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冒頭からイヤミスなんじゃないかとビクビクしながら読み始め、後味の悪い結末を想像したのだけれど、そんなことにはならずに一安心。基本的にみんないい人たちだった。特に若いころって、他の人に対して多面的な見方ができなくて、こう考えているのだろうと決めつけることで失敗することってあるよね。そういう意味では、ただのいい話ではなくて、ほろ苦さも味わうことができた。表紙絵はちょっと怖い印象。もうちょっと萌え要素があってもよいのでは? 表紙絵について各章の扉絵によってどれが誰だか分かるようになっている仕掛けはナイス。
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全寮制の女子校、星華女子高等学校で繰り広げられる人間模様。
伝説の卒業生である母の呪縛と過干渉に息苦しさを覚える模範生の3年生の桜子。
母のネグレクトの末、自分を見えないモノとして扱う祖父母から、この学校に追いやられた新入生の茜。
実家のある田舎の閉塞感に耐えられず、美術工芸科がある全寮制のこの学校を選んだ3年生の千尋。
人一倍正義感が強く、反抗的ながら美術工芸科では並ぶ者がいない天才肌の新入生の真琴。
桜子と茜、千尋と真琴はそれぞれ、指導的役割のマザーとそれに倣うチャイルドという特別な関係で、寮では4人同室。
模範生で何の不足もないように見える先輩達にも、それぞれ抱える悩みはあり、また新入生にも気軽に話せないここまでの道のりがある。
作者のお名前から、イヤミス??と思ったが、そうではなかった。
最初は不穏な始まりだが、最終章では4人のいい意味での絆が深まる出来事で終わる。
家族の枠から自立していくこの時期、大抵の女子は、親の価値観から脱皮するのに苦しむ。
親も娘を守ろうとすることが、かえって仇になることもある。
娘に勧められて読んだが、まず母親が自立しないとな、と思った。
終盤で、茜の母も実は苦しんでいた事が分かるのだが、その後が書かれていないのが気になった。また母子が出会えることを願う。
2020.3.19
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電車の広告か何かで見て、気になって図書館で借りた本。
だいぶ前のことだから覚えていないけど、確か面白かった。
友達恐ろしい…。
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うーん…女子って確かにめんどくさいけど、ここまで「めんどくさいロード」を進んで突き進んでいくものなのだろうか…。なんか、物語のためだけにそう動いてる、という感じが否めなくて、全然共感できなかった。それぞれの登場人物の主観で物事を切り取っていくのはもちろんありだとは思うんだけど、それと客観的事実との齟齬が酷すぎる。例えば、美術の石橋先生が良い先生のわけないやん。それから、マドンナと呼ばれた女があんなに歪んでるわけないやん。それって、あまりに客観的事実を軽視しすぎている気がする。主観の扱いが重すぎる作品でした。あ、でも女子ってそんなもんなのか?この発言はセクハラなのか?
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以前読んだ『誰かが見ている』がとてもよく出来た小説だったので、この作者の書いたものを他にも読んてみようと思い手にとった本。
人里離れたところにある全寮制の星華女子高校には「マザー制度」というものがある。それは「マザー」である3年生が「チャイルド」と呼ばれる新入生と1年間寝食を共にし、寮生活や学校にスムーズに馴染めるようフォローする制度。
茜(新入生)は幼いときに、母親から置き去りにされた。若い頃に素行の悪かった母をよく思っていなかった祖父母からは冷たくされ、自分の居場所がない。
桜子(茜のマザー)は星華の生徒の憧れの的。見目麗しく品行方正、誰にでも優しく常に穏やか。彼女の母親も同じ星華出身で伝説になるほど人気があった。
真琴(新入生)はいつも飄々としていて、何にも動じない。でも彼女はある決意を胸にこの学校に入学してきた。それを必ず成し遂げるためだけに。
千尋(真琴のマザー) は田舎の出身だ。頭が良く絵も上手だった彼女は、常にその狭い世界の中で注目を集めてきた。厳しかったが心の拠りどころだった祖父が死に、その後は両親にも地元にも物足りなさを感じていた。
以上の4人がルームメイトとなる。
寮内で起こる不審な出来事の犯人は誰なのか。
真琴がこの学校に入学してきた真の目的は何なのか。
この2つが物語の謎で、この謎解きと彼女らの心の成長の過程がこの話のテーマになっている(と思う)。
しかし登場人物といえるのはこの4人だけ。寮母さんや美術の先生や桜子の母親など他にも色々な人が出てくるものの、誰もが名前しか与えられない文字でのみ存在するキャラクターとしか言いようがなくて、そのためなのか話に奥行きが出てこない。
高校生くらいの年頃って自分のことが誰よりも大切で、そのために他人を求める自分勝手な時期だと思う。だからこの4人の一方的なものの見方や激しい思い込みや変な被害者意識も、その時期特有のものだとして敢えてああいう風に描いているのかもしれない。中高校生から30歳くらいまでのわたしだったら、きっと面白く読めたに違いない。
だけど今のわたしは、その頃を思い出して懐かしく思うには大人になり過ぎているし、彼女たちを温かく見守る気持ちになるには人間的にまだ小さいのだ。
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母娘ネタは負の方向まっしぐらに重なりすぎちゃうものがけっこう多々あるけど、これもそうだった、ツライ。。
女子高寄宿舎もの(美術系)、という、一見そういう話じゃないから、こんなに書き込まれているなんて完全に油断していた。
「酷いと思うのは、悲しいと思うのは、私が人として、足りていない部分があるからではないの?」
当たり前の思考回路を、当たり前に言葉にされて、胸がすごく静かになる。
途中から不穏な気配ばかり感じていたけれど、たいせつにしたい先輩後輩、友人、姉妹、の関係がどれも破綻しないで、やさしく終わってくれて、ほっとした。
独り善がりを責める展開にならないのが良い意味で予想外だ。
同性の学友を真っ当な健やかさで大事にしていて、微妙なさじ加減でへんに甘ったるくならないところが眩しいようなほっこり感で、清々しかった。
学校に結局いいひとしかいないのも癒される。
ひどいことをしてもそれを自覚していて、開き直ることくらいはあっても(本書にはない)仕方がなかったとは言わない、フィクションのなかの悪にならない悪は、いつだって有り得ないような希望だ。
大体、石橋先生までもいやじゃないんだよ!なんて気分の良い!
ぜんたいに学園模様の筆致が、じとじとしていなくてきれいなのかな。もうちょろくても良い。。
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お嬢様学校の寄宿舎に暮らすルームメイトの4人。先輩と後輩というだけの関係で友達ではない4人。
自分にはないものを持っている憧れのあの人にも黒い気持ちがあって。思春期の女の子の劣等感がよく表されてると思います。
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各章で語り手が変わるので、色んな角度から少女たちの悩みが知れて、次は誰だろう?と面白かった。
少しずつ繋がっていく感じが楽しく、読みやすい1冊。
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イヤミスのままでも良かったと感じた。
ハッピーエンドは好きではない。
友達未遂というタイトルもどこか違うような気がした。
だが女子高、学生寮という設定はすごく面白くて惹かれた。毒親に育てられてもろくなことはないと身に染みて感じる。個人的に好きな言葉は、「親と子は違う」といった趣旨のセリフ。母と娘は違う生き物。同じにされたくないと感じた。宮西真冬さんの作品は初めて手に取ったがとても面白く読み応えがあった。
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読んでいる間中、どろどろしたいやぁな不快感があって異色な学園ものだったけれど、章が進むにつれてどんどん引き込まれていった。終章のさわやかな幕じまいはこの物語が終わることの寂しさを感じるほどだった。これは作者の策略にまんまと引っかかってしまったのだろう。物語を物語っぽくするために。少し作為的ではあるけれど、それこそ小説の醍醐味といえるかもしれないし。久々にインパクトのある読後感。
名台詞もいくつかあってちょっと青臭いような気もしたりするのはこちらのさび付いた感性のせいだろう。
「自分の幸せは自分でつかむもの。誰かがいないと成り立たないものではない」
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ドロドロだけど読みやすかった。
みんな幸せになれ〜〜!!
千尋の話からの真琴の話めっちゃ良かった。茜はどうすりゃいいんだ…………。
終わり方が意外と穏やかでびびる。お前が犯人かよってなったので星減らしました。
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タイトルからしてイヤミスかと思っていましたが、ハッピーエンドでした。
読後感が爽やか。
孤独を抱える茜、毒親に悩まされる桜子、井の中の蛙だった事を思い知る千尋、正義感と復讐に燃える真琴…誰かしらに感情移入出来るはず。
友達未遂というタイトルは結局どういう意味だったんだろう?
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全寮制のお嬢様学校の寄宿舎での話。
人気者だけど、人に言えない悩みや裏の顔を持っていたり、復讐する為、家に居場所がないから等、入学の動機もさまざま。
誰も信じられなかった主人公が、初めて信用できる人に出会い、その人を助けながら、みんなで悩み苦しみ成長していく。
自分の負けを認めないと、人は成長しない。
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全寮制の女子校の話。
同室4人の表と裏の顔と、抱えた事情など。
帯に、『書店員 共感‼︎ 評論家 驚愕‼︎』
とありましたが、そこまででは無かったかなっ。
私には中2の娘がいますので、「高校生になったら、こんな事も思ったりするかなぁ〜」なんて思いながら読みました。
辛い問題を抱えた女の子には応援しちゃいましたし、トップクラスの毒親には歯軋りする思いでした。
ミステリーとしては物足りないけど、読み終わった時に「やっぱりどの家庭も大変なんだなぁ、いったい平和ってなんなんだろうなぁ」なんて漠然と考えた。
私も、元気で過ごしてくれればそれだけで良い、そう思っているはずなのに…
どうして親というのは、子供に勝手に期待して 勝手に落胆して 勝手に強要するのか…
後に客観的に考えてみたら、気付けるのにっ
(● ˃̶͈̀ロ˂̶͈́)੭ꠥ⁾⁾
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物語の舞台は全寮制女子校・星華高等学校。
表紙に描かれている少女達、向かって右から星野真琴、緑川桜子、大島千尋、一之瀬茜
この四人の高校生を中心に展開する成長ストーリー。
青春物と侮るなかれ、その中には引きこもり、毒親などの現代に置ける問題提議も含んでいる。
この年代ならではの虚栄心、嫉妬心、自己保身が繊細な心理描写で綴られていて、それは読んでいる間、絶えずこちらの心をひりつかせる。
何故ならそれらは誰もが経験した事がある感情だから。
友達ですらなかった四人が自分の存在意義を知り、他者の気持ちに気付く様になる展開が見事な秀作。