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【論理的ぽい宗教】
「経済学という宗教」なるほどです。
まさに資本主義経済という宗教ですね。
この本を読む前に村上世彰さんの『いま君に伝えたいお金の話』を読みましたが、感じたのが得た利益を資本家だけでなく労働者にも還元する方法はないかということです。そこで「資本の共有」を思いつきました。
が、この本にもそのまま「資本の共有」が提示されていました。わたしはものすごいことを思いついた!と思いましたが、すでに既知の情報なんですね。
ただ、具体的な共有方法は記載されていませんでした。一番簡単にできる共有方法は株だと思います。
いまや株式も投信を使えば100円単位から購入できるのでハードルは低いです。
資本金なんかないという人がいますが、お金を消費に使うか、投資に使うかの差で基本的に収入を得ている人であれば資本を持っていない人はいません。100円から投資できるのですから。。。
天引きで貯金できる力があれば、天引きで投資を行えばいいだけです。あとは放置プレイで自然に増えていきます。
銀行のすごさ(恐ろしさ)
日本銀行も含めて中央銀行はすごいです。
公的資金を注入するといってもどっからともなくお金を準備するのですね。
公的資金を注入された企業は将来的に返金するのですが、将来稼ぐで「あろう」お金を今は存在しない(中央銀行にもない)のに、現在に投入するという恐ろしいことをしています。将来に於いて世界経済が成長を続ける説が成り立っているのでできるワザです。
また、その借金が世界経済の原動力になっているのも事実です。
住宅ローンも同じです。ローンを組んだ人が将来稼ぐで「あろう」お金を前借り(+利息)をするシステムです。まれに回収できない(それでも保険や競売などでマイナスは少なくなる)こともあるでしょうが、全体としては回収できない金額の方が圧倒的に少ないということでしょう。自己破産ようような個人デフォルトは大したことではないのです。
国のデフォルトのような大きな問題でも、ギリシア、スペイン、アルゼンチンなどの国がデフォルト状態になっても、リーマンショックのような企業が破綻するよりダメージは小さいです。
国が破綻したところでどうってことはないということでしょうから、個人となれば微々たるものです。
幸福感
少し話は変わりますが、幸福感は所得が低い状態であれば、所得に比例しますが、最近思うことが職人さんの幸福感についてです。
職人さんは労働時間が長い人が多いし、給料もそれほど高くありません。
時給換算すると安い時給で働かされているように思っていましたが、職人さんは基本自分が手掛けた仕事にほこりを持っており、仕事を芸術家でいうところの自分の作品のように感じています。好きなことで時間を使っているように思います。いやいやながら手に職をつけ、長い期間働いている人は少ないです。
はじめはいやいやだったかもしれませんが、職人という職業はスキルが上がるたびに好きになっていくような気がします。
土曜日も働かされて生産性は低い状態ですが、好きなことをして生きているので実は幸福度は高いのかもしれません。年収450万円以下でも職人さんは幸福度という観点から見ると高いように最近感じています。
(職人さん違っていたらすみません。。。)
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【感想】
「経済の歴史」がテーマの、教科書チックな本。
なぜ地域差で、また同じ地域でもこれほど貧富の格差が生まれるのかなど、人類史をまじえて非常に分かりやすく書かれていた。
また寡頭制について、読んでいてピケティの資本論「r>g」を彷彿とさせた。
あと、「金融の黒魔術」とは本当によく言ったものだなーと思った。
ちょちょっとPCをイジるだけでお金が行ったり来たりするリスキーな世の中を揶揄するには、誠にうってつけの表現だ。
世の中にこれだけ経済の学習をする人々が多く、またみんな頭ではしっかりと理解しているのに、何故全員が豊かにならないのだろう?
答えは簡単だ。
結局は、世の中のルールを1番に作った者勝ちなのだ。そしてそれは世界にひと握りの人間だ。
もしくは、そのルールの網目を上手く(危険に?)すり抜けれた人の勝ちなのだ。
その他大勢はルールに翻弄されるのみで、どれほど頭が良くたって真の豊かさとは程遠い人生を歩むしかないのだ・・・・
勉強すればするだけ、リスキーなチャレンジしない事には格差を埋める事は出来ないと、読んでいて虚しくなってしまった。
そんなに悲観的になっても意味がないと思うが、たまにヘコんでしまう。
分相応レベルの幸せを目指して、今日も頑張ろう。。。
【内容まとめ】
1.言語」と「余剰」の二度の大きな飛躍
うなり声の代わりに言葉を使い、作物を育てるために土地を耕すようになった。
そして農作物の「余剰」が、人類を永遠に変えるような偉大な制度を生み出した。
文字、債務、通貨、国家、軍隊、宗教などだ。
2.寡頭制
→権力が集中するとさらに余剰が蓄積され、富が支配者に偏る。
寡頭制が延々と続くのは、支配階級がさらに経済や政治の権力を持ち、文化的にも力を持ち、その力を使ってさらに大きな余剰を独り占めできるからだ。
3.金融の黒魔術
借金は市場社会に欠かせない。借金がなければ利益も生まれず、利益が生まれなければ余剰もない。
しかし、数多くの企業が債務によって破綻すると、銀行は倒産したカウ者の数の「返済不能のローン」をますます抱え込む。
銀行が苦しいという噂が広がり、預金者の中には預金を引き出す人が増え始める。が、銀行はすべての引き出しに応じるだけの預金はない。
なぜなら銀行は、「魔法の杖」で何もないところから生み出したカネをまじえてローンを貸し付けていたからだ。
4.国債について
銀行が何より嫌うのは現金だ。金庫の中に眠っている利子を生まないカネを、銀行は何よりも嫌がる。
しかし、預金者が預金引き出しをする際に現金がないと、脆くも崩壊することもわかっている。
だから銀行は、すぐに現金に換えられる何かを手元に置いておく必要がある。国債はそれにぴったりなのだ。
人々が政府を信じている限り、国際には必ず買い手がつく。これほど安全で換金しやすい債権は他にない。
安全に利子を稼ぎ、商品としても使え、換金性がある。
国債は金融システムの潤滑剤だ。
【引用】
p26
・「言語」と「余剰」の二度の大きな飛躍
うなり声の代わりに言葉を使い、作物を育てるために土地を耕すようになった。
そして農作物の「余剰」が、人類を永遠に変えるような偉大な制度を生み出した。
文字、債務、通貨、国家、軍隊、宗教などだ。
p36
実はオーストラリアでもアメリカでも、先住民は侵略者に殺されるよりも、ウイルスに感染して死ぬことが多かった。
農耕の発達していない地域の種族は、何世代もの間にゆっくり生成される抗体がなく、疫病への耐性がなかったからだ。
p40
・地域内格差
寡頭制
→権力が集中するとさらに余剰が蓄積され、富が支配者に偏る。
寡頭制が延々と続くのは、支配階級がさらに経済や政治の権力を持ち、文化的にも力を持ち、その力を使ってさらに大きな余剰を独り占めできるからだ。
p48
商品とは、いくらかの金額で「売る」ものだ。市場価格とは、「交換価値」を反映したものだ。
が、どのサービスにもお金がつくというものではない。
p99
・金融の黒魔術
借金は市場社会に欠かせない。借金がなければ利益も生まれず、利益が生まれなければ余剰もない。
しかし、数多くの企業が債務によって破綻すると、銀行は倒産したカウ者の数の「返済不能のローン」をますます抱え込む。
銀行が苦しいという噂が広がり、預金者の中には預金を引き出す人が増え始める。が、銀行はすべての引き出しに応じるだけの預金はない。
なぜなら銀行は、「魔法の杖」で何もないところから生み出したカネをまじえてローンを貸し付けていたからだ。
金融危機の後に来るのは不況だ。
誰にも借金があり、誰もそれを返済できない。
お金持ちも先行き不透明のため、支出を抑えるようになる。
経済を前に進めていたプロセスが、今度は逆方向に回り始める。
p116
・国債について
銀行が何より嫌うのは現金だ。金庫の中に眠っている利子を生まないカネを、銀行は何よりも嫌がる。しかし、預金者が預金引き出しをする際に現金がないと、脆くも崩壊することもわかっている。
だから銀行は、すぐに現金に換えられる何かを手元に置いておく必要がある。国債はそれにぴったりなのだ。
人々が政府を信じている限り、国際には必ず買い手がつく。これほど安全で換金しやすい債権は他にない。
安全に利子を稼ぎ、商品としても使え、換金性がある。
国債は金融システムの潤滑剤だ。
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20190624 読みやすくわかった気になる経済書。思想史としても読める。これまで過ごしてきた世の中の理屈を今更ながら知ったような気になる。また疑問を持ったら読み直してみたい。
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本の前半は、経済の発生についての歴史的解説が展開されており、とても興味深い内容でした。
経済について語るとは、余剰によって社会に生まれる債務と通貨と信用と国家の複雑な関係について語ること。
農耕が保存可能な農作物の"余剰"を生み出し、この余剰が、それを記録するための"文字"や労働に対する未来の報酬を証明する"通貨"や通貨に保障を与える"国家"や国家に正当性を与える"宗教"など、現代の経済や社会に必要な仕組みや機能が発生した歴史的な流れから説明があり、経済の本をあまり読まない私には目から鱗でした。
後半は筆者の結論に誘導的な記述が多い気がしたたため、星4つの評価です。
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タイトルの通りです。人間の歴史とともに経済というものがどうして成り立ってきたのか、とても分かりやすい。一言でまとめると「経済について語るとはつまり、余剰によって社会に生まれる、債務と通貨と信用と国家の複雑な関係について語ることだ。」ということらしい。ついでに「支配者を正当化する思想がなければ、国家の権力は維持できなかった。支配者が死んでも国家が存続し続けられるような、国家権力を支えるなんらかの制度化された思想が必要だった。そして、思想を制度にするような儀式を執り行ったのが、聖職者だ。」ということで、宗教とは何かについても改めて考える機会に。先日読んだ「最強の生き方」に通ずるものがありました。始まりは「余剰」。農作物の余剰によって、文字が生まれ、債務と通貨と国家が生まれた。それらによる経済からテクノロジーと軍隊が生まれたということらしい。
封建制度のもとで貴族階級が支配的な地位を維持できたのは、政治と軍隊と法律と慣習のおかげだった。富の蓄積をもっと速めるために、生産性を上げるようなテクノロジーを開発する必要も動機もなかった。しかし、貴族とは対照的に、新興の起業家が生き残れる保証はどこにもなかった。むしろ、既存の政治や法律や慣習は起業家に不利だった。だから、彼らが生き残るには利益を生み出すしかなかった。そして、起業家の借金と利益と焦りが高まるにつれ、競争はますます過酷になっていった。そして、ある時点で、社会全体が借金漬けになり、経済の成長がそれに追いつかず、利益を出しても返済しきれない状況が訪れる。バブルの崩壊だ。そして経済の崩壊の後には不況が。この後、経済政策についての記述もある。ケインズ流というかリフレというか・・・そしてベーシックインカム的な話に続く。
割と最初のほうに、経験価値と交換価値の話があり経済は交換価値の概念で成り立っているところからスタートするけど、改めて経験価値を見直すべきなのかなと最後はそこにつながっていたように思う。マスターカードのCMではないけれど、大切なものはプライスレスであり、生活の価値観もそちらに寄せていったほうが幸せになれるのではないかとそんな風に考えさせられました。
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「大金持ちと貧乏人の話」を身も蓋もなくはっきりと言い切ってる本だ。エピソードの具体性と説得力が秀逸。言葉の力・文字の力を実感する。実にわかりやすい、思わず苦笑いを浮かべるほどに。
経済の話はわかりにくいものだが、焦点をとことん絞って単純化し、具体的な事例を語りながら説明する。よく新聞記者が「中学生にもわかる文章を書け」と言われるそうだが、やさしく説明することは難しい。本書はその難しさをクリアしている稀有な本だと思った。
最後に哲学的課題を提示しているところが「父が娘に」らしく微笑んでしまった。しかし、これは読者全てに突きつけられた課題でもあると思うと身が引き締まる。本書は「さすが!」と感嘆を唱えたくなる本である。
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経済の仕組みを、歴史を追って説明があり分かりやすかったです。
本当の幸せを考えさせられました。
ホモ・サピエンス全史を纏めた内容と感じました。
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経済学について何も知らなかったので、読んでみました。
わかりやすかったです。導入部が特に納得のいく説明でした。映画を例えに出していて、なるほど!と思うことが多かったです。著者の思いも感じとれました。
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ギリシャで財務大臣を務めた著者が経済について自身の考えなどをまとめた一冊。
現在の資本主義に至るまでの経済の変遷から機械との付き合い方やお金、環境との関係などを平易な言葉で解説されており勉強になりました。
土地と労働が商品となることで起きた変化や貨幣と経済の関係、民主化になることの弊害など著者の考えも深く知ることもできました。
資本主義経済の成り立ちとその問題点が示唆されており、経済において多くの示唆を与え、自分の意見を得ることのできる一冊でした。
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予想以上に面白かったし、ためになった。
自分は資本主義の価値観にどっぷりハマっていて、それゆえに最近覚えていたひっかかりを本書が解き明かしてくれたような気がした。
他人にとって価値あることは「値段が上がり」、他人に必要とされないものは「値段が下がり」淘汰される、、だから価値の少ない仕事はやめて価値の高い仕事をしよう、価値の高い人間になろう、その生き方は今の世の中正しいかもしれないけど、競争煽りまくった結果地球全体は果たして幸せな結果になるのか??考えさせられるし、資本主義の前提と違った価値観を大事にするのも必要かと思った。
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こんな経済ので本、他には無いと思います。
神話からスタートレックやマトリックスまで、わかりやすい例で語られています。
この本を読んで、経済の動きというものがなんとなくわかった気になります。
経済学を学んだ人には、物足りないかもしれません。
私にとっては、目から鱗が落ちる事が多かったです。
入門の入門書としてお勧めできると思います。
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経済学よりお金2.0に近い感じ
どっち先に読むかで感想は変わりそうだが、先出たのはこっちの様だ。
私も30で発起し、ファイナンスの勉強を始め、最初にぶち当たった問題がこれ。
正解があると学校で教えられて来たはずが、算数や理解の様な、経済と政治には正解がない事。
世の人は常に全員同じ考えをすると思っていた、おめでたい星人だったのだ!
今でも思い悩む事があるが、私の中ではかなり整理されてきている。
歴史のバイアスから現在が出来るまでを網羅されており、とても説得力がある。
ほぼ名著「銃病原菌鉄」そのままだw
それでも筆者の言い分に異議がある。
すべてがネガティブにはならないのだ。
元気な人間が常にいる事。それが進化なんだと思う。
でもただ元気なのはだめだ。
歴史を知っている蟻だ。
ドンドン進化してマトリックスにならない様にはしたいけどね。
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面白かったけど、帯の文句にひかれて読んだのでちょっと期待が大きすぎたかもしれないです。
銀行の「どこからともなく魔法のようにパッとお金を出す」という話はとても面白く、そうだよなーっと納得しました。
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市場、金融、株式市場、そして貨幣。資本主義のベースとなるこれらのシステムについて、ギリシャの財務大臣を務めた著者が、特有の詩的表現も交えながら、”父から娘に語る”という叙述形式で、極めて平易に解説される。その点では本書の面白さを私も一定程度認める。ただし、こうした経済学の平易な解説を読みたいのであれば、後述するような彼の”イデオロギー”が強度に染み出さず、よりフラットで優れた書物は多数あるのではないか?
私が納得できないのは結論についてである。著者は、現在の経済の問題を”行き過ぎた市場化”にあるとして、”一部の巨大企業や富裕層だけが参加するのではない民主的なプロセス”を対案として提示する。では、民主的に経済をコントロールするのかという点について、著者は何も語っていない。そうした態度は、財務大臣まで務めた政治家として著者を見たときに極めて不誠実ではないか。
くどくど書いてしまった。結論を言えば、私は政治的に左派ポピュリストを嫌悪している。そして、EUにおいてその先鋒を務める著者についても嫌悪しているということである。
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自分が経済学について詳しくないため、平易に書かれているとはいえ読むのに所々つまってしまった。マトリックスの例が出ていたのは興味深く、欲望を追求しすぎるということについて考えていく。予言の自己成就と経済の関係が印象に残った。とはいえ、分かりやく経済の基礎を学ぶことがができたと思う。