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小気味好い短編集。
「渋谷で待つ」が特に好き。
人って、そんなに素直でなくて
素直でいなくてはいけない相手であればあるほど
本心を言え明かせなくなってしまう。
自分も自分がもどかしいけれど
相手もまたもどかしい。
なぜなら相手もまた、素直でないから。
そんなことを考えながら、全編を読み終え
最後の一編が「渋谷で待つ」であったことに
救われた自分に気づいた。
心の中をすべてさらけ出せたら、人生なんて
本当に楽なんだろうけど。
人って、そんなに素直じゃなくて。
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「元気の出ないときには瀬尾まいこ」が私の基本ですが、そういえば瀧羽麻子に頼っていたこともありました。
サンティアゴ、津軽、上海、瀬戸内海、アントワープ、渋谷での一日が描かれる、連作ではない短編集。
瀧羽さんに頼っていた頃、『うさぎパン』と『株式会社ネバーラ』に救われたのを思い出します。高校生や新入社員が主人公だったそれらと比べると、本作に出てくるのはもう少し上の女性が多い。著者も歳を取ったんだなぁと結構しんみり。
私同様に瀬尾まいこや宮下奈都をお好きな方ならそこそこ気に入るはず。ただ、私は長編のほうが好みかも。
余談です。タイトルに「渋谷の西」とありますが、大阪から渋谷へ遊びに行ったとき、交番で「北ってどっちですか」と尋ねたら、「北ぁ!?」と驚かれた経験が。東京の人は東西南北で考えないと聞いたことがあるのを思い出し、うおっ、ホンマなんやとひとりで笑ってしまいました。ホンマやという認識でいいですかね!?
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単行本で読んだけど、文庫で再読。
旅先で、地元での別れで…。
偶然がきっかけで、顔を上げて前を向いて一歩を踏み出そうと思える短編集
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*サンティアゴの雪
*津軽のリュウニー
*上海の仏蘭西料理店
*瀬戸内海の魔女
*アントワープの迷子
*渋谷で待つ
日本で、世界で、ある1日の出会いが曇り模様だった気分を少し晴れやかにしてくれる短編集。
仕事、親子、恋人、夫婦のこと…と、1人1人いろんな悩みがある。
それが、ちょっとした出会いをきっかけに心境に変化をもたらし、少し未来が明るく思えてくる。
全く違うシチュエーションなのに、ラストはどれも少しセンチメンタルな気分になり希望を感じられる余韻がいい。
余韻を楽しめるのは、読書の醍醐味だと思います。
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適当に買った割に普通に良かったな。旅行いきたい。
そして、たぶん買ったいちばん決め手だった渋谷の話、泣いてしまった。馴染みのある地名と、渋谷に住んでいると言った時の周りの反応が懐かしくて。相手が忙しかったからそんなにたくさんじゃないけれど、わたしたちも散歩に行ったな。裏道を抜けて中目までとか、ヨヨコーはわたしがマックを餌に連れ出したりしたな。ひとりでもよく歩いた。松濤の高級住宅街、代官山のあたりまで。いわゆる裏渋と呼ばれるあたり。246沿いとか山手通り沿いとか公園通りとか。そしてもちろん神泉を。まさか自分が住むなんて、思ってもいなかった街だったな。
彼もわたしになにも聞かなかったな。
彼らはみんな正しい相手と一緒に正しい場所にいるのに、わたしだけがそうじゃない。