投稿元:
レビューを見る
トランクルームの密室。白い粉が舞い散る殺人現場。足跡なき泥濘の逃亡者。案内板に磔にされた首のない死体。南美希風が、奇跡を偽装した不可能犯罪の数々に挑む! そこには、神々しいまでの犯行計画と、どうしようもなく俗な人間の本性があった──。
投稿元:
レビューを見る
題名を見て、エラリー・クイーンの国名シリーズになぞられた新シリーズかと思ったら、過去作に何度も出ている南美希風が主役の短編集だった。国名シリーズの第一作から第四作までのタイトルが使われていた。
内容的にそれぞれのクイーンの作品と関連は無かったが、タイトルの品物がキーパーソンになっていた点は良かったし、フーダニットとしても楽しめた。やや誤魔化された感じもあるけど(^-^)。
国名シリーズのタイトル借りをした意図を、あとがきにでも書いて欲しかったな。柄刀さん、あとがきは嫌いなのかな。
投稿元:
レビューを見る
国名シリーズの名前を冠して、ハードル上がってるが、おもしろかった❗
ローマ帽子はちょっとビミョーだったが、他の3編は、きちんと犯罪現場での必然性があった。突飛なシチュエーションの場合、そこが弱くなり勝ちだけど、きちんとホワイダニット、ハウダニットに直結している。特に、エジプト十字架の謎は秀逸。
或るローマ帽子の謎
或るフランス白粉の謎
或るオランダ靴の謎
或るエジプト十字架の謎
投稿元:
レビューを見る
南美希風シリーズのミステリ短編集。タイトルから想像されるように、クイーンの国名シリーズのオマージュでしょうか。といっても、原典を読んだのは今のところ「エジプト十字架」だけなのですが。おそらく原典のネタバレがされていることはないだろうし、原典を知らなくても面白く読めるはずです。でも知ってた方が面白く読めるのでしょうか。
お気に入りは「或るオランダ靴の謎」。正直、一番単純な真相なのだけれど。まんまと騙されてしまった感が強い一作でした。けっこうあからさまな手掛かりにも関わらず、気づけなかったなあ。そしてどうしても凝ったトリックを考えてしまうのは、ミステリ中毒者の悪い癖でしょうか(苦笑)。
投稿元:
レビューを見る
【収録作品】或るローマ帽子の謎/或るフランス白粉の謎/或るオランダ靴の謎/或るエジプト十字架の謎
凝ったミステリ。なぜそうしたのかに主眼が置かれている。短編なので人物が書き込まれていないため、だれにも感情移入ができない分、気楽に読める。とはいえ、被害者の行動や犯人の心情、残された人たちの今後を想像すると、いたたまれない気持ちにもなる。
投稿元:
レビューを見る
エラリー・クイーンの国名シリーズ的タイトル作品。
エリザベスと美希風のコンビが気持ちいい人物像で好き。「或るオランダ靴の謎」が内容理解するのに時間かかったけど、全体的にロジックが論理的だけど分かりやすくて面白かった。
柄刀さんの作品、若干苦手意識あったけど、このシリーズはまた読みたいなと思う。
投稿元:
レビューを見る
南美希風シリーズの短編集。
表題作のほか”ローマ帽子”、”フランス白粉”、”オランダ靴”とクイーンの国名シリーズのタイトルをなぞった4編が収録されているがパロディっぽさはなく、それぞれのガジェットをストーリーにがっちりと組み込んでいるところがすごい。
全体的に地味だが端正な本格。ベストは「或るフランス白粉の謎」。
投稿元:
レビューを見る
さすが柄刀一という作品でした。
国名シリーズの意匠を使いながら一つ一つ丁寧な本格ミステリでしたね。
そして国名シリーズの意匠を取り込みながら現代ミステリの面白さ及び現代アイテムを出し今という時代で成立することを示していました。
投稿元:
レビューを見る
南美希風というカメラマンが探偵役、クイーンの国名シリーズになぞらえた短編4編。
名前は派手だけど印象は地味な探偵さん。昔病気だったようで、詳しくはシリーズ作品を読まないとわからないようだ。地の文が、男性なのに名前表記(美希風は…)なのは、ここもクイーン風? そのうちお父さんも出てくるとか?
「ローマ帽子」は映像で観たいトリックだと思った。個人的には一瞬でなるほど!とわかる「フランス白粉」が好み。「オランダ靴」はもう少し筋立てをシンプルにしていればと思う。冒頭から登場人物紹介が終わるまで5ページも掛かるのは長すぎ、理解するまで何度も行ったり来たりした。あと図面に間違い(朝霧が八田になっている)や不備(重要な南側が隠されている)がありもったいなく思った。
「エジプト十字架」一番インパクトがあってメインにぴったり。周囲に穴を掘ったり埋めることができない場所があることに感心した。ただ動機というか、そこまで苦労をして磔にした理由が弱い気がする。警察も、死体が屋外にあったからといって、そばのコテージをスルーするとは思えないしルミノール反応ぐらいみるのではないだろうか。そうしたら犯人が即わかってしまう。死体も手の込んだことをせずともコテージにもたれかけさせるだけで済んだのではないだろうか、など想像してしまった。
投稿元:
レビューを見る
クイーンの国名シリーズをテーマにした事件に探偵役の南美希風が挑む連作短編集。文章が硬くて読み難いのは相変わらずですが、全短編とも高品質。クイーンの各作品を読んでいなくても十分楽しめますし、ネタバレしていないところも良いです。
【或るオランダ靴の謎】が一番無理がなく良作かなと思いますが、【或るフランス白粉の謎】と【 或るエジプト十字架の謎】のホワイダニットが秀逸で好みです。
投稿元:
レビューを見る
カメラマン南美希風が法医学者エリザベスとともに殺人現場に赴き(巻き込まれ)、数々の事件を解く連作短編。クイーンの国名シリーズを模したローマ帽子、フランス白粉、オランダ靴、エジプト十字架の各編は、ちゃんとオマージュで、なおかつ全く違う使い方で楽しく読むことができました。もちろん本家を読んでいなくても問題ありません。提示されている伏線が言われるまでまるで気づかないほどさらりと触れられているため美希風の謎解きには唐突に感じられる部分もありましたが、理路整然とした綺麗なロジックが素晴らしかったです。堪能しました。
投稿元:
レビューを見る
評価が高かったので久々に柄刀一さんの作品を読んだのですが、なんと探偵役が南美希風とは!懐かしい友人にあったようでそれだけで嬉しくなりました!
内容はオーソドックスな本格ミステリーですが、柄刀さんの作品らしい、どことなく幻想的な雰囲気を感じます。
何よりも、クイーンの国名シリーズをパスティーシュし、『ローマ帽子』『フランス白粉』『オランダ木靴』『エジプト十字架』がトリックの要に使用されているのが溜まりません!
投稿元:
レビューを見る
国名シリーズオマージュの短編集。
ロジックの切れ味は鋭いのだが、全体的に地味さがただよってしまうのが難点か。
男言葉で喋るエリザベスが浮いてしまっていた印象もある。無理にそうやってキャラを立てる必要はなかったのでは?
フランス白粉とオランダ靴の短編が好み。
投稿元:
レビューを見る
南未希風シリーズの短編4編。エラリー・クイーンの国名シリーズのオマージュとのこと。
残念ながらクイーンの国名シリーズは未読。でも、ローマ帽子、フランス白粉、オランダ靴、エジプト十字架、それぞれが事件の鍵になっていて、単体でも十分楽しめる。
未希風シリーズ、個人的にはさわやかで好きなんだけど、未希風本人のキャラが地味なのは否めない。これまでは、しっかり者で弟思いの姉、美貴子がそれを補っていたところがあったけど、今作ではアメリカ人法医学者エリザベスがその役を担っている。
男言葉のエリザベスに最初は違和感を覚えたけれど、慣れればそれはそれで面白い。シリーズ化されているようなので、このコンビの今後に期待したい。
✳︎或るローマ帽子の謎
頭部が潰された遺体の身元は誰なのかが鍵となる。ロジックは理解できるけれど、犯人については想定外で微妙。
✳︎或るフランス白粉の謎
ローマ帽子に続き、コカイン絡みの話。現場に放置されたコカインと白粉の謎解きは秀逸。
✳︎或るオランダ靴の謎
ミステリによく出てくる〝足跡のトリック〟。いかにも柄刀さんが好きそうだけど、いい意味で裏切られた。
✳︎或るエジプト十字架の謎
案内板に縛りつけられた頭部のない遺体。「T」字に磔にされた姿が、どことなく宗教的で神秘的な雰囲気を醸し出している。でも真相はもっと現実的で、論理的な解答が用意されているのが柄刀さんらしい。