者の経済に対する考え方が詰まっています。お金や市場といった経済にまつわるものが、何なのかが非常に分かりやすく、それでいて簡単に済ませずに書かれています。そして過去に何があって、今の世界が出来ていて、なぜ今の世界の問題が起こっているのかに結び付けられています。ギリシャの財務大臣として問題もあった著者が、その意図するところを述べられているところは熱があり、それゆえに引き込まれないよう冷静に読む必要も感じました。それでも読後に思うのは、あのギリシャ危機について、あまりにも西欧キリスト教的な見方でみていたなと。著者の気持ちもわかるのです。
本当に正しい形は何なのか、それを考えるきっかけにも良いと思いました。
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自分の知らない新しい内容がわかりやすく書かれていたため、とても興味深い本でした。
私たちは探検をやめることはない
そしてすべての探検の終わりに
出発した場所にたどりつく
その時はじめてその場所を知る
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わりかし既知なことが多かった一方、経済が数理モデルに過ぎず、人間は最適解に落ちないために経済を読むのは難しいというカオスに触れられた。
マクロとミクロ、そのうちちゃんとやろう
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「君にはいまの怒りをそのまま持ち続けてほしい。でも、賢く戦略的に怒り続けてほしい」
「市場も民主主義であるが、富の多寡によって持つ票の数が決まる」
「私たちの探検をやめることはない。そしてすべての探検の終わりに出発した場所にたどり着く。そのとき初めてその場所を知る」
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☆5の評価だが、結論として誰がこの本を読むかということで違ってくる。
高校生や経済学部以外の大学生が経済の成り立ちを知るために読むのだったら、間違いなく良書。社会人がそれを復習するために読むにも良いだろう。
ただし、この本を読んで「経済学を勉強しようかな」って思っている人にはあまりおすすめはできない。経済学の本としてはあまりに初歩的すぎる。
自分も経済の専門家ではないが、本書で「経済学」を学ぼうと思ったら手応えがなさ過ぎると感じる。
それなりの知識を持ったビジネスマンがこの本を手に取る理由としては、「経済の仕組みを素人に説明する時に参考にするため」という理由がベストだろう。
例えば、ジャレド・ダイアモンドの名著『銃・病原菌・鉄』でも述べられている「人類の貧富の格差の発生原因」や、捕虜収容所内で捕虜達がタバコを通貨代わりに使っていたという状況を使っての「貨幣の流通や価値の変動の仕組み」の説明などは、誰が読んでも非常に分かりやすい。
本書を読むに当たって一つだけ注意する点があるとすれば、この本を読む前には必ずキアヌ・リーブス主演の映画『マトリックス』を観ておくべきだ。この本の中で『マトリックス』のシーンが何度も引用されている。
『マトリックス』は、「機械に支配された未来の人間社会」を描いたディストピア映画の古典的名作として既に認識されており、最近の欧米のビジネス書では非常に良く引用されている。
『マトリックス』を観たことが無いという人は、このレビューを読み終わったらすぐにTSUTAYAに直行すべきた。この映画はアクション娯楽作品しても最高に楽しめるので絶対に観て損は無い。
私は当時、映画館に合計4回も足を運んで『マトリックス』を観に行った。これは私の映画鑑賞歴の中で最多だ。
ちなみに第二位はリバイバル上映を含め3回映画館に観に行ったハリソン・フォード主演の古典的名作『ブレードランナー』だ。
『ブレードランナー』は、人間のために、いわゆる3K作業(きつい、汚い、危険)をさせられていたレプリカントと呼ばれる人造人間達が反乱を起こし、その作業から逃げ出したレプリカントが人間社会に逃げ込んでいるという未来社会が描かれている。
そのレプリカントを探しだし、殺すことを任務としているのが「ブレードランナー」と呼ばれている刑事達だ。
この『ブレードランナー』も本書内で何度か引用されているので、観たことが無い人は観てみるとなにか得られるものがあると思う。
『マトリックス』、『ブレードランナー』とも未来の人間のあり方をテーマとしており、非常に深い内容だが、どちらも純粋にアクション映画として楽しめるので気楽に観て欲しい。
という訳で、本のレビューなのか名作映画の紹介なのかよく分からなくなってしまったが、とりあえず本書は読み物として楽しいし、内容も読みやすく、分量も手頃で数時間で読み終えることができるので、気になった人はぜひ手に取ってみて欲しい。
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【気になった場所】
かつて、市場はあっても経済はなかった
・市場 交換の場所
言語と余剰により、経済が生まれた
・文字 農作物の余剰を記録するため
・債務と通貨 農民に支払う記録として
・国家や政府 通貨を信用させる権威として
・官僚や軍隊 支配者が繁栄を維持するため
・宗教 支配者を正当化する思想を生むため
・細菌やウイルス 衛生設備が整ってないため
土地を耕さなければ生きていけない場所でだけ、農耕が発達した
→必要に迫られて、はじめて人は動く
アフリカ、オーストラリア、南北アメリカがヨーロッパの植民地になった理由
→地理的な環境による
人間は、自分が何かを持っていると、それを当然の権利だと思ってしまう
→自分の豊かさは、貧しい彼らから奪った結果かもしれないとは思わない
→金持ちを責めても仕方ないが、格差が当たり前だと思ってほしくない
→この世界を本当に公正で理に適ったあるべき姿にするために、必要な行動を取るべき
資本主義≒市場社会
→いくらで売れるか、それがすべて
グッズと商品の違い
・商品 いくらかの金額で売るもの
→交換価値を反映した市場価格がつく
・グッズ 値段の付かないもの
→経験価値を反映したもの
例)
献血はグッズである
→献血を無償で行なっている国で、有償にしたら血液は集まりづらくなる
→誰かの命を救いたいという善意で行うため
あるゆるものが商品化し、交換価値が経験価値を打ち負かす場面が増えている
→自分のことすら市場価値で測ろうとする
生産の3要素
・生産手段or 資本財 生産に必要な物
・土地or空間 生産が行われる場所
・労働者 生産する者
生産に必要なのはグッズで、商品ではない
→ヨーロッパで造船が発達して、羅針盤が利用され、航海手段が改善
→イングランドやスコットランドで羊毛を船積みし、中国で絹と交換、日本で刀と交換、インドで香辛料と交換、イギリスに戻り何倍もの羊毛を手に入れる
→イングランドやスコットランドの領主は農奴を追い出し、土地の囲い込みを始める
→土地も道具も持たない農奴は、労働力を売って生きていくしかない
→労働力と土地が商品となる
土地を追い出された農奴は、領主から土地を借り、羊毛や作物の生産の管理をした
→先立つ資金を借りる必要があった
→借金が生産プロセスに欠かせない潤滑油となった
→利益が目的となる
→市場社会では、すべの富が借金で生まれる →富と利益を生み出す仕組みは、金融危機と破綻をも生み出す
市場社会は、生産活動のほとんどが市場を通して行われるようになる
→生産の3要素は商品となり、交換価値を持つ
イギリスで産業革命が起きた理由(諸説あり)
・軍事力がなく、貿易で豊かになるしかない
・領主は強力な中央集権の恩恵を受けていた
→農奴が立ち退きに抵抗すれば、国王が軍隊を差し向けられ��
・土地の所有権が集中
→少数の領主が同意すれば、一斉に農奴を追い出せた
市場社会は金融機関によって循環機能を失う
・金融機関はどうやって融資金を捻出する?
✖︎預金者が預けたおカネ
◯どこからともなく魔法のようにパッと出す
→対象者の口座残高を電子的に増やすだけ
銀行が簡単に融資するようになった理由
・産業革命以降、借金の額が爆発的に増えた
・銀行が損をしない方法が生まれた
→誰かに貸し付けた後、その債券を投資家に売り、貸し付け分を回収
金融危機が生まれる理由
・銀行が貸し付けを行いまくった結果、社会全体が借金漬けになり、経済の成長がそれに追いつかず、利益を出しても返済し切れない状況が生まれる
→銀行の資金繰りが不安という噂が広まり、人々が一斉に引き出そうとする
→銀行自体にすべての人に対応できるだけの現金は持ち合わせていないため、閉めざるを得なくなる
→中央銀行が、どこからともなくパッとおカネを出し、肩代わりする
借金をご破算(債務免除)するのは実務
・破産を恐れて起業家が挑戦しなくなるのを防ぐ
個人の富は国家の武力によって築かれ、維持されていた
国民が納める税金の総額<国家が国民に使う金額
→その差異を、銀行が公的債務として負担
→国債が発行され、銀行も潤う
市場社会を不安定にさせる原因(商品)
・労働力
・マネー
→車や食事と異なりそれ自体に目的はなく、あくまで目的のための手段となる商品
市場社会に潜む悪魔
・労働市場
・マネーマーケット
→社会全体が楽観的なら楽観的な憶測が現実となるが、逆もまた然り
→経済全体の先行きへの楽観と悲観に左右される
例)
・一律に賃金下げても却って失業者が増える
・金利を下げても誰もおカネを借りなくなる
マネーマーケット(短期金融市場)
=おカネを貸し借りする場所
例)
労働市場も同様
→労働者は自分の時間を貸している
テクノロジーは生産に利用される
・起業家は、起業の際にした借金返済のため利益を生み出す
・利益を生み出すには顧客を獲得する
・顧客の獲得には製品の値段を下げる
・値段を下げるには同じ賃金で大量生産する
・大量生産するためにテクノロジーが必要
どうも機械は人間のために奴隷のように働いているわけではなさそう
→むしろ人間が機械を維持するために必死に働いているように見える
価格をコスト以下に下げる3つの力
・自動化でコストが下がる
・競合との価格競争で利益は最低限になる
・需要が下がる ロボットは製品を買ってくれない
企業は自動化により、人間という要素(コスト)を排除したい
→自動化することで、却って利益を生み出せなくなるというジレンマ
→組合など労働者が自動化に抵抗することは、雇用主も含め市場社会全体の得になる
→人間性の喪失や労働力の安売りに抗う無限の力が、人間にはある
全人類に恩恵をもたらす機械の使い方
・企業が所有する機械の一部を、すべての人で共有し、恩恵も共有する
例)
ビットコイン
・マネーサプライの調整は、バブルと債務と経済成長の行き過ぎを防ぎ、同時にデフレと景気後退を退治できる
・マネーサプライへの介入は、あるゆる層の人々へ影響を与えるが、その影響が公平になることは決してない
→おカネから政治を切り離すことはできない
→解決策は、金融政策の決定過程を民主化すること
経験価値をもう一度尊重するために
・利益追求に制限をかける
→法律で定める
排出権取引の矛盾
・政府の介入なく市場の需給で運営されているように見えて、そもそもの割り当ては政府が決めている
理性あるまともな社会は、通貨とテクノロジーの管理を民主化するだけでなく、地球の資源と生態系の管理も民主化する必要がある
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2019/06/17
これまで経済学の本なんて手に取ったこともなかったが、この本は非常に読みやすかった。経済のことを専門家、大富豪、政界のトップなど一握りの人間に任せてはだめらしい。このままでは私達庶民は機械の、資本主義の奴隷として一生を終えることになる。利益の追求が地球を破壊する。最近よく取り上げられるプラゴミの問題もその最たる例だよな。日本がプラゴミを他国に処分させてたことも最近知った。自分達で出したごみをよそに押し付けてたなんて、恥ずかしすぎる。無知も悪。反省。交換価値に飲み込まれることなく経験価値を取り戻す。人類は公共の利益、というか地球の保全を第一にすべきだ。そう思うけど、私にはそんな財力も権力もありません。とりあえず私個人としてはお金に執着しすぎず、助け合いの精神を大切に、地球に優しい生き方を追求しよう。
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経済学がどういったものか基本を知っていれば、面白く読める。でも経済学をまったく知らない人が、経済を知りたくて読んでも、多分わからないままだと思う。1冊目に選ぶ本ではないと思う。入門書を何冊か読んでからの方が楽しめる。
とんでもなくわかりやすくし過ぎて、逆にわからない経済の話になっている…ような気がする。