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37ひとの次にふさわしい作品やと思う。でもチョットなぞってる感が。どじょうよりうなぎが食べたかったみたいな笑
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特に劇的な展開があるわけでないが、「ひと」と同様、どこにでもいそうな20代そこそこの人生を描くのが上手いと思う。
意外と人生って、ものすごくドラマチックな展開は少なくて、淡々と過ぎる毎日のことに心動いたりしながら過ぎていくものなのかな。
個人的にはもうちょっと心揺さぶられるストーリーを望んでいたけど。
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① この本を選んだ理由
ドラマチックな展開とか、考えさせる展開とか、そんなのではなく、淡々した物語に浸りたかったので。
②あらすじ
アルバイトをしながら一人暮らしを続けてきた主人公の井川幹太が、様々な出会いを通じて自らのスタートに向かっていく。
③心に残ったこと
スタートの切り方というセリフがカッコ良かった。
④感想
予想していたように淡々と物語りが進行していくのが心地よかった。最近はこういう作品が心地よく感じる。
⑤登場人物
主人公
・井川幹太
・井川太二 父
・草間睦子 母
高校のクラスメイト
・萩森澄穂
父の浮気相手
・船木雅代
母の再婚相手
・草間和夫
・草間守夫 息子
アルバイト先
・貝原恒之 店長
・大下七子
・大下宗威 ムネタケ
・大下水瀬 ミナセ
・大下涼河 リョウガ
・熊倉さん
筧ハイツ
・彦坂治哉
・芳賀英作
・椎葉有沙
・筧満郎
・筧鈴恵
・戸田愛斗 がさつくん
・戸田朱奈 アカナ
・戸田風斗 フウト
・藍奈
・中条延興 ノブオキ
・坪内幾乃
近所
・郡唯樹 コオリ
・郡章恵
・郡時郎
・ちより
大手製パン会社
・植松係長
家電量販店
・篠塚主任
喫茶羽鳥
・羽鳥菊子
・羽鳥憲吉
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何気ない会話がリアルで好き。
4歳の子が、「1時間ってどのくらい?」と聞いたときに、「ポケモン2回分」と答えるパパ。
その会話、したことある!一気にこの話が身近に感じた。
幹太の性格も良い。応援したくなる。
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人生だな。アパート住まい、コンビニバイトの井川を軸に
上の階の戸田さん一家や隣人、ご近所さんと知り合っていく。自分の生活や親のことなんかを考えるようになったり。
そして新しい一歩を踏み出す。
アパートの一室にいながら、人は支え支えられ生きていくものなのだ、と、しみじみ感じる。
特別大きな出来事が起こるわけではないけれど、人生の断片を読んだような感じ。
作中、人の名前を細かに表現しているけど、それは一つのシンボルというか、名前の紹介で本書の登場人物うの一人一人に存在感…命を吹き込んでいるのだろう。
すっきりとした読了感。良い本でした。
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ライフはこの、小説の場合、「生活」と訳すのか、それとも「人生」と訳すのか?
まあ、両方の意味が混在しているのだろう。
小野寺史宣さんの作品は「ひと」に続き2作目だが、じわっと心の奥底に語りかけてくる感じがいい。
ネットでこの本のレビューを探して流し読みしていたら、「自分には何もない、を切り開く小説」という感想があった。なるほど。
小説の中で大きなことは起きない。
淡々と主人公・井川幹太の生活が描かれている。
幹太は27歳フリーター。大学卒業後2社ほど勤めたが、合わないのでやめて、コンビニのバイトで食いつなぐ暮らし。恋人もいない。
仕事を得るわけでもなく、彼女を得るわけでもなく、この小説は終わってしまう。
でも何故か安定している。
幹太は山あり谷ありの人生を歩んで来たわけだが、この小説はそんな人生の穏やかな局面を描いている。
幹太は、若くして、それほど広くない人間関係の中で、ある意味悟ってしまう。
不惑の40代でありながら、毎日社会に振り回されて、己の未成熟さを痛感している僕としては、就職後、結婚後の幹太が見たい。
続編を切望する。
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やりたいことを仕事にするのはとてもいい事だけど、実際は、やりたいことが見つからないまま就職を決めたりするのがほとんどだと思います。
この本の主人公も、やりたいと思って入った会社を2回やめてます。
やりたいことがなければ無理して作らなくてもいい。そのうち、見つかるからその時に考えればいいと、言わたような感じがした本でした。
「まち」にでてきた共通部分があり、そこが出てくると、ああっ!ってなって、読むのが楽しかったです。
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「タクジョ」が面白かったのでソッコー別タイトルをリクエストした。今回もめちゃくちゃ面白くて、イッキ読み。
「めちゃくちゃ面白い」というのとはまた違うというか…。笑
面白いんやけど、破天荒やったり奇想天外やったりして
「続き、どうなるん!?」
と、ページをめくる手がはやる、てわけではないねん。
んもうひたすら、じわりじわりとページをくっていく感じで、もちろん面白いし着地点が気になるし。
文章が読みやすいからまたそれもいいのよね。文章もめっちゃ癖になる。ツイートするときとか、モロに影響を受けちゃうけど、いいわあ。著者の文章。書いてて気持ちがよさそう。歯切れがいいというか…。
そんな具合にじわじわはまっていって、結局この本のテーマは何なのかっていうのが終盤で明らかになったときに
「これかーッ!」
ってそれはそれで、じわじわきた。
変な話、「何もない」のがテーマなのよね。いやいや、それも奇をてらっているわけではなく、「何もない」のが悪いわけでもないし、他人や一般的な評価で「何もない」からってほんまに「何もない」わけではないねんな。
この本が刺さる年代ってどのあたりなんやろう。
44歳のわたしは、「ははあなるほどなあ」と思ったし、いいなとも思ったし、穏やかな生活も人もめちゃくちゃ憧れるからなあ。
しみじみ、自分のペースと正義を大事にしていこう(それらがちゃんと受け入れられるものであるということが前提やけど)と、思った。
こういったじわりじわりくる内容の本って、わりと流行ってるのかな。
わたしは好きよ。穏やかに読めるし、いいなと思う。
さらに著者の何がいいかって、主人公が不必要に尖ってないのもいい。矜持はあるけど、不必要に尖ってはいない。
もしかして今の若い子って(10代後半ぐらい)こんな感じなのかなあと思う。そうやったらとてもいいなとも思う。
人生が長くなったのに、すごく急かされてる気がする。
それはうちの子どもらを見て思うことやけど、わたしらの尺度で子どもらをはかるから、いろんなことに振り回されてる。
わたしらはわたしらが子どものころよりも情報量が多くて、だから少しでも子どもがよりよく生活できるように、早くやりなさい、決めなさい、やるなら極めなさいってつい思ってしまう。
でも、わたしらが子どものころはそんなことは言われなかったし、最近ふと思うのは、わたしが20代の社会人になりたてのころに要求されていたことも、今は子どもに要求してる気がするなあと。
もう少し、子どもらに自分で考えさせる時間を与えてあげたいな。
やりたいことなんてなくてもいいし、わかってなくてもいいのよ。でも今の子どもって、そんなの許されていない気がする。
それだけに、この本はかなり「ぐっ」て刺さったなあ。
これはわたしじゃなくて、わたしの子どもに対して刺さったわけやけど(もうわたしは、やりたいことに追われることも、自分を特別にする必要もないので、気楽な身分なのよ)、どの年代の人が、この本を読んで
「せやなあ」
って思うんやろ。
せやなあ、って刺さるのなら、(いい意味で)まだまだ若いってことやと思う。いいと思う。大人が決めた「やったほうがいいこと」や「ここまでできたほうがいいこと」なんか早く見限って、自分は何をやりたいのか早く考えられるようになったらいいと思う。
それがどのくらい生産性があるのかとか、それをしてどうなるのかとかは、意味とか理由なんか、やってみてからの話やと思うのは、まあ、わたしも昭和な人やもんな。笑
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読みやすくてすらすら読める。読んでて心が全く疲れない、むしろ、じんわり元気をもらえるような話だった。戸田さんのとこの姉弟がかわいい。
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読みやすく無駄のない文章で一気に読める作品。日本のどこかで同じような青年がいて、同じような生活をしていても不思議ではないリアル感のある。だから先が気になり、サクサク読める理由かもしれない。そしてなんとなく心も温まる。進路や転職で悩んでいる人たちにはぜひ読んでほしい。肩の力が抜け、少し気持ちは楽になるのでは?
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大学を出て新卒で入った就職先は2年で辞めた。すぐにみつけた次の転職先も半年で辞めた。以後コンビニでフルタイム、時々結婚式のサクラと、アルバイトで糊口を凌ぐ井川幹太はもう27歳になった。江戸川区平井のワンルームアパートに大学時代から住み続けて8年半。かつて同じアパートに住んでいた大学の同級生たちは、みんな転居していった。「またいつか集まれる」とみんな言うけれど、そのいつかはたぶん、もう来ないと思う。
誰かの彼氏や夫、父親、息子、どこかの企業の人、何かを成し遂げる人、夢を追う人。どれにもなりきれず茫洋と生きる幹太。しかし彼の周囲は、静かに確実に変わっていく――。
大事件は起きない。小さな事件も起きない。不条理な悲劇もない。価値観をがらりと変える刺激もない。自分に合う会社や仕事に巡り合えず、アルバイト生活のまま20代の後半を迎える青年の生活を淡々と描き出していくこの作品、それでも、それだからこそ、読んでいて思わず頷く、共感してしまうエピソードが満載だ。
幹太は就職先を決めるにあたって、とりあえず「パンが好きだから」という理由で第一志望の大手製パン会社に就職したものの、配属先でキツい上司にあたり、それが原因で辞めてしまう。もう好きなものに関わるのはよそうと、すぐに見つけた次の就職先は家電量販店だが、そこの上司には「普通、興味のない会社には入りませんよ」と言われ、「好きなものを仕事にしたくない」とも言い返せずに半年で辞める。
一度目は上手くいかなかったからと、考え方を変えて間を置かずに動いたことが裏目に出て、二度目の退職の後は身動きが取れなくなってしまう。
どうすれば良かったんだろうね。会社は何を求めて労働力を採用するんだ、何を基準に人を選んでいるんだ。わからないまま自信も気力もなくし、気がついたら年を取ってる。あるあるです。しかしまだ27歳で何を言ってるんだ小僧! 30代40代でそんなんなってるやつは今の日本にいっぱいいるのだ。
それはさておき、そんな幹太君、8年半も同じ場所に住んでいると意外に顔見知りになる人も現れる。同じアパートの上階の人、両隣の住人、近所の高校生、たまに行く喫茶店のおばちゃん。それはみんな良い人たちで、でも、そうやって他人を知っていくほどに、幹太の生活は穏やかながらも揺さぶられて、やがて新しい一歩を踏み出していく。その幹太君の背中がリアルに感じる、気分はもう近所のおばちゃんである。
私なんてスパイものとかハードボイルド・アクションとか、ミステリとか、歴史ものや戦記物ばっかり読んでるから、何も起きない日常系の読み物なんてつまらないと思っていた。けれどそれは間違いだった。何も起きない、ごく普通に見える人生のなかで起こるいろいろな出来事――子育て、夫婦や友人の間の関係、彼氏彼女の事情、そして仕事でおこる様々な問題はどれもこれも結構ヘビーなものなのだ。普通の人生、実は相当ハードモード。この『ライフ』に出会って、気づいてしまった。
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主人公が参列する結婚披露宴のシーンから、
物語は始まります。
おめでたいことですが、
主人公はハッピーな気持ちではありません。
つつがなく式が終了することだけを考えています。
彼にとっては新郎も新婦も赤の他人。
代理出席の会社から派遣され、
アルバイトとして出席しているのです。
新卒で入った会社を二年で辞め、
次に入った会社は半年しか続かず、
今はコンビニのアルバイトをして暮らしています。
足りない生活費を補うため、
時々、代理出席のアルバイトをしているのです。
副業として金銭的なありがたみはありますが、
アルバイトの間中、
どこか居心地の悪さを感じています。
どんなに豪華な式であっても、
どれほど温かな会であっても、
その場において彼は、
”何者でもない誰か”に過ぎません。
数合わせのために、
ただそこに居るだけの書き割りのような存在です。
そんな彼が、
他のだれでもなく自分を必要とする仲間を得て、
自分が自分で居られる場所を見つける物語です。
この物語が面白いのは、
主人公が特別な才能を発揮したり、
特別な出来事に巻き込まれたりするわけではなく、
ごくごく普通の日常でそれを掴んでいくところです。
特別な何かができるから、
特別な何かを持っているから、
という訳ではないのです。
彼という存在そのものを認めてくれる人、
発揮できる場所に出会う物語です。
主人公が偉いと思うのは、
人生のちょっとしたつまづきに対して、
無闇に慌てふためいたり、
焦って無謀な行動に出ないことです。
誰しもちょっとしたつまずきをすることがあります。
転職先や異動先の同僚と馴染めない。
思っていた仕事と違っていた。
楽しそうだと思って始めたのにそうじゃなかった。
お金を損しちゃった。
そんな時、つい自暴自棄になったり、
あるいは自分はダメな奴だと卑下したりしがちです。
主人公は淡々と日常を送っているように見えます。
いつまでもアルバイトのままではいけない、
という想いを抱えながらも、じっとしています。
そこにチャンスがやってきます。
変化のきっかけです。
幸運の女神が手を差し伸べてくれるのです。
ここでも面白いのは、
そのきっかけは一見、女神の顔をしていないことです。
むしろ逆の顔でそっと近づいてきます。
普通なら見逃してしまうかもしれませんが、
彼は自然体でその流れに乗ります。
少しずつ少しずつ彼の世界は変わっていきます。
心持ちが変化していきます。
苦しい時こそ、辛い時こそ、上手くいかない時こそ、
「日常力」とでもいうような力が試される気がします。
日々を変えるために、
必死であがくことも必要だと思います。
ただ人生は長期戦。
ひとつずつ積み重ねるしかないようです。
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地味な町で地味な人たちが地味につながっていく。よいことだ。ひとり暮らしを含めて30年間、借家住まいを転々として分かった。子どもが小さい時だけは、近所と繋がれるもんだ。
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小野寺史宜の真骨頂。
淡々とした物語展開。激することなく、受け入れ、受け流す主人公。
自分らしく生きるとは、よりよく生きるとはどういうことかを、さりげない描写のなかに込めていく。
清々しいほどの小野寺節。楽しめた。
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凄く面白いわけでもないし、凄く感度するわけでも、ワクワクするけでもない。でも、とても、良い本だった。ちょっと心が温まり、ちょっと前を向ける小説。