紙の本
胸が詰まる
2023/08/29 17:54
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投稿者:BB - この投稿者のレビュー一覧を見る
浅田次郎氏による戦争小説短編集。6つの物語が収められている。
戦争に赴いた当事者世代の作家が戦地の実情を描いた戦争文学とは異なり、戦後生まれの著者が、想像力と創造力を総動員し、戦後の視点から、戦争体験を描いている。戦場での悲惨を浮かび上がらせる。
戦争に人生を翻弄された上、戦後も取り残された帰還兵たちは、体だけでなく心に大きな傷を負っている。その姿が、戦争の残虐性や非人道性を逆照射する。
電子書籍
戦争は、生き残った者にもつらい
2020/10/27 16:43
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投稿者:ヒトコ - この投稿者のレビュー一覧を見る
ずっと読みたいと思いながら、先の戦争が題材である重さに二の足を踏んでいたがやっと読めた。 あの戦争を生き延びた人々の思いを様々なシチュエーションで描きだした短編集。死ぬも地獄、生きるも地獄。 でも、全く救いが無いわけではない。戦後生まれの著者が描いた、実戦よりも飢餓と疑心暗鬼の闘いだった戦場が印象に残った。
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先の大戦に素材を求めた短編集であるが、浅田の場合、何を伝えるか、読者に何を届けるか、は、わかりやすすぎるほどわかりやすいテーマであって、浅田の真骨頂はそれをいかにわかりやすく伝えるか、響かせるか、という、いわばプレゼン能力にあるということだろうな。
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戦争は、人々の人生をどのように変えてしまったのか。戦争に巻き込まれた市井の人々により語られる戦中、そして戦後。戦争文学を次の世代へつなぐ記念碑的小説集。
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浅田次郎の紡ぐ言葉は、相変わらず美しい。そして、心のひだに分け入ってくる。こういう作家は他にはいない。さすが大御所。
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浅田さんらしい語り口ではあるものの、もう一つ響くものが少なかった。反戦小説集との名目だが、これでは安倍晋三や百田尚樹は日本人の美談と思い込んじゃうよ。もっと明確に反戦を歌って欲しい。
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戦争を題材にしているゆえか、文庫帯に「反戦小説集」との謳い文句がある。
しかし、その思いはその文言ほどには、心に響かなかった。短編であるがゆえの限界だろうか(著者には、『天国までの百マイル』のような、忽ち涙腺を刺激する傑作短編集もあるが)。
反戦ということであれば、先ごろ読んだ乃南アサ著『水曜日の凱歌』の方がより、その感が強い。
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文中の
あたしら命まで取られないもの
恭ちゃんや香田さんは、何から何まで取られた上に命まで召し上げられるんだ
という文が特に身にしみました
実際出兵した兵隊さんたちがどんな思いで家族と離れたのかと想像すると涙がでました
戦争のない時代に産まれられたことでも幸運だと思いました
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たまたまお盆休みで時間があったので、何冊か読書用の本を購入してみた中の一冊。時期的に戦争を扱ったものも一冊ぐらい読んでみようと購入。短編集で、どれもふつうの市民から兵隊に召集された主人公のお話。じわじわと戦争の悲惨さが伝わってくる本。
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短編集。戦後の自衛隊員と、戦時の兵隊が同じ場所で同じ任務(不寝番)で同じ時を過ごす。そんな小説ならではの設定もあり、引き込まれて一気に読了。終戦記念日に、反戦の想いとともに。
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表題作『帰郷』を始め計6編からなる短編小説集。
収録作品のタイトルを順にあげていくと、
1.『帰郷』
2.『鉄の沈黙』
3.『夜の遊園地』
4.『不寝番』
5.『金鵄のもとに』
6.『無言歌』
すべて、第二次世界大戦を題材にした、戦争がもたらす哀しみや普通の人々の思いを描いた、反戦・非戦小説。
『帰郷』『金鵄のもとに』は出征し、なんとか生きて復員した兵士が主人公。
『夜の遊園地』は戦死した父を持つ大学生が主人公。
『不寝番』は、浅田次郎さんお得意の幻想譚、現代に生きる自衛隊員と戦争中の兵士が主人公。
『鉄の沈黙』『無言歌』は戦場での兵士たちが主人公。
戦争の非情さ、理不尽さを描いてます。
その一方で、人間の情の深さを描き、悲惨なだけではない、それ故に一層、戦争が理不尽なものであり、決して繰り返されるべきではないこと、が心に染みてきます。
表題作の『帰郷』は、とても切ない話しなのですが、生きる希望を抱かせる結末で、作者の優しさが伺われます。
こうした戦争を題材にした小説は辛くて、あまり読みたくはありません。
しかし、戦争体験者もすくなくなくなり、平和の大切さを学んだはずの日本人が、また、性懲りもなく他国との対立を深める言動や行為ばかりになってしまった現在、あらためて読まれても良い作品、いやぜひ読んで欲しい作品です。
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浅田次郎を始めて読んだ。長編だと思って買ったけれども太平洋戦争を題材にした短編集だったので、ストーリー展開に追いつけなかった。また、「不寝番」は特にタイムスリップするという戦争というテーマにアンマッチさが加わり読みづらさを覚えた。戦時中独特の言い回しが分かりづらさに輪をかける。ただタイトルチューンである一話目の「歸郷」は、戦争の根幹である、「正義不在という悲惨さ」が主人公の哀愁によって読者の眼前に立ちはだかるようにありありと描き出される佳作。
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浅田次郎さんの戦争ものは、「反戦!」なんて声高に言わない。
戦禍にも人情があり、それぞれに温かく、切ない人としての営みがある。
故に戦争なんてしない方が幸せなのだと痛感する。
人の優しさに触れ、優しくありたいと思える作品だと思う。
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久し振りの浅田次郎さん、戦争に翻弄される弱者を描いた短篇六編。
なる様にしかならなかった時代、その中で若者は自我をどう持っていたのか。
考えさせられます。
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帰郷できた兵士もできなかった兵士も、ともに共通するのは、人生の始末に向き合って初めて戦争の残酷さを知るということ。正直どの作品も切ないし、史実であってほしくない。でもきっと実際にあったであろう名もなき兵士たちの物語。反戦という言葉を重く受け止め続けたい。