紙の本
受刑者もある意味被害者
2019/08/01 17:10
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投稿者:shalala - この投稿者のレビュー一覧を見る
心から救い(自分が救われる。人を救う)を求めて犯罪に走った人がいることが、わかる。
受刑者の親が見捨てないでいてくれることが、せめてもの救い。
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まさに、リアルなオウム信者の世界が伺える。
そこは現実の世界と同じで、同種の人間の集まりではないし、ましてや特殊な価値観の持ち主たちの集まりでもない。自分のした行動、傷つけてしまった人たちに深く悔悟して、自らを苦しめている人もいれば、オウムでの経験や情報をネタに賢く振る舞おうとする奴もいたし、上昇志向の塊のように、グルに取り入る者もいた。
読んでいて、このオウムの起こした一連の事件を思い起こしていると当時の自分の仕事や、周囲の人間関係や、自分が見つめていた社会が並行して鮮明に蘇ってくる。
私はこの事件を引き起こしたオウムの信者たちと同世代なので、かなり前のめりにこの事件を見ていたし、事件後のこのオウムに対する識者の考察も読んできた。
それらはそれなりに満足させるものもあったけれど、どれを読んでも信者の心はイメージできなかった。夢で見た何かのようなもので、人に語ることも、言葉にできるものでなかったけれど、この中に出てくる言葉はそれぞれの人物を見事に浮かび上がらせてくれる。
それにしても、中谷友香さん、そして自分の人生の多くをかけるまでに彼女を突き動かす静かな力に驚かされる。
けっして、タフな感じを受けないのに、自らの傷を語りながらのメッセージはきっと読者の深いところに届けられる。
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執行されてしまった元死刑囚や、収監されている受刑者との交流からオウム事件の心の内側に迫る作品です。著者の出自を明らかにするとともに、受刑者との実名でのやり取りは、一層当時の事実関係を明らかにする印象を持ちました。その当事者は一人一人ある意味純粋で、人として真っ当に生きようと努力をしていたのは理解できました。ただし結果は許されるものではなく、信じた教祖も悪かった不運もあるとは思いますが、十分反省しそれをかてに今出来ることを一生懸命頑張ってほしいと思います。また著者の精力的な活動に感服するとともに、ご自愛も願うばかりです。