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源氏物語二周目。
物語もいよいよ終盤。光源氏は既に亡く、数年が経っている。
最初は光源氏と明石の御方の間に生まれた明石中宮と今上帝の間の御子である匂兵部卿を中心とした匂宮三帖(匂宮、紅梅、竹河)から始まり、匂宮からはライバル視?もされている源氏と女三の宮の間の子とされている薫中将(実は柏木衛門督と女三の宮の不倫の子)と二人で、宇治に住む没落した貴族宇治の八の宮の娘姉妹大君、中君に恋慕する宇治十帖の冒頭(橋姫、椎本、総角)。
匂宮が源氏の血を引く孫なので女性好きの男として描かれ、同じく系図上は源氏の息子でありながら、性格は真の父である柏木のなんとも融通が効かないというか、頑固というか、思い込みが強い「生真面目」(傍迷惑なともいう)男性の薫という対照が面白い。
光源氏は美男で、身体から自然と良い香りがすると描かれていたが、実際にはその血をひかない薫中将がまさに名前の通り身体から良い香りを発し、その香りでそばにいることがわかる程であるのに対し、孫筋の匂宮は薫の対抗して衣服に香を強く焚き染めているというあたりの設定も、皮肉なのだろうか。
匂宮は妹の中君と結ばれつつも、その移り気な性格を疑われ、信頼を得られず、薫はいくら好意を示しても、大君からは拒否され、それでもアタックするものの、拒否を続けられるうちに、大君は失意の中で亡くなってしまう。
これからの展開が、明るくなるとは全く想像できない(実際もっととんでもなくなっていくのだが)宇治十帖の始まりでした。