紙の本
納得できる
2019/07/31 09:50
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投稿者:なつめ - この投稿者のレビュー一覧を見る
現在の日本の政治や経済の問題点について、わかりやすく解説されていてよかったです。この国の未熟さを、実感しました。
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全般的に蒙が開かれ、新たな視点が得られた。
1,2章は為替介入。日本と韓国の特異性を初めて知る。しかし、一括りに為替介入が悪いとは言えないだろう。
3章はデフレと異次元緩和。本当にデフレだったのか?という問いは説得力がある。
4章は成長率の妥当性を問う。加えて民主主義の成熟度と財政の健全性の関係を示す。
5章は財政悪化、超低金利の先にある現実(ダメな企業もゼロ金利で生き延びる。保守的な高齢者の行動をますます防衛的にしてしまう。国債の不信用が社債などにも連動する)。嘆かわしい。その処方箋の妥当性はまだ読める。ここだけではないが自民党・安倍政権への批判は浅い感じがした。4章で示唆された通り、迂遠なようでも有権者が賢くなるしか道がないのではないか。
しかし、最後まで読んで著者の悲観がよく分かった。
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日本経済の低迷は、シルバー民主主義ではなく民主主義の未成熟が原因。
社会制度設計の責任を負わされることを忌避している。
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副題が「未熟な民主主義の帰結」で、本の帯には「冒険主義と非合理主義を監視するのは国民しかいない」とあるが、まさにその通りの内容。アベノミクスがいかにまやかしのデータと論理でもって推し進められているかを丹念に描き出すとともに、それを人々が監視することもなく理解することもなく支持している日本社会の現状を分析しつつ憂えている。読んでいると絶望的な気分になるが、我々がまずやるべきことはその絶望にきちんと向き合うことだろう。
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「日本のマクロ経済政策には共通の問題点がある。それらは、(1)客観的な状況分析にもとづいていない、(2)明らかに持続的でない政策が行われている、(3)政策担当者がそのことを認めようとせず、政策目標や会計規則を操作するなどして既存の政策を続けていることなどである。」
ということを、為替政策から書き始めて金融政策、財政政策と述べていく。見て見ぬふりを許さない良心的な一冊。
円安誘導政策のことから書き始めるのは遠回りに見えて、実は戦略的なものとなっている。
為替政策において後任のことを考えない短視眼的に振る舞いをした前科のある者が、金融政策においても異次元緩和と称して副作用を考慮しない金融政策を繰り広げて、効果も出ないのにいつまでも続けていることの指摘へとつなげている。
そう。黒田東彦日銀総裁のことだ。
「虚心坦懐に統計を見れば当たり前のことだが、近年の日本では当たり前のことを無視して勝手な議論を展開する人が発言力を持ってきた」というフレーズが指し示しているのは、文脈からいって第一義的には黒田氏のことである。
為替や金融における不適当な政策は、いずれも財政赤字を隠蔽するために行われているというのが次の段階となる。
それで安倍政権であり、歴代の政権であり、それらを許容してきた国民の問題を指摘することに至るのだけど、その結論部分はあってもなくてもよいかな。
まあ日中戦争後の公債発行の急増が現在と重なるということであり、その後に控えるのは預金封鎖であり、デノミであり、ドッジラインであって、その時に周辺で特需が発生するとは限らないのだ。
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序章 漂流する日本のマクロ経済政策
第1章 通貨政策1―日本はなぜ為替介入から卒業できないのか
第2章 通貨政策2―投資ファンド化が進む外国為替資金特別会計
第3章 金融政策―デフレ対策という名の財政ファイナンス
第4章 財政政策―「経済成長なくして財政再建なし」?
第5章 マクロ経済政策と民主主義―日本が生まれ変わることは可能か
著者:熊倉正修(1967-、経済学)
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私には難しかったけどかなりショッキングな内容で全部読んだ。
この本の通りだとしたら日本の経済政策は大分やばいな。
皆に読んでもらって議論したくなる。
日本が投資対象に選ばれにくい理由が分かった。
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読んでから少し経つので感想の内容が薄いです。。。
一言でまとめると、日本は他の先進国と比較すると民主主義が未熟である。そのゆえ、自民党は当選するために近視眼的な政策(例えば円安政策やシルバー民主主義など)を行う。政府は日銀を私物化しており、出口の見えない巨額の財政支出を行なっている。
我々、国民が「自立」し、適切な判断をする必要がある。
専門的な内容もあり、難しいかもしれませんが大変勉強になるのでオススメします
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バブル崩壊以降の日本経済の低迷理由について興味があり、関連する書籍を何冊か読み続けている。本書もその1冊。ただ、本書は日本経済の低迷理由についての説明は行っていない。そうではなく、現在の日本政府の経済政策が持続可能なものではないことを示そうとしている。
筆者は「従来の日本の経済政策の問題点」として、下記を挙げている。いずれも強烈な表現である。
■客観的な分析を軽視し、主観や世論をもとに場当たり的に政策を運営すること
■目先の政治的軋轢が少なければ、のちに問題を惹き起こす可能性が高い政策であっても実施してしまうこと(あるいは、のちに問題が生じることが予想されても、その対応が政治的軋轢を伴う場合、どこまでも先延ばししようとすること)
■それを疑問視したり批判したりする声が上がっても、真摯に応えようとせず、情報を歪曲したり隠蔽したりするなどして、既存の政策を続けようとすること
このような政策の例として、日銀の(実質的には政府の)、異次元金融緩和をあげており、それが、①効果のほとんどない施策であること。効果がほとんど客観的な分析の形で示されていないこと②このまま金融緩和を続けても効果がないばかりではなく、「出口」がないこと(現在の財政赤字の中で仮に金利が上がってしまうと、金利支払いのための赤字がふくらんでしまうこと。それによって、ますます政策の財源に制限が発生してしまうこと)③そういったことを、政府はきちんとアナウンスしていないこと、あるいは、分からないような形でしかアナウンスしていないこと。
そういう意味では、本書は日本経済の低迷について経済的に分析するものではなく、むしろ、低迷を招いている政策がなぜ続いているのかを、政治経済的に分析するものである。
では、これは改善され得るのか、ということについては筆者は非常に悲観的である。本来、我々有権者がきちんとこういったことを監視しないといけないのであるが、実際にはそのようなことにはなっておらず、また、将来的にこのようなことに対しての関心が国民の間で盛り上がることは考えにくいからである。
経済は、当たり前であるが、「経済政策」と強く結びついており、それは経済の問題であると同時に政治の問題でもあるということ、すなわち、政治と経済は切り離して考えにくいこと、をあらためて気づかせてくれた。