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酒を飲みながら、しかも風邪で意識が朦朧としている状態で読みはじめたら、優しすぎる話が上手く頭に入ってきません。著者の名前からストリッパーの一条さゆり(私、女ですが、映画は観に行きました)や漫画家の一条ゆかりを思い出し、ちっとも内容に集中できない。
ところが意識を覚醒させるかのような一文が終盤に出てきて、えーっ、もしかするとすごく嫌なオチ!?と心配しました。その心配が吹っ飛んでホッ。
それにしても読者の評価がめちゃ高い。アタマがしっかりしているときに再読しなければいけません。私も絵画療法を受けたほうがいいかも。
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アートセラピーの医師・熊沢とその心療所にインターンとして勤務することになった大学院生・聡子が物語の中心。心療所をおとずれるひとたちの心の傷をそのひとたちが描いた画を手掛かりにしながら熊沢が少しずつ癒してゆく、という展開が軸になっています。
各章の冒頭にはおそらく聡子であろう人物の幼少期の記憶の断片が綴られていて、物語の核心とも関係がある内容でちょっとしたミスリードを誘う書き方がされています(ひょっとすると著者にその意図はなかったのかもしれませんが…)。
患者を癒すプロセスにはちょっとした謎解き要素も含まれています。そのせいか、先の展開が気になってしまいます。聡子自身はインターンということもあって、画の内容から患者を救うのはもっぱら熊沢の洞察力によるもの。派手さはありませんが年齢と経験を重ねた医師の底力とでもいうべきものでしょう。
終盤、聡子自身がみずからの幼少期の謎を解き明かし、熊沢との関係も明らかになります。各章の冒頭に綴られた幼少期の記憶を描写した内容から、ひょっとして熊沢は変質者かしら、とも思いましたがどうやらそうではなく、ほっとしました。(そんな自分の中でも小どんでん返しもあってか)聡子の境遇が持つ悲しさともあいまって周囲の人々の暖かさはほっこりとした読後感を与えてくれます。
聡子自身の謎については終盤一気に話しが盛り上がった感がありますが、もう少し時間をかけてゆっくりあぶりだされる展開でもよかったかなと思います。
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物語や絵画,楽曲など想いが込められた作品には目には見えない何かを発しているのだろうか。そして自分にそのような何かを感じる力があれば・・・と考えてしまう。本作,初読みの作家さんかと思っていたら「神の値段」の作者でした。なるほど面白いのも頷ける。ただ神の値段に比べると感情に訴える部分がやや物足りない気がする。あちらはサスペンス要素もあったからだとは思うのだけれど・・・
あらすじ(背表紙より)
絵画療法の第一人者・熊沢が営む、熊沢アート心療所。カウンセラーを目指す院生・日向聡子は、インターンとしてやってきた。そこで出会ったのは飛行機恐怖症のサラリーマンや、ユニコーンの絵ばかり描く少女、認知症で帰宅できない老女…。さまざまな悩みを持つ人々の過去や本心を、熊沢は彼らが描いた絵から見抜いていく。しかし、聡子は自分自身の過去を探る過程で、熊沢に対してある疑念を抱き―。
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熊沢先生のような先生とお話ししたいです。
ゆっくり過去を思い出していく過程を短編連作で表現していました。
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アートセラピーをテーマにしたミステリー。
絵画療法の第一人者・熊沢が営む熊沢アート診療所。
院生の日向 聡子は、インターンとして、診療所で働くことに。
・乗り物の絵
・家族の絵
・動物の絵
・記憶の絵
様々な患者の治療を行うにつれて、徐々に明らかとなる朧げな自身の記憶。
そして、高まる熊沢への不信感。
もしかして、昔、私を誘拐したのは、熊沢ではないか?
最後のシーンで、最初の熊沢との出会いの意味が明らかとなります。
最初の会話の一言一言は、そういう意味なのか...なるほど。
最後は、聡子に対する熊沢の優しい想いに、ウルウルです。
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図書館で借りた本。
忘れていた幼い頃の記憶。大きな手の記憶、絵の記憶。少しずつ記憶がつながって真実にたどり着いた。
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ゆったりとしたミステリ物でした。臨床心理士興味があって読み始めましたが、アートセラピーについて素人でも分かりやすく書かれていて、興味が湧きました。ラストの結末にあっけなくたどり着いた感じです。
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思わせぶりな描写が多々あったが、そもそも著者が芸術に造詣が深くアートセラピーがテーマの話を書くときに、第一人者である熊沢を悪人にするはずがないので予測はついた。
なのでそこからもう一捻りして欲しかった。
ラストに向かっての高まりがなく、寂しい印象。
テーマはすごく面白いので、もっと深くハマりたかった。
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アートセラピーを扱った連作集だが、最後に4つの短編を通しての謎が明らかになる。ちょっと面白い。推理小説と云っていいかどうかは分からん・・・
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アートセラピーを行う「熊沢先生」が営む「熊沢アート診療所」でインターンをすることになった大学生聡子のお話。
苦しんでいる人の悩みを絵を通して掘り下げ、解決していくという温かな話の裏で話が進むほど聡子が熊沢に対して嫌な予感を募らせていく様子に、心がじわじわと恐怖で侵食されていきました。これは一番犯人になって欲しくなかった人が犯人になるパターンか?と思いきや最後の最後で思わぬ事実にほろり。
ほのぼのした話が好きだけれど、ほんの少し刺激も欲しいという方におすすめです。