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家裁調査官の陣内の部下・武藤を語り手に、陣内と犯罪を犯した少年たちとの交流を描いた物語です。
前回と同様に勝手で発言も行動も滅茶苦茶な陣内ですが、その実は誠実で正義感が強い陣内にまた会えて最後まで飽きずに読めました。
内容は重い内容のはずなのですが、伊坂幸太郎の世界観、陣内と武藤を中心とした会話のテンポの良さ、ジャズと絡めた音楽的な表現などで比較的軽く読めてしまいます。
少年犯罪の難しさ、また「犯罪を起こしそうな人間をその前に殺すのは善か悪か」と言うような哲学的な問題も少し提起されており、自分でもどう思うか考えながら読み進められました。
・「唯一お前たちが覚えておいた方がいいのは、夢を諦めるな、努力を忘れるな、人の嫌がることをするな、と言った“教え”よりもとにかく、相手の大事なものを蔑ろにする
な、ってことだ。反対に悪い奴らってのは、その大事なものを狙ってくるからな」
・「今の俺が、今の、一番本当の俺だからな」
陣内は捻くれてますが相変わらずいいことを言うなーと思いながら読んでました。
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大学生の頃は伊坂幸太郎節が好きだったのに、なんだかあの時ほどに心を揺さぶられないことが悲しい。
家裁の調査官という仕事や、陣内のキャラクター、少年犯罪という思いテーマの中に散りばめられたユーモア、それ自体は変わらないのに。
ジャズの語りや、陣内が魅力的過ぎることや、事件や人がストーリーのためにつなげられ過ぎていることが、どうもリアルな日常や、その日常を生きる自分からかけ離れてしまっていて、没入できなかったのかもしれない。
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伊坂幸太郎さんの本は好きで本屋で新刊が売っていたら買います。
今回は「チルドレン」の続編ということで迷わず購入。
相変わらず登場人物ははちゃめちゃで、だけどそこがおもしろい。
もうあまり内容は覚えていないけど、良かったと思います。
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高校生の時、私は全然本を読んでいなくて。読書家で文才もあった仲良しの子に憧れて、図書館でたまたま目についたチルドレンを借りて読みました。
本を読まなかった私にとって、読みにくい物だと思っていた小説が、あまりに面白く、「めちゃくちゃ読みやすい!こんなに面白い小説があるんだ!」と感動したのを覚えています。それ以来、すっかり伊坂さんファンになりました。
今ではチルドレンの内容はうろ覚えですが、陣内の強烈なキャラクターは覚えていて、私に本の面白さを教えてくれた陣内と武藤のコンビに、大人になってまた会えるとは、本当にうれしいです。
今回扱うテーマがとても重いけど、陣内のキャラクターが軽さを与えてくれていて、とても読みやすかったです。上手く言葉にはまとめられないけど、伊坂さんが何を言いたいのかは分かりやすい。
ニュースで被害者・加害者になった人を聞く時、いろんな事情を想像して、答えの出ない問いかけをしてしまいそうです。
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うーん、このシリーズやっぱりいい!軽妙な感じが、ザ・伊坂幸太郎!って感じでとても好き。
「チルドレン」の陣内と武藤のコンビが、年月を経てまた同じチームになっていたという設定。
今回、少年が起こした事件の内容はなかなかにヘヴィ。かつて友人を殺した人間への復讐が発端となって起こってしまった事故。そして永瀬くんへの八つ当たりから、見知らぬ男に刺される武藤さん。大事件やん。
そしてこの軽妙な物語に対し、提起される重い問題。
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わざとやる人、自覚的に罪を犯す人もいれば、偶然、自分でも思いもよらぬ理由で、もしくは止むを得ない事情で事件に関わる人もいる。すべてをいっしょくたにできず、さらに言えば、「わざとかどうか」の区別もまた難しい。
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加害者は自業自得なんだから、生きにくくて当然だろう。
そういった声が聞こえてくる。
世間という曖昧模糊としたものから発せられる架空の声、過去に耳にした実際の言葉、もしくは僕自身の声だ。
自業自得という部分はあるはずだ。
ただ。
ただ。でも。
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伊坂さんはこのあたりのバランスが本当にすごい。考えさせようとしているアピールは全くないように感じるのに、でも考えさせられてしまう。まだ、答えは出せないんだけど。
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「チルドレン」の続編。「チルドレン」の内容はちっとも覚えてなかったけれど、これはこれとして楽しめた。陣内のような生き方に憧れる。
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さすがとしか言えない伏線回収。
人と人、事と事がどんどんと繋がっていく。
それが自然すぎて、驚きよりも納得してしまう。
それにしても陣内さん。
ハチャメチャなんだけれど、よくよく読み込んでいくとかなり真っ当な事ばかり言っているんだよなぁ。
そしてすごく可愛い人。
電車の中で読んでいて、いつの間にかニヤニヤ笑っている自分に気づく事が何度も。
帯はシンプルでいいんだけれど、オレンジの文字だけで十分だったかな。
解説は自分とは全く違う視点で語られていて面白かった。
内容を追っているのにまったく「ただのあらすじ」になっていない素晴らしい解説。
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軽快な文章で読み進め易いが、作品のテーマはかなり重い。
罪を犯した人間は、本当に悪人なのか?
罪を犯した人間が、止むに止まれず罪を犯した場合、裁くことができるのか?
殺人を犯した場合、殺した人間が悪人だったらその罪は軽くなるのか?
ご都合主義的なラストだが、重いテーマにあっては、そのテーマを少し軽くするエッセンスになっている。
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伊坂節が爽快、サクサクと読めて普段あまり本を読まない人でも楽しく読めます
本筋に必要のないキャラやエピソードもありますし、伊坂節に慣れている読者にとっては新鮮味もないかもしれません
そろそろゴールデンスランバーみたいに臨場感のあるストーリーや鴨とアヒルみたいな衝撃のある作品も読んでみたいと思ったのも事実ですが、
少年犯罪という難しいテーマに対する家裁調査官の本音というのを垣間見えた気がしました
良作です
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チルドレン、読み返してからこちらへ。
もはや、オール陣内ワールドだね。
少年犯罪を扱った家裁調査官の話。重い題材だけれど、伊坂さんの手にかかれば、ふわっとパンケーキ並みに。
でも決して軽く扱ってる訳じゃないし、適当に見える陣内さんが時々鋭く、真っ直で。やっぱり、陣内さんに泣かされた。
悔しいな。
答えのない難問だから、安易に決めつけずに、ずっと考え続けなきゃいけないことなのかも。
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久々の伊坂幸太郎読了。
ビジネス書を多く読んでいたので、ここらで少し小説を読みたくなり手に取った。
軽快なテンポで、重いテーマを身近に描く。
正義って何だ。
悪って何だ。
うっかり人を轢いてしまった未成年は
悪人なのか?
けれども、筆者の答えは「子どもは悪者じゃない」なのだろう。
だからこその最後の被害者に関して明らかになった事実のエピソードがあるのだと思う。
そして、登場人物たちは男性が大半だからかとてもさっぱりしている。
分かりやすく爽快。
最近読んだ、辻村深月の女性を描いた小説とは対照的だ。
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陣内くんが、ふりまわすけど、
テーマがテーマだけに、
自分の中でも、何が悪なのか。善なのか、
考えさせられちゃうな。
たなぼたくん!頑張れ!!
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あらすじをなぞって「これは、私の大好きで大の苦手の伊坂ワールド全開、グレーゾーンを煮立たせたような作品だ!」とアンテナが反応し、久しぶりに読みたいと思い手に取りました。ただし恥ずかしくも、「チルドレン」という前作があることがきっちりと帯に書いてあったのにも関わらず気付きもせず。まさかの続編から先に読んでしまいました。ちなみに読み終わってみて、前作を読んでいないことで差し支えるものはありませんでした。だから、「とりあえずサブマリンという作品が読んでみたいと思ったんだ!」という人はこちらから読み始めても多分大丈夫です(笑)前作ありきの楽しみが用意されていたのなら、全くもって拾えていないでしょうけれど。また「チルドレン」も読んでみて答え合わせをしてみます。
さて、本作は家庭裁判所調査官という仕事に就いている人が主役の物語です。あらすじを読んでみてすぐに「読みたい」と思わされたもう一つの大きな理由に「家庭裁判所調査官」という今まで意識したことの無い職業がフィーチャーされていることもありました。成人してもこうも日本社会の構造について知らないなままでいられるものか、と自分の状態に日々がっかりしているので、少しでも知見を広められる良い機会だと思ったのです。
少年犯罪、特に未成年が人の命を奪ったような事件は、そのようなことが起きたこと自体に対するショッキングな印象が先行しがちで、問題の機微や世間・マスコミからして不都合な部分、それから少年たちが審判を受けるまでのプロセスや処分などの社会システムの在り方には光が当たらないことが多いのではないでしょうか。少年法の中身など知らないまま大人になったのだろうに一張羅に罪を犯した少年たちのことを非難するような人もいるでしょう。現実の街頭インタビューなどでその代表者のような人達を目にすることが出来ます。そのような人がモチーフかしら、という女性が物語の序盤に登場します。詳しく知りもしない少年のことをつらつらと非難する姿には正直読んでいて虫唾が走りました。無知と想像力の欠如と偏見と独善的な正義感と。その問題に対して更に辛辣に批判することも出来るところですが、本作はその点に熱量を注ぎません。騒がしい外野ではなく当事者たちに集中します。おかげで、読者の方も余計な声に気を取られることなく、あまり知ることのない少年たちの置かれる状況や実際に関わる人々の方に集中出来ます。
人の命を奪う行為は、全人類がシンプルに「アウト」だと判定するはずです。それは「罪」であり「罰」が必要だとして、恐らく全ての社会で法律により罰則を定めているはずです。でも、日本には死刑制度があります。正当防衛は罪に問われません。少年事件の場合の処分は罰則というよりは更生を目的としたものが主です。「ファウルゾーン」の問題を考え出すと頭が痛くて、法律の専門家でもなければ哲学の専門家でもないから、整然と考えるのはとても難しくて、やるせないものです。だからこそ、伊坂さんの物語は貴重です。理路整然とは考えられないけれど、読んでいる間は何か大切なものに触れられている感じがするのです。だから、後味の悪いお話しだと分かっていても、「良薬口に苦し」と、読み進���られるのだと思います。本作はそのような物語の中でも、マイルドな方です。温かみがあってとても気に入りました。
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斜めに構えた陣内さんの発言一つ一つ心地よく、何に、かわからないが納得し気持ちが軽くなる。
そのときの会話のテンポが好き。伊坂さんらしい
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サブマリン
それは果たして、
それだけの深い場所へと潜ろうとしてついた名前なのか
色んなことがある
生きていれば
色んな事件がある
外に出れば
誰かが何かに巻き込まれるし
誰かが傷ついたりいなくなったりする
悲しみと後悔と罪と罰と救いが
天秤のように波のように揺れながら
いったいどうすればいいのだろうと途方に暮れてしまう
一つ、私は勘違いをしていたのかもしれない
伊坂氏はものすごく残酷な世界を時として描くけれど
でも、それって、伊坂氏が悪いわけでなくて
(彼は絶対に優しい人だと思う)
社会がそういうものだから、
伊坂氏がそういうものを受け取っているだけでは?
と思った
動物虐待だって人が死ぬのだって
なんか後味の悪い感じとか悪い奴が出てくるのとか
そういう理不尽さって、あるじゃん、生きていれば。
いくらでも。
そういうものに何か救いってないのかな、と思う時
伊坂氏の物語は時に救済のように感じられる
ずるいよなって、いつも思う
死にたい消えたいもう嫌だ辛い逃げたい
そう思っていても、
「この世界って、思ったより悪くないかも」て
最後は泣きながら思っているんだから