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2019年4月読了。
「こんな新書が出たら読みたい」と思っていた内容、連休中のいいタイミングで入手できた。移民の国だけあって実は多数のエリアの食べ物から成り立っていることと、ファストフードのイメージが強すぎることが、「アメリカ料理」を複雑にしているが、本書にあるとおりかなり多様な文化を内包していることが面白味の要素だと思う。
以下気になった記述を備忘的に。
30ページ
ポップコーン、バーベキュー、フライドチキンといった「アメリカを代表するスナックや料理」は実は非西欧由来のもの。先住インディアンや黒人等、複数のバックグラウンドから「アメリカ料理」は成り立っている。
31ページ
「ソールフードとは、どれか一つの集団が独占的著作権を主張できるような発明品ではなく、それ自体が混血料理であると同時に、人種を超えた南部料理というべき性格を強く持った存在」
46ページ
州権論に関する著者の分析。州の独立=不可侵性を認めると却って外部からの流入を妨げるというもの。自主自立と他者への寛容という天秤の問題。66ページにも同種の指摘あり。
52ページ
初代大統領のワシントンはプランテーションの経営者。当時の選挙では候補者は有権者にどれだけ酒を振舞えるかが当落を左右する重要な要素だったらしく、大統領退任後は18世紀アメリカの最大のウィスキーの蔵元になったとのこと。高邁な理想に燃えてという面もあろうが、足元では「今の目線で見れば」汚いこともやっているということ。
92、3ページ
産業社会化と食事の関係。労働と家庭が切り離されていくことで、食事を如何に短い時間で済ませるのかという問題が生起してきたという指摘。19世紀後半になってからの話。
100ページ
コカ・コーラの成功要因として「瓶詰めの権利を本社から切り離した」ことという指摘。製法を本社で独占しておき、実際に瓶に詰める工程はフランチャイズ制にして販売を拡大したということ。売り物を変えずに売り方を変えて成功したという話。
111ページ
アプトン・シンクレア『ジャングル』の紹介。食肉工場をめぐる連載小説。アメリカ版『蟹工船』のような話。
121ページ
ダイナーのおこりについて。アメリカに行ったわけでも何でもないの何故かダイナー的な場所に魅かれるものがあるのは、ここが「労働者向けの食堂」という定義からスタートしているからではないかと思う。
132ページ
マクドナルドのフランチャイズ制の仕組み。商品そのものの開発よりは店舗経営の仕方(させ方?)が拡大の契機になっているということ。
164ページ
1990年代以降のアメリカ料理はパシフィック・リム・キュイーヌを手本にラテンアメリカやアジアの要素を取り入れることがトレンドになった。自然志向というか、便利さを局限化させた次に来るムーブメントそれとは逆行するものであるところが面白い。
176ページ以降
ファストフードと格差社会の関係について。
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入植期から、産業社会の発展とファーストフード社会の到来、肥満へ警鐘を鳴らす現代まで、四〇〇年にわたるアメリカの記憶と変革
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食を通して、アメリカの来歴と現状の課題、
はたまた、未来へのヒントを解き明かす好著。
ファーストフードへの多角的な分析が印象に残った。
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面白かった。食を通してアメリカの歴史がわかる。ということはつまり、中で作者が言う通り、食によってアメリカの現代社会の課題も解決できるかもしれない。
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ハンバーガーなど現代アメリカを代表する食品が、どのように生まれてきたのかを詳細に説き起こす内容。食べることは日常であり、生きていくことに直結している。地域性の問題や、様々な歴史上の出来事が食に絡めて見事に記述されていく。アメリカ合衆国歴史の本として興味深く読むことができた。
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<目次>
序章 三つの記憶と一つの未来~アメリカ食文化史の見取り図
第1章 生き続ける非西洋の伝統~食に刻まれたアメリカの原風景
第2章 ファーストフードへの道~産業社会への移行と食の変革の功罪
第3章 ヒッピーたちの食文化革命~蘇生する健康志向とクレオール的創造力
第4章 ファーストフード帝国への挑戦~変わり始めた食の生産・流通・消費
終章 記憶から未来へ~新たなる冒険の始まり
<内容>
アメリカ文化の研究者による、食文化からのアプローチ。さまざまな食べ物のルーツが分って面白い。ハンバーガーやホットドッグ、チリコンカルネやスパム、ピザはなぜ宅配があるのか?コカ・コーラは薬?フードコートの誕生などなど。そしてそこからアメリカ文化や歴史を解読し、将来を見通す。納得の話が多かった。そして、CSAという、地域支援型農業の話は、資本主義に翻弄されている日本の農業や日本の人々にも参考になる話だと思う。
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「実験場」という過激な言葉が使われて
いますが、内容はアメリカの食の歴史です。
移民国家であるアメリカにおいて、現在の
食の主流であるファーストフードを経て
どこへ行こうとしているのか。
まさに米国の食文化論です。
ケンタッキーフライドチキンの発足時に
店の向かいに、評判の良かったフライド
チキンの店と並んでガソリンスタンド、
レストレン、モーテルなどを併設した
そうです。
これが今のショッピングモールの始まり
と言われています。
カーネルさんはすごいですね。
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食文化の変遷からたどるアメリカの歴史。ヨーロッパ本国・アメリカ先住民・奴隷の故郷アフリカや西インド諸島の料理、ヒッピーたちが取り入れたアジアの食習慣がぐっちゃぐちゃに混ざっているのがアメリカ食文化の特徴だそうです。日本人的にはカリフォルニアロールは邪道に見えますが、アメリカ食文化史的には正統・王道なのです。
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アメリカの食文化が、ヨーロッパ各地からの移民と、黒人奴隷、ネイティブアメリカンの融合によって作られた多様性のあるものであり
それがファストフードを生み、均質化し
また多様性を取り戻そうとする試みを紹介する本
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食の歴史を辿りつつアメリカ文化を論じる。何をどんなふうに食べるかが、社会・文化はもちろんアイデンティティに結びついているというのは日常でも実感すること。本当、食べ方ってファッションやらと同じように人を表すわね。
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アメリカ原産の食物と料理法が結びついて様々なローカル料理ケイジャン、ベーグル、ハンバーガー、ガンボ、スパム、クラムチャウダーが誕生したアメリカの料理。その中で第二次産業かで時間の制約に対応する中で、フィンガーフードたるハンバーガー、サブ、コーンフレーク、TVフードが台頭し、画一化が進む。
一方文化的には健康を目指し禁酒法に一時は行きつき、そのごはヒッピー、ビーガンとなり現代に至る流れがあり、このなかではアジアの食文化を取り込み、先端か、多様化も進む。
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アメリカの料理といえばファストフードやテレビディナーのイメージだが、そもそもなぜそのような食文化となってきたのか、について説明してくれる本はなかなか無い。
アメリカが移民の国であり、様々な国から人たちが集まり、受け入れあって今の食文化があるのだと感じた。面白い。
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アメリカの食文化をその起源から歴史、現在そして未来まで考察する。画一的なファストフードだけでない多様なアメリカの食のなんと奥深いことか。
イギリスからの移民と原住民のインディアン、黒人奴隷さらにフランスやメキシコの影響とドイツからの移民、そんな人々の食文化の融合体がアメリカの食文化。
たとえばハンバーガーはひき肉、ピクルス、ケチャップがそれぞれ別々に発展してきたもの。
日本人には寿司のアメリカ進化版のカリフォルニアロールがイメージしやすいだろう。各国の食文化がいつの間に融合している。
こんな歴史とさらにファストフード、ヒッピー起源の自然食なんかが絡んだアメリカ食文化の通説史。
斬新な視点でした。
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食を通じてアメリカの歴史を理解出来る。インディアンや黒人奴隷が持ち込み白人が生活に取り込んだ料理や、ヒッピーが始めた有機食品やエスニック料理との融合など面白かった。この著書の他のアメリカ関連書籍は面白そうだった。
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今食べてる/食べたいもの、に対する知識、つまり食文化は、反知性主義に対する突破口。という見立てはご慧眼。反知性側の人の方が一家言あることが多く、さらに知識欲もあり、それは常にマイノリティにつながってることがわかる。
ただ、アメリカのそれを、日本に横展するのは結構難しいと思った。欧米化という服従史観にならざるを得ない。
本書は、ヨーロッパからの移民が、持ち込んだ作物以上に、インディアンや、黒人の食物に頼っていたことを明かしている。
意外とWASP由来のものは少なく、たとえばハンバーガーでさえもドイツ由来だ。